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DJあかい伝第二「人間到処有青山」

「親譲りの無鉄砲で子供の時から損ばかりしている。小学校にいる時分学校の二階から飛び降りて一週間ほど腰を抜かしたことがある。なぜそんな無闇をしたと聞く人があるかもしれぬ。別段深い理由でもない。新築の二階から首を出していたら、同級生の一人が冗談に、いくら威張っても、そこから飛び降りることはできまい。弱虫やーい。と囃したからである。小使に負ぶさって帰って来た時、おやじが大きな眼をして二階くらいから飛び降りて腰を抜かす奴があるかと言ったから、この次は抜かさずに飛んで見せますと答えた。」(夏目漱石『坊っちゃん』)

父と母の第一子として生まれた僕は、手に負えないやんちゃ坊主で、外へ出ては喧嘩して生傷を増やして帰ってくるので、最初の子で経験値の低い親はほとほと手を焼いて大変だったようです。第一子の子育ては大変でもあり、一人っ子のように親と子がともに向き合ったり悩んだり方々旅行に行ったりと、今自分が親となってそれを追体験してみて、余計手がかかって大変だっただろうなと親に想いを馳せています。みんな自分が一人で勝手に大きくなったような顔をしていますが(僕もそうでした)、本当に小さい子供は病気もするし怪我もするし飛び出すし手もかかるわけで、そう考えると無事大きくなってること自体がそうやって愛された証左なのだなあと、ーーこれは子供ができる前はわからなかったことですがーー思うことしきりです。
さて、どこの家でもあることですが、「計算が早い」とか「考えていることが同年代の子より早い」といった点を指して、「この子はとても賢い子なのでは?」「神童なのでは?」と勘違いする現象があります。(今現在進行形でうちの子に対してそんなことを思っている時期です)訪ねてきた近所の人の家の屋根の色を聞いたり、空飛ぶタクシーのCMを見てあのタクシーを運転したいと言ったりかわいいものでしたが、大人たちはその姿をもてはやしました。

第二部の構成は以下です。
・農政官僚への道
・上京への希望と障壁
・人間到処有青山

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