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五月雑記 余裕のある朝とデス大喜利ゲーム

11:30開演のジェスチャーゲームライブに備えて、6:55に起きて湯船に浸かって柔軟体操をして軽再寝して家を出た。

体が軽く天気も良く、「コンビニのあの機械のコーヒーを買って飲みたい」という気分になった。初めてそんな気分になった。

仕事に向かう朝は慌ただしく、数分の遅れを数分の小走りで取り戻すのが常だった。

駅の最寄りのセブンイレブンでドリップホットコーヒーを買った。

駅のベンチで青空を見上げながら飲んだ。

これは大人。大人の余裕の朝。空きっ腹にコーヒーって大丈夫かしらと思いながらも気持ちは清々しさに満たされている。大人。

大人は、朝からジェスチャーゲームはしない。

前もどこかでこんな締め方をした気がする。





玄関横の宅配ボックスに、赤いスケッチブックが入れられていた。

デス大喜利ゲームへの招待状だった。

そういうのがあるらしいよ、と大喜利ライブの楽屋で先輩が言っていたのを思い出した。
それも大喜利だと思って「鉄骨渡りジェスチャーゲームだったら聞いたことあるんですけど」とか返していた。

デス大喜利ゲーム当日。

前の日は湯船に浸かり早めに寝た。

一対一の対戦形式。正面だけ透明な素材で出来た箱型の回答席にそれぞれ入れられ閉じられて、互いの姿も見えず声も聞こえない状態になった。答え見たかったのに。

赤いスケッチブックを机の上に置いた。古いノートパソコンくらい重くて、家から持ってくるのが大変だった。

机の端のほうに、ナイフ、深めの皿、ハンドタオル数枚が用意されていた。

事前に『自分の血で書いて答える大喜利です』との説明を受けていた。注射器で抜いてくれる感じだと思っていた。

手首パレットスタイルは加減がわからなくてこわいので指先ペンスタイルにしようと決めた。

NARUTOの口寄せの術で親指をカリッと噛み切るシーンを見るたびに「平気な顔してやってるけどだいぶ痛いだろ」と思っていた。まさかやることになるとは。「私は平気な顔で出来なさそうだから、NARUTOの世界に行っても生き延びられないだろうな」と思っていた。この世界ではどうだろう。

答えを書く前にまず口寄せの術っぽい動きをする、というボケを思いついたけれど、過去の参加者が散々やっているだろうなと思ってやめた。

デス大喜利ゲーム開始。

私が出した答えで覚えているのは、

[線香花火がずっとジリジリ]

[へぇ、こんなところにホクロあるんだ。]

[日本の国旗なんですけど、予算足りなかったのかな?]

[天井にいる動かない虫をじっとみる休日]

[なかまに なりたそうに こちらをみている! こころを おににして しゅっぱつだ!]

[口寄せの術をしようとしたところに宅配便が来た]

一応勝った。対戦相手が血を失いすぎて気絶して続行不可とのことだった。どんな答えを出したんだろう。

私は、ナイフの先っちょで指先をぷつんと刺して、スケッチブックの真ん中に血の点をちょんとつけて、その一枚で答え続けた。

ウケが弱くなったと感じると出せなくなるので無観客で良かった。デスゲームで無観客て。配信があったとしても赤字だろうな。

一試合で降りることにした。賞金を受け取る手続きの際に、判子が無いとだめとのことで後日になった。

そこは血判でいいだろ。



※デス大喜利ゲームは、裁縫中に指を刺しちゃったときに空想したフィクションです。

※フィクションです。

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