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幸福論

ぼくには、どんな宝石よりも、君の命は美しいと思えた。

君にとっては、違うのだろうか。


寒さに毒されて、からだが重く沈む。

冬の暗い空に、どうしてか鯨が泳ぐのを見た。

──わたし、この夜に身を投げて、しんでしまいたい。

闇へ投身する。綺麗でしょう?


君は宝石のように美しく光る、アスファルトへ打ちつける雨を見ながら、呟いた。

その死に惹かれた横顔が、あまりにもきれいで、ぼくは強欲にも、そのどこか内に潜む魂が、この手に欲しいと思ってしまった。


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