過(memo)
自らの生きづらさというのに何かの名前が当てはまらないことが、時々苦痛で仕方ない。これって一般的に抱えていて問題のない範囲の生きづらさなのだろうか。
こういうことを書くと、たいして心配もしていないし、僕の事なんて声すらも知らないくせに「大丈夫?話聞こうか?」とbotさながらすっ飛んでくる奴がいる。お前はお呼びではないのだ。
頭を常に見えない何かに押さえつけられている気がする。これを脱せたことがないが、ひどい苦痛を伴った事が無いので放置している。僕にはあまり自分の考えというものがない。いつも誰かに操縦されることを期待している。こうして大人になったのだから、大事な局面で必ず、己の無力に辟易してしまう。
呆れたものだ、こんなことも出来ないなんて……と言っているのは僕ではなく、僕のもっとも偉大なる操縦士だ。僕は別に、無理に生きるくらいなら程よく安心して暮らせる道を選びたいと思っているから、自分に無理強いなんてしたくない。無理をするなら舌を噛んでさっさと消えたほうがいい。無理ができる程、僕は出来た人間に設計されていない。沢山のことをいっぺんにはこなせないし、どうせ実行できない計画を立てることも大嫌いだ。
どこか遠くへ行ってしまいたいと思う。機体には機体なりの矜持と意志があってもいい筈なのだ。逃げたって怒らないでほしかった。僕はあなたではないし、もう臍の緒で繋がってもいない。不出来ならばそこで見切ってくれた方がマシだ。
でも、逃げたことすらほめて欲しい。あなたは僕のことを褒めてくれない。欲しい言葉もかけてくれない。僕もあなたを少しでも操縦する権利を与えられて、何か一つでも望んでいることばを言ってもらいたい。わがままだと言われるかもしれないが、足りなくて苦しいのはそういうものだと思う。
もう大人なんだからという言葉で片づけないでほしい。子どもの時に最低限さえ与えなかったのはあなただ。そういうことにしたい。
未だに己の分身を意のままに操れると勘違いしていて、正直、吐き気がしている。僕はあなたが子どもだったころに欲しかったものを必ずしも欲してはいない。僕の不満に無理やり内訳を張り付けて満足に変換しないでほしかった。その度に僕の自由意思は無くなった。
これも全て責任転嫁だと赤の他人に否定されるのかもしれない。僕の生きづらさは僕の不勉強と怠惰が原因なのかもしれない。だから一刻も早く、生きづらさがもっと顕著になればいいと思っているし、そうなることで漠然としたこの状態に名前がついてほしかった。そうすれば、手早く生きやすくなると、どこかで誇大解釈している僕がいる。
どうにもできないのだったら、はやく人生の屋号を畳んで消えてしまいたい、もうこれが10年来の苦しさになろうとしている。ただの憂鬱では終われない、その先がある気がしてならない。
将来のことは考えられない。もしも家庭を持ったらという在りもしない話を良くするが、あなたに育てられて、この家で暮らしていて、家庭を持とうと思った事が無い。操縦士のあなたは、あなたが子どもの頃に叶わなかったことを僕にさせたがるが、僕はそれを望んでいない。でも、もしも僕に子どもができたら、やはり僕の人生の上での後悔を、子どもに後悔させないように取り組ませるだろう。
だから、何かの論者ではないが、現状の僕を顧みて、こんなに苦しい思いをするのならば、次の命はこの手には抱えられないかもしれないと、それだけ、考える。
暗くて湿った土、凍る夜明けの空。辿り着かない鯨の果てに、ぼくは閉じ込められたままだ。大人になるということを信用していない。過去はもう忘れてしまったし、未来のことなんて、やはり何も分からなかった。ねぇ、こういう人になってしまったのだよ。ぼくは鯨の中にある今しか生きられない。誰がこんなことに感謝するんだろう。
ぼくは頭の回転が悪いが、そんなことくらいは分かるよ。まだ成したいことはあるが、どうせ何も出来ずに終わってしまう。少しでも否定されたことに対して無力だ。あなたが嫌悪感を示すことに恐怖しか覚えない。潔癖な心を持つあなたが怖い。だめだ、こういう話ばかりになってしまう。
考え出すと迷宮の奥でうずくまるような感覚になる。あまり良くない、のだと思う。でも寝たら忘れているから、こういうことは寝る前に大方考え終わっていて、それで最悪な気分のまま眠る。今日もそうだ。
どんなに環境や周りの人に恵まれていても、救われた気がしない。幸福とはどういうものなのだろう?安心とは何も考えないことだろうか?思考停止のぼくを、誰が認めるのか。
息が詰まりそうだ。否、もうとっくの昔から、息なんてまともにできていない。どうか、さようなら。誰も、ぼくの、何も思い出さないで、捨て置いてください。