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第28話 学芸員古沸妖の妄想宇宙論【実体験×科学×オカルト=ビックバン】いっしょにぶっ飛び!

人はなぜ生きるか?

14.学びあい

 さてこの娘さんとの出会いで赤木館主が教えられた事がもう一つある。

 野生動物たちは、子孫を残すという分かりやすい結果をもって、愛を高めているのを実感しているのですよね。

 でも、この娘さんは生理が始まっても身体的個性から子どもを生むことはできないでしょう。

 でもきちんと大きな愛を学んでいる。

 それが娘さんの生きる意味で誰も否定は出来ないんですな、むしろ頑張って生きている事を応援している。

 その生存確率はかなり奇跡的なもの、つまり極少数派の学ぶ形です。

 ここで考えたいのは、子どもを生むことだけが愛を学び心を魂を育てるという事ではないという事です。

 人に当てはめると、結婚して子どもを生み育て、一人前にするという行為において、その過程で生まれてくる障害を一つ一つ乗り越える事で利他愛を育てる事が、誰にでもわかりやすい行為という事なだけなんですね。

 それは簡単にいかないからこそ、一生懸命になれる。ましてや自分の子孫ならばね。

 でもそれが絶対ではないのです。

 この娘さんのように少数派ではありますが、こういった成長の仕方もあるのです。

 つまり、子孫を生む事が絶対ではなく、子孫を残さない愛の育てかた、心と魂を育てる方法があるという事を、この娘さんとご家族は教えてくれていたのです。

 そこで異性間の愛の育て方にこだわらない、少数派の愛の育て方とは他にどのような形があるのかと考えると、LGBTQです。

 この娘さんが生きている事を否定できない以上、LGBTQを否定してはならないのです。

 いわゆる肉体的精神的障害を持って生まれてきた先天性の方々や、事故などで体の一部を欠損された後天性の方々も含め、個性であると同様、全ては愛を学ぶ為に持ち合わせた肉体的精神的多様な個性であり、愛の学び方にも多様性があるということです。

 むしろ、圧倒的大多数の中で生活しながら、違う学び方を実践している方々の勇気を称えるべきだと思いませんか?

 ただし新しい命が生まれないと、新しい魂の学ぶ機会がなくなります。

 そういった意味からは子孫を残し、育てるという行為は重要です、だけど、肉体的精神的個性において純粋に個性に合った形で、愛を学ぶ多様性はあって当然だし、社会がそれを拒む事は言語道断な行為です。

 拒むという行為は、自身の愛を育てるという目的を退行させることにつながります。

 なぜなら、出会いは必然なのです、それが周囲にそういう方々が存在する、もしくはテレビやニュースで見たというのも出会いです。

 宗教観、自分の嫌悪感などから否定したい気持ちは理解できますが、出会いは何かしらの学びをもたらしています。

 それが何かを考える事が最重要で、否定すると何も前に進まない、それは愛を育て心を育てるという生きる目的から逸れていく行為で、もちろん強く肯定しなくても良いですが、生きる権利、自由意志の意味を考え、特別視するわけでなく極めて普通に接し、その方々の生きる権利を認める事が大切です。

 そうしてお互い影響しあい学びを享受する事で、個々を超越した大きな愛は育まれていくのですな。

 もちろん社会的弱者を守るという行為もそこには含まれます。

 このように館主が若かりし頃に出会った、この娘さんとご家族、そして周囲の方々は、赤木館主に途方もなく大きな学びをもたらせてくれたのです。

 そして第2話で倫理の先生が言っていた、肉体的精神的特徴、国、宗教、生物学的特徴などの多様性は愛を学ぶ多様な形であり、全てが影響しあって生きとし生きるもの全てが向上するために存在するのです。

 言い換えれば多様性の本当の意味とは、全ての個性を否定せず受け入れて、その出会いの意味を個人個人が自分なりに消化し、その先にある大きな愛を育てる為の課題ではないでしょうか。

 その課題を克服するため、人に与えられた最強のツールが想像力です。

 ここまで理解するのに赤木館主は、高校時代から
数えて40年以上かかった、言い方を変えると、第2話で出てきた倫理や物理の先生は、本当の意味で教えて下さったのです。

 さて、ここまでくると、もう一つ考えないといけない、なぜ生きるか? という疑問の先にあるもの、死とは何か? ですな。

つづく
→第29話

第1話 1.プロローグ 2.ここは思念の世界です
第2話 3.物語を進めるにあたって
第3話 作用と反作用-1
第4話 作用と反作用-2
第5話 作用と反作用-3
第6話 概念における作用反作用-1
第7話 概念における作用反作用-2
第8話 心における作用反作用
第9話 思い出すってなんでしょう?-1
第10話 思い出すってなんでしょう?-2
第11話 思い出すってなんでしょう?-3
第12話 思い出すってなんでしょう?-4
第13話 オカルトなお話し-1
第14話 オカルトなお話し-2
第15話 出会い-1
第16話 出会い-2
第17話 魂と脳という臓器-1
第18話 魂と脳という臓器-2
第19話 魂と脳という臓器-3
第20話 魂と脳という臓器-4
第21話 この物語の骨子-1
第22話 この物語の骨子-2
第23話 この物語の骨子-3
第24話 この物語の骨子-4
第25話 善と悪-1
第26話 善と悪-2
第27話 善と悪-3

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