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二月雑記 世界一短いバレンタイン小説と十数分の旅

#世界一短いバレンタイン小説

というTwitterの企画を見かけて、参加した。

14文字を上限に、バレンタインや恋愛をテーマにした超短編小説を書くというもの。

業務用チョコそのまま齧るのだ
もう歯磨きしたので貰えないよ
チョコ×想い+嘘=義理チョコ
没収してよ、これ先生にだから
2月14日はふんどしの日です
なんだこのチョコ種入ってるぞ
今日は入れ歯をはめて出かける


一番反響があったのは「没収してよ、これ先生にだから」。

これは思いついたときに我ながらきゅんきゅんしちゃったね。

先生へのだから、没収してよ。

先生にだから、没収して。

没収してよ、これ先生にだから

没収してよ、これ先生のだから

没収してよ、これ先生にだから

と推敲していった。

裏切りを作るために語順を逆にした。

“の” か “に” で迷った。

見やすいのは “の” で、意図や喋り言葉に近いのは “に” 。 “に” にした。

#世界一短いバレンタイン小説

で検索して色んな作品を読んだ。

そこはみんな思いつくから捨てて考えないと埋もれるぞという作品がずらずらと続くなかで、ひとつ「これはいい…!」と思う作品があった。チョコのCMの最後に読み上げられそうなキャッチコピー。巧さもあるし体温も感じるし。たぶんあれが大賞だろうな。

私も埋もれていくその他だった。



酒を飲んで「これはもう明日の昼まで起きないぞ」と思いながらベッドにぐわんともぐりこんで、深く眠れたのか3時間くらいでぱちりと目が覚めた。

バターアイス食べたい。

酒のあとのアイス食べたい欲とタイムラインで見かけて食べたい欲が重なって、寝間着から着替えた。

半分残っていたほうじ煎茶を温めて飲み、体内をほんわかと温めて、準備完了。午前二時。天体観測の歌詞がよぎる。雨は降らないらしい。

モバイルPASMOが使えるだろうと、スマホだけを持って家を出る。玄関のドアを開けた瞬間、体が軽い。いつもは鞄やフリップを持って開けるドア。体が浮いたかのようにも感じる。少し酔いが残っているのもある。

ドアを閉めて、鍵を閉めねばならないと気づき、部屋に戻り鍵を取る。

外を歩く。誰も歩いていない。スーパーの前で何かの搬入をしているトラックの横を通り過ぎる。誰も歩いていない。マスクを外そうかと思ったけれど、少し肌寒いのでマスクがちょうどいい。

一軒目のコンビニ。ローソン。

あった。

何軒か回る長旅を覚悟していたので拍子抜けした。

そうだローソンギフトがあったぞと思い出し、ギフトでバターアイスと惣菜を買った。

もう少し暖かかったら食べながら散歩が出来たなと思いながら帰路。作家さんから「いいの始まったよ」とのLINE。新たな大喜利の場。スケジュールアプリに〆切をメモ。

帰宅。たった十数分の旅だった。

一旦冷凍庫に入れる。冷蔵庫に惣菜を入れる。細四角いケーキがうらめしそうにこちらを見ている。買ったの忘れてた。明日の朝食べよう。

鍵を戻し、冷凍庫から取り出す。一旦入れる必要無かったな。

バターアイスを食べる。最初のひとくちはバニラ。なんだこんなものかと思っていたら、舌の熱で溶けた波間にほわりとバターが顔を出した。おいしい。昔なつかしアイスクリンを思い出す。あの感じが好きなのでこれも好きだ。

紅茶を淹れて一緒に飲みたいな、と思っているうちに食べ切ってしまった。ホットケーキに乗せてもおいしそうだな。もう一本買っておけばよかった。


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