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会社を辞めてよく聞かれた3つの質問

会社を辞めて独立し、「NEW HORIZON COLLECTIVE」に参加して気がついたらあっという間に1年半が経っていました。(独立までのいきさつ、「NEW HORIZON COLLECTIVE」って何?  という方、こちらの記事をどうぞ。)


何はともあれ元気で2年目を迎えられたこと、確定申告も無事に終わったことに安堵。少し気持ちの余裕もできたので、今日はこの1年半でよく人に聞かれた3つの質問について書いてみます。

まず、最も多かった質問から。

Q.1「独立して、いちばん良かったことは?」

ここは自分としても「いちばん良かったことはこれだ!」という答えを用意したいと思い、考えていました。

「誰にも評価されず、誰の評価もしなくていいこと」

これが会社を辞めて「いちばん良かった」と思えること。他にも良かったことはあるけれど、いちばんは一つ、ということで。

え、そんなこと?と思われる方もいるかもしれません。(この答えに至った時、正直、自分もちょっとそう思ったくらいで。)冒頭のnote記事にも書いているように、会社を辞めようと思った主な理由は、「勤務地」と「副業」の概念から自由になること。どこで何時まで働こうが会社に承認を得る必要はないし、広告の仕事をしながらCM音楽や作曲の仕事をして収入を得ることに遠慮の必要もなく、広告クリエイティブで得たフィーを「事業」として音楽活動に投資できるようになりました。そんなの今ならみんなやってるけど?と言われるかもですが、自分にとってはそれを「会社の許可を得てやっている」「会社に内緒でやっている」どちらもこの先、続けることがしんどいなと思ったのです。なので独立したおかげですっきりしました。

けれど、

Q.「会社を辞めて、一番よかったことは?」
A.「それは勤務地と副業の束縛から自由になったことです」

だと、ちょっと何かが足りないというか。会社を辞めてからずっとゆるやかに機嫌がいい理由は、別の言葉で言い当てられる気がする。ってことでそこからさらに考えて、ひとつの単語にたどりつきました。

「評価」です。

会社を辞めて一番よかったと思うこと、

「誰にも評価されず、誰の評価もしなくていい」

「誰かに評価される」「誰かを評価する」どちらも会社組織の中では空気のように存在しているように思います。(大企業では特に)。半期に一度とか、人事の季節風みたいなのが吹くと心がざわざわしたものでした。(昇給や昇格は生活とも直結してますしね。)興味深いのは、会社にいる間はその空気がそこまで吸い込みづらいものに感じなかったということ。自分の場合、会社を辞めてみてはじめて、実はそれがいちばんのストレスだったのでは?と気がついたのでした。

会社を辞めたんだからそんなの当たり前だろ、と言われたら、はいその通りです、と言うしかないのですが、「いちばん良かったことは何か?」と聞かれたら、その当たり前の素敵さをじっくり味わっています、というのが答えになると思います。

続いて、2つ目の質問。

Q.2「NEW HORIZON COLLECTIVE どう?  抜ける気はないの?」

これもけっこう聞かれます。「NEW HORIZON COLLECTIVE」に参加して1年が経過すると、自分にその意思があれば業務委託契約を解消し「脱・NEW HORIZON」することも可能なのです。(実際そうした人もいます。)

ここでいま一度、
そもそも「NEW HORIZON COLLECTIVE」って何?どういう仕組み?という方のために、やや刺激的な見出しの記事をどうぞ。(ちなみに写真左から2番目の白いシャツ着てるのが私です。)

記事中にも出てくるように、NEW HORIZON COLLECTIVE (綴りが長いので以下 NH )のいちばんユニークなシステムは下記だと思います。

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業務委託契約で交わした一定の業務を行うことで、向こう10年にわたって固定報酬が得られ(もちろんこれは会社にいた頃の給与よりも低いです)かつ各自が生んだ業務利益の一定比率をインセンティブ報酬として受け取るという仕組み。それにプラスして自分のやりたい事業を行えるという、なかなか画期的な制度なんですね。

「NHを抜ける気はないの?」とよく聞かれる理由の一つは、「脱・NH」した方がお金的には儲かるんじゃないの? という観点から。確かに、現時点での自分のについて言うと、脱・NHして固定報酬を手放し、今やっている仕事のフィーを100%受け取る形に切り替えた方が儲かる計算にはなります。(電通以外の代理店の仕事も受けることができるようになったりもしますし。)

ただ、フィーに関して言うと、自分はNHの話がある前から会社を辞めることを考え始めていたので、独立したら当面いくらくらいの収入があるかはかなりシビアに計算していていました。わりと神経質なくらいに電卓をたたいていたのです。もと銀行員の本領発揮とてもいいますか笑。そこにNH立ち上げの話が起きたので、金銭的には「NH参加で独立    NH参加しないで独立 」になることと、その差額がどのくらいかも想定はしていて、実際これまでの収支はほぼその通りになっています。今の時点でより多くのお金を稼ぐ、より多くの仕事を受けるという観点で見れば確かに脱・NHの選択もあると思います。でも今のところ、そこまでしなくてもなあ、という気持ちでいます。

そもそも、自分の独立の動機が「仕事場所や仕事時間、副業のことで管理されたくない」というあまりアグレッシブじゃないものであったことも関係していると思います。企画事務所「カンガエル」を起業する時にまず「何をするか」ではなく「何をしないか」を決めたんですが、

事業を成長させない。人を雇わない。

これが方針として掲げたことです。なんて後ろ向きって思われる方もいるかもしれませんが、そうでもないといいますか、後ろも前も向いていない、というのが近いのではないでしょうか。少なくとも今後、カンガエルに成長という目標は不要だと思いますし、これはあくまで個人的な感覚ですが「成長」という言葉にある種の「呪い」のようなものを感じてしまうんですよね。(とくに最近は。)自分がいちばん機嫌よくいられる場所はその対岸にあるように思います。

ひとつだけ、NH参加にあたって身構えていたのが人づきあいでした。一人でいることが好きで、初対面の人とすぐに打ちとけるといったことも得意ではないですし、むしろ誰とも会わずにずっと音楽を作ったり企画したりしている方が心が安定する性分なので、NHに参加して他のメンバーの人たちと頻繁にコミュニケーションを取ったり共同作業をする必要があると疲れてしまうのではないか?と懸念したのです。でもそれは取り越し苦労でした。NHメンバーとの繋がりはゆるやかですし、何かに参加を強制されて負担に感じることもないですし。もちろん上司も部下もありません。

ということで、
NEW HORIZON COLLECTIVE どう?
ー  思ってた以上にいい気がします。

抜ける気はないの?
ー  今のところ考えていません。が、将来的にNHが居心地の良くない場所になることがあれば、その時に考えます。

といった感じです。

そして、3つ目の質問。

Q3. 「じゃあ今後、やりたいことは何?」

これは2つ目の質問に答えている時、「事業を成長させたり人を雇う気はない」といったことを話した流れで聞かれることが多かったです。

元気で長生きして、
ミュージシャンとして人生を終える。

ときどきインタビュー記事などでは話させてもらっているのですが
自分は一度、27歳の時にあるレコード会社と契約が決まり、それまで勤めていた銀行を辞めたのですが、親の病気をきっかけにいくつかの事情が重なってミュージシャンとしてデビューすることを直前で諦めています。

その後、無職になりハローワークに通ったりしながら思い描いていたことがゼロになった事実をひとまず受け入れる期間を経て、やがて広告業界で働くことになり、広告の仕事で得た収入で生活しながら兼業ミュージシャンとして活動を続けてきました。クリエイティブディレクターとミュージシャンの二足のわらじ、とか言えば響きはかっこいいですが、現実は全然そんなものではありません。音楽で生活をするということを27歳のときに諦めてしまった自分にはもうあの時と同じチャンスはめぐって来ませんし、あれから25年の間に音楽業界も激変しました。ただとにかく音楽を続けたかったし、やめることは考えられなかったので、広告キャンペーンの企画をしつつそのCMソングを作詞作曲・プロデュースしたりすることで、音楽と広告にできるだけ境界線を引かない仕事の仕方を試行錯誤しながら今までやってきました。広告の仕事で生活を立てつつどうにか音楽を続けようと、じたばたしていた25年だったと思います。そういった意味では広告の仕事が自分に音楽を続けさせてくれているし、音楽を続けていることが広告の仕事にオリジナルな側面を与えてくれているとも言えます。他にやりようがあったのかもしれないですが、とにかくそうやって今があります。ですから今後も音楽を続けながら、クリエイティブディレクターとして求めてくれる人がいる限り、与えられた課題に対していい答えを出し、いい企画、いい言葉、いい映像を作ることで役に立ちたいと思っています。

でもいつの日か必ず、広告の仕事の依頼が来なくなる日は来ます。
その日が来ても、自分の中で音楽は続いていきます。
クリエイティブディレクターとしての日々が終わった後も、ミュージシャンでいたいと思います。

さて最後に。
去年の5月に書いたこのnote記事の文末に

「持っている広告と音楽のスキルを使って、これはニューホライズンに参加したからこそできたことだな、と思えることをまずは1つやってみようと思っています。」

と書いていたのですが、1つ実現できたことがあるのでお知らせします。

NHのイメージソングを書き、MVを作りました。

タイトルは「NEW HORIZON」です。
独立前後のこの2年を音楽として記憶し、個人的な景気づけのつもりで書き始めた曲だったのですが、制作を進めていくうちに約230名のNHメンバーたちにも届く歌にしたいという気持ちがおこり、さらには自分と同じ50代の、これから何かに向かって動き出そうとしている人たちに届くといいなと思い始め、この作品が完成しました。力を貸してくださった制作スタッフのみなさん、NHメンバーのみなさんにこの場を借りてあらためて感謝したいと思います。

出演してくださったのは振付家・ダンサーの井手茂太さん。
一度お仕事をお願いしたいと願っていた方だったので、出演を受けて下さった時はとても嬉しかったです。

井手さんご自身も今年50歳。そこにも縁を感じました。 夜明けまで踊り続けてくださった井手さんは本当にかっこよかったです。

というわけで、独立2年目もおかげさまで機嫌よくやっています。

最近は地元・愛媛の仕事もいくつかお手伝いしたりしているので、
そのことについても、いつか書きますね。

じゃあまた!









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