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妊婦さん(妊活中含む)への小児科医からのメッセージ

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ペリネイタルビジットの出来ない小児科医からメッセージです
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2015年5月の記事一覧

産後の抜け毛はどこに行く?

 出産後抜け毛が多くなった女性は決して少なくはないと思います。これは分娩後脱毛症といい、決して珍しくはありません。多くの場合、数ヶ月で元通りになります。

 さて、その抜け毛はどこに行くのでしょう?

 もし赤ちゃんが突然泣き出して、何もしても静まらない時は、手・足の ゆび を覗いてみてください。

 抜けた髪の毛が、赤ちゃんの ゆび に巻き付いて、痛みを訴えることもあるのです。

 これを、ヘア

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39mmより小さいものは口に入ります

  母子手帳にも誤飲(ごいん)・誤嚥(ごえん)についての注意書きはあります。しかし、39mmより小さいものは3歳未満のお子さんのお口に入り誤飲・誤嚥・窒息の可能性があることは、乳児健診などで確認してみると案外知られていないようです。

 地域によって母子手帳の作りが異なるためかもしれません。母子手帳に39mmの穴を繰り抜いた厚紙を綴じ込み実感できたり、「誤飲チェッカー」の作り方を書いたのもあります

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産後は 車にチャイルドシートを取り付けてから退院を

 赤ちゃんが退院するときに、どうやって家に帰りますか?歩きでしょうか?それとも自家用車でしょうか?

 自家用車・タクシーなどを使用する場合、必ずチャイルドシートをつけましょう。当然のことながら、乳児用を選んでください。選定は、こちらも参考にしてください。

国土交通省:チャイルドシートコーナートップ

 取り付けをした人にはわかると思いますが、乳児用のチャイルドシートはとにかく取り付けが大変です

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出産後自分自身にも早めに必要なワクチンを

 今度は出産後の女性のことを取り上げてみます。

 妊娠中に採血したと思います。その時に感染症の検査もしています。風疹・B型肝炎・HTLV-1・HIVなど。その他麻疹・おたふく・水痘・トキソプラズマ・サイトメガロウイルス・梅毒など…

 これらの感染症の中には、妊娠中に感染すると胎児に悪い影響が出たり、早産・流産の原因になるものもあります。妊娠中には罹らない対策が必要ですし、予防できるものは予防し

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ケイツーシロップは生後3ヶ月まで

 母乳は赤ちゃんにとって優れたものですが、粉ミルクの方が栄養的に優るものがあります。その一つがビタミンKです。

 多くの人々にとってビタミンKが有名になった出来事は、山口新生児ビタミンK欠乏性出血症死亡事故でしょう。助産師が赤ちゃんにビタミンKを投与せず、赤ちゃんは頭蓋内出血を来したために亡くなったのです(更に悲しいエピソードもあります)。

 ドイツ語で「凝固(固まる)」ことをKoagulat

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股関節脱臼について2-予防と早期発見

 子供の股関節脱臼は、対応を誤れば生涯にわたって影響が出るかもしれません。重症度にもよりますが、最初はそれなりに歩けるものの股関節に痛みを生じてきます。最終的には変形性股関節症となり、手術が必要なこともあります。

  子供たちが将来股関節脱臼の後遺症で苦しまないようにするためには、股関節脱臼の予防と早期発見が大切です。 予防のためには、股関節を含めた脚の動きを自由にし なおかつ 両膝と股関節を曲

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股関節脱臼について1-股関節脱臼は増えている

 昔日本では、先股脱(先天性股関節脱臼)が多いと言われていました。民族的な素因も考えられますが、おむつをするときに足を伸ばしたままにするスタイルが多かったです。足を伸ばしたまま(伸展位)にすると、股関節が外れやすくなるのです。

 先ほど先天性股関節脱臼と書きましたが、胆道閉鎖症と同じく必ずしも「先天性」ではありません。逆子(骨盤位)では足が不自然な形で伸ばされるため先天的に股関節脱臼になる素因に

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便色カードについて

 今の母子手帳には、便の色を載せた便色カードというのがあります。

 これは、胆道閉鎖症という病気を早期発見するためのものです。胆道閉鎖症になると、肝臓から腸に胆汁が流れなくなるため、便の色が薄くなります。

 胆道閉鎖症が進行すると、肝臓の機能が悪くなります。血を固める能力が低くなり、頭のなかで出血が起こることがあります。胆道閉鎖症は早期発見が大切で、そのために便色カードが必要なのです。

 便

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