見出し画像

疑問点① 脂肪をとると太るのか

医者として、外来で日々このように伝えてきた。「アブラはとっても太らない。炭水化物が太る原因です。体重を落としたければとにかく炭水化物のとりすぎに注意して、油はあまり気にしなくてもいいです」と。この根拠は僕が比較的信じている一冊の本に書いてある。

「医者が教える食事術 最強の教科書」 牧田善二著

脂肪を食べたから体の脂肪が増えるのではないということです。食べたものは、消化・吸収の過程で、新しい物質に分解・合成されていきます。脂肪を食べたから、そのまま脂肪になるというのではなく、糖質を過剰摂取してブドウ糖が余ると、中性脂肪が蓄積されるのです。

ブドウ糖は体のエネルギーとして使われるのですが、どうしても余分にとらざるを得ません。余分にとったぶんは「グリコーゲン」に形を変えて肝臓や筋肉中に蓄えられます。さらに余ったブドウ糖が「中性脂肪」となって脂肪細胞に蓄えられるということみたいです。

つまり、糖質をとればとるほどブドウ糖が余り、余った分が脂肪になる。一方で脂肪を口から食べてもそのまま脂肪として体に蓄積されるわけではないということなのだそうだ。

生化学的にはとても納得のいく説明である。しかしトレーナーからは「脂質も極力控えるように」との説明があった。これはどうしたらいいものか。

もう一つ、とても参考になり僕が信じている本がある。

「世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事」 津川友介著

昔は食事の中の脂質の量を減らす(低脂質食)ことでダイエットができるのではないかと考えられており、実際にそのようなダイエットが行われていた時代がある。しかしながら、被験者を低脂肪食と高脂肪食に無作為に割り付けたランダム化比較試験の結果、低脂肪食を食べていた人も、高脂肪食を食べていた人も体重の変化に差がないことが明らかになった。低脂肪食は必ずしも「やせる食事」ではなかったのだ。

これはNew England Journal of Medicine(2008; 359: 229-241)という医学会では最強の雑誌に載っている論文の結果であり、かなり信憑性が高い。ただ、津川先生も言っている通り、低脂肪食は痩せないと言っているだけで、高脂肪食は太らないという結論には至らないという点には注意が必要だ。

(元論文を読むと若干ニュアンスが違う。これはまた今度精読しよう)

いずれにしても統計学的な観点と生化学的な観点での精査が必要だな。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?