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DesignOps2022年の振り返り

この記事は Goodpatch Design Advent Calendar 2022 9日目の記事です。

Goodpatchでは、数年前にDesignOpsチームが発足し活動しています。
今回はDesignOpsの取り組みの中で、採用以外の組織よりで行った2022年の施策を振り返りをしていきたいと思います。

  • 自己紹介

割と長々と書いてしまったので、DesignOpsの大枠として大事なことを知りたいという方は、取り組み詳細以外の部分、DesignOpsの具体的な取り組み(People Operations寄り)を知りたいという方は取り組み詳細を見ていただければと思います🙏

DesignOpsの基礎概念や海外事例などを知りたい方は、マネーフォワードのイノツメさんのnoteを要チェックです!(めっちゃまとまっていてすごい👀)

また、2023年1月31日にマネーフォワード、dely、GoodpatchでDesignOpsのイベントを開催予定です!
興味ある方は随時情報公開予定ですので、ReDesignerのTwitterをフォローください!
Twitter:https://twitter.com/ReDesigner_jp

2022年の取り組みの振り返り

取り組みの前提

Goodpatchのクライアントワーク事業では、現在130人程度のデザインに関わるメンバーが所属しており、デザイン範囲も年々広がり、職種、専門性としても拡大しています。

各職種積極採用中です!

そのクライアントワーク事業の組織に向き合っているGoodpatchのDesignOpsチームでは、InVisionが出しているDesignOpsHandbookのサークルでいうとPeople Operations>>>Workflow Operations>(Business Operations)の割合で取り組んでいます。

InVision/DesignOpsHandbook

組織特性・構造から考える取り組みの比重

DesignOpsで向き合うべき事項は組織特性・構造によって大きく変わってくると思っています。
Goodpatchのクライアントワーク事業で言うと、

  • デザイナーというざっくりとした職種ではなく専門性が細かく分かれている
    各専門性で向き合うものや課題が変わり、例えば「UIUXデザイナー」という一括では語れず、「UXデザイナー」と「UIデザイナー」が向き合っているものもケイパビリティも大きく違ったりします。

  • クライアントワークという特性上デザイナーが向き合う課題がプロジェクトによって大き変わる
    常時30件くらいのプロジェクトが並走しており、クライアントの業界もさまざまとなり、向き合っている課題もソリューションも全く違っています。ベースとなるプロセスやワークフローはあるもの基本フルカスタムでプロジェクト進行することになります。

  • 組織に人数に対してDesignOpsのリソースが限られている
    130人近くのデザインに関わるメンバーに対して、DesignOpsの組織側に向き合っているメンバーは数名となっており一人が動ける範囲も限られており、さらには所属しているメンバーが、UIデザインやUXデザインなど得意としている領域も異なるまたは、経験としてないデザイン領域もあります。

以上のことから、より専門性が求められる具体的なワークフローの整備やプロセスの体系化は、各専門性のマネージャーやメンバーが中心として検討し取り組みの推進を行っています。
一方で、職種、専門性関係なく共通して上がる課題やワークフロー、プロセスといった部分はDesignOps側で担うという方針で行っています。Bisiness Operationsに関しては、部署の共通機能であるセールスチームやマーケチーム、各スタジオのマネジメントやGMが担っています。(今後染み出していきたい領域ではあります)

2022年行った主な取り組み

〜 People Operations領域 〜

・Geppoパルスサーベイ

今年の2月からクライアントワーク事業のメンバーに対してGeppoのパルスサーベイを毎月実施しています。

・パルスサーベイとは
パルスサーベイは従業員満足度(ES)を測る際に用いられる従業員に対する意識調査の一種です。ES調査には様々な方法がありますが、他の手法と比べてパルスサーベイが特徴的なのは、実施頻度の高さにあります。

GeppoのWebサイトより

毎月月初めに行う、仕事、対人、体調に関しての個人の状況に関するサーベイで5段階の天気から自分の状況を回答するというものです。

Geppo
  • 施策の背景・組織課題
    130人と組織として大きくなってきており、マネジメントによる日々の1on1や半期に1回の組織サーベイだけでは、現在組織が抱える課題や個人が抱えている悩みを把握しづらい状況になる可能性があり、個人にフォーカスした課題抽出の手段が必要性が高まってきていたというの背景があります。

  • 実施してみての効果
    メンバーには、任意回答として運用しているのですが、毎月90%以上のメンバーが回答してくれる仕組みとして定着しています。
    各個人のモチベーション、コンディションを把握し変化をモニタリングできるため不調が出ているメンバーに1on1を実施し、悩みや課題の早期キャッチアップと必要なサポート提供を行っています。
    また、パルスサーベイの結果はDesignOpsの一部メンバーとGMレイヤーにしぼり直属のマネジメント層も見れない状況で運用することで、回答するメンバーの心理的安全性を保った仕組みとして運用することでマネージャーとの1on1では話しづらい課題の吸い上げることができています。

・社内コーチングセッション

DesignOpsに所属しているメンバーがコーチングの資格を保有しており、社内のメンバーに対しても希望者を募りコーチングを実施しました。

  • 施策の背景・組織課題
    短期的な悩みや課題は、日々のマネージャーとの1on1やGeppoのパルスサーベイなどで相談、解決できるもののデザイナーとしての中長期的なキャリアの悩みやそれを踏まえ、今自分が何に取り組むべきなのかというもやもやを抱えているメンバーもおり、自己探求の場としてコーチングセッションを実施しました。

  • 実施してみての効果
    半年の期間で40人とセッションを実施しました。
    普段プロジェクトに集中しているとなかなか内省できなかったり、中長期的なキャリアに向き合う機会を作れないことも多くある中で、機会を作るきっかけになったメンバーも多くいたようです。
    現在はコーチングを実施していたメンバーは独立し取り組み自体はストップしているのですが、今後再開できるように検討中です。

・目標管理ツール刷新

今期からクライアントワーク事業で先行し、目標管理〜評価を行うツールを刷新しました。

  • 施策の背景・組織課題
    期ごとに目標を立てて運用することはしていたのですが、以前使っていたツールでは使いづらさもあり評価時期のみの利用となっており、目標設定から日々の目標管理を中心とした運用がうまく回っておらず、目標を設定し定期的に管理を行うこと、その期の評価や振り返りがより適切に行える状態の構築が必要でした。

  • 実施してみての効果
    まだ、導入してから時間がたっていないですが、ツールの刷新だけでなく、マネージャーとの1on1での定期的に目標の進捗の確認や見直すフローも整備し、マネージャーとメンバーともに目標に向き合える環境構築に努めています。

・月末個人振り返り会

チームではなく個人で振り返りを行う会を設け、その月に経験したことを棚卸しメタ認知する機会として運用しています。

  • 施策の背景・組織課題
    KPTなどでプロジェクトチームで振り返る習慣や機会はGoodpatch内では多いのですが、自分自身のことについて内省し振り返る機会はなかなか持てていない状況でした。
    学習に影響を与える要素として書籍や研修、他者からの情報よりも仕事を通して自分で経験したものが70%とされています。

また、内省自体は、経験学習の文脈でも重要とされており、仕事での具体的な経験をそのままにするのではなく、内省することで成長、学習につながるとされており、普段のクライアントワークの経験をより個人の成長につなげる機会として月末希望者で集まって内省・振り返りを実施しています。

コルブの経験学習理論
  • 実施してみての効果
    月に一回月末に希望者を募り、個人の内省・振り返り→振り返った内容をペアワークでシェア、深堀りしあうというかたちで実施していますが、毎月固定メンバーも増え、普段プロジェクトで忙しい状態が続き自分自身の内省時間が取れないことも多いため、時間をとるきっかけにもなっているようです。
    また、ペアワークでシェア、深堀りし合うことで自分になかった観点や自分自身がうまくできたことを褒めてもらう時間にもなり自己肯定感を上げる機会にもつながっています。

    • 内省・振り返りのフォーマット
      「今月やったこと」「うまくいったこと+感情スタンプ」「うまくいかなかったこと+感情スタンプ」「来月の宣言」の4つの観点で内省・振り返りを実施しています。

内省・振り返りのフォーマット
みんなでわちゃわちゃと自分の1ヶ月を振り返っています

・パーソナルキャンバス・ワークショップ

今期トライアル的に一部のメンバーを対象に目標設定を行うためのベースとして、自分自身の現状を棚卸しするパーソナルキャンバスを作るワークショップを実施しました。

  • 施策の背景・組織課題
    Goodpatchでは、数年前からOKRの仕組みが導入されており、組織が目指していることをベースに自分個人が何ができるかを半期に一度考え目標設定をしていますが、より個人の成長にフォーカスした目標を立てることも必要と考えています。
    そのために個人の成長ややりたいこと(Will)にあった目標を定めることにフォーカスしたワークとして設計し実施しました。

  • 実施してみての効果
    「普段漠然と思っていることも、こういったワークショップなどの形式考えることで気づきがあった」「忘れがちな中長期の視点をあらためて考え直す機会になった」などの感想が得られ、目標設定のベースとなる役割を担えたと思っています。
    パーソナルキャンバス自体は、一度描いて終わりではなくマネージャーとの1on1や目標の進捗に合わせてアップデートして行くことでより個人のキャリア形成の下支えするものになると考えており、ワークショップ単発ではなく継続的な取り組みとして提供できるように検討中です。

・オープン1on1

さまざまなメンバーとスポットで1on1を実施し、その内容を社内向けの動画・音声共有ツールで社内ラジオ的に配信しています。

  • 施策の背景・組織課題
    今期一部組織構造が変わったこともあり、各組織の枠組みの中での活動が増え枠に閉じてしまう可能性も予想されたため、トライアル的にメンバーが最近取り組んでいることや考えていることなど吸い上げ組織の枠に閉じず情報循環を行う必要性が高まっています。

  • 実施してみての効果
    社内向けの動画・音声共有ツールを通し、多くのメンバーに聞いてもらえ、普段の業務で関わらないメンバーを知る機会につながっています。また、聞く側だけでなく1on1で話す側のメンバーも楽しんで話してくれ、オンラインでの業務が当たり前になっている中での個人の情報発信のサポートする機会にもなったようです。
    DesignOpsへのフィードバックアンケートの中には、「次の配信が楽しみです!」という声もいただけました!


〜 Workflow Operations領域 〜

・ナレッジパッチの運用安定化

クライアントワークの各プロジェクト終了後にナレッジをシェアする取り組みとしてナレッジパッチというものを長年行っているものですが、会の開催からナレッジ蓄積までのフロー整備し安定運用ができる状態の構築に取り組みました。

  • 施策の背景・組織課題
    1時間〜1時間半くらいオンラインでナレッジシェアの会となっており、なかなかスケジュールがあわずリアルタイムに参加できないメンバーも多い状況の中で、シェア内容を社内ブログに記事化して投稿する施策を行っていました。ただ、運用負荷も高く記事アップまで時間がかかってしまっているという運用課題がありました。

  • 実施してみての効果
    インターンメンバーと連携してテンプレートの活用などフローの改善施策を回し、スピード感をもって記事公開できるようになり同期・非同期ともに安定的に社内にナレッジ情報を発信することができています。
    今年は30件ほどのプロジェクトナレッジを記事化し社内ブログで発信できました。

ナレッジパッチ記事テンプレート

また、NotionでプロジェクトDBを組んでおり、そのDBに記事を紐付けることでどんな案件でどんなナレッジがあったのかがわかるDBとなり、「新規事業立ち上げ」「グロース」などのプロジェクトタイプやデザイン領域などで絞り込めるようにもなっており過去プロジェクトを知る機会として資産化を行っています。

Notionでのプロジェクトデータベース

・その他の取り組み

その他プロセス整備や成長機会として、まだ途中段階ですが取り組みを進めています。

  • UIデザイン研修プログラム構築

  • ソフトウェアデザイン勉強会

  • コーポレートクリエティブDBの構築+権利ガイドラインの検討

  • 新卒向けデザイン研修のアップデート

DesignOpsに所属するメンバーとしての向き合い方

GoodpatchのDesignOpsでは、先に記載したりしたとおりPeople Operations>>>Workflow Operations>(Business Operations)になっています。
組織によって向き合う優先事項は変わるため、適切な優先事項を立てるための日々のインプットがDesignOpsに所属するメンバーとしては大事だと思っており、特に以下の3つの観点をインプットできるように意識しています。

  • 組織の解像度が高いこと

    • 自組織が会社の中でどういったミッションに向き合っているか理解している

    • どういう人が所属していて、どういった関係性で組織が成り立っているか理解している

    • 自組織と周辺組織の関係性を理解している

  • 組織の課題の解像度が高いこと

    • 自組織内にどういった課題があるか理解している

    • 課題の関係性と根本原因を理解している

    • 自組織と周辺組織の間にある課題や組織ごとの課題の違いを理解している

  • デザイナーの業務やマインドセットの解像度が高いこと

    • 各デザイナーがどのような業務を行っているか理解していること

    • 業務の中で起きやすい問題を理解していること

    • 各デザイナーがどのような悩みを持っているか理解していること

DesignOpsが向き合う領域は、InVisionのDesignOpsHandbookのサークルで示されているように広く、全てをカバーする人材はいないと言ってもよく、所属するメンバーの得意領域は必ずあり提供できるソリューションも場合によっては限られます。
また、DesignOpsに専任でメンバーを配置できる組織もまだあまりないと思っています。

それらの制限を踏まえ、DesignOpsに所属するメンバーの得意領域(組織に提供できる価値)と、自組織の特性、構造を踏まえ、組織が抱えている課題や問題をかけ合わせたバリューポジションを描き優先度を立て、施策を中長期的に実施する必要があると考えています。

DesignOpsと組織のバリューポジションマップ

DesignOpsでカバーしきれないところは、組織に所属しているメンバーやマネージャーの中で得意領域として持っている方と連携し任せることや全社人事や経営企画メンバーと連携していく必要も多くあります。
最近では、全社HRメンバーとの連携も多くなり自組織内部だけでの課題解決だけでなく、DesignOpsチームでトライアル的に実施したものを全社適応すべく連携したり、DesignOpsだけで完結できない課題に関して連携したりと足並みを揃えた取り組みも増えてきています。
そういった意味では、組織内でより多くのメンバーと関係性を持ち、組織の中で結節点となり取り組みを進めることもDesignOpsにとって重要な要素だとこの一年で強く感じました。

DesignOpsにおける組織内の関係性構築

むすび

現状の組織課題や組織特性・構造に合わせて取り組みを実施していますが、中長期で向き合う課題が多いことやすべての課題に取り組むことができているわけではなく、少しずつ地道に進んでいく活動が多いです。
このnoteを書くにあたって社内でDesignOpsの取り組みへのフィードバックをもらうアンケートを行ったのですが、上記に書いたような取り組みを行っていることを知らなかったという回答もあり、取り組みを行いながらも社内発信をしてより多くのメンバーに取り組みを知ってもらい、参加してもらったり、フィードバックをもらい改善を繰り返していくことが改めて必要だと感じました。

今後も現状行っている取り組みは継続しつつ、より多くの組織課題の解決やメンバーのサポートだけでなく、エンパワーしていく役割を担っていければと思っています💪

DesignOpsチームのミッション


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