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子どもをゆっくり時間をかけて見守る

以前、保育所に勤務していたころ、たまたま1歳児の子どもの保育をすることに。

所長だより「ゆっくりおおきくなあれ」に書いたものです。

あらためて、子どもをゆっくり時間をかけて見守ることの大切さを感じました。


太鼓橋に登っていた1歳の子ども。

たくさんの子どもたちと一緒ならば、登らせないでしょう。安全が確保できませんから。
でも、そうすると、子どもの成長の機会を逸してしまうこともあります。
第1に安全なのですが、十分注意して、トライさせることがあっていかも。
こうして成長を促していくことも必要だと思いました。

S君。1対1で過ごすことはめったにありません。部屋の中にいる姿を見ることはありますが。
その子どもが太鼓橋に登ろうとしていました。
私は普段の様子がわかりませんから、登るのをじっと見ていました。

しっかりした足取りで登っていきます。滑ることもないようで安心して見ていました。
私の肩の高さまで登るとストップ。さすがにこれ以上は怖いようです。
額には汗が。

しばらくすると降りはじめました。
でも、降りるには下を見なくてはいけません。でも、下を向くことができません。足の感覚だけで降りるしかなくなります。

ここでどうするか。

降りる足元がわからなくなり、力を抜いてしまうのです。太鼓橋に体を預けてしまうのです。そうすると、もう降りることはできません。
ここで、だっこして下ろすことになります。

でも、私はしませんでした。

降りる足を太鼓橋にかけてあげます。すると、両足に力を入れて、登った時と同じ姿勢になりました。
また一歩、降りました。その時も力を抜いてしまいました。同じように、足を太鼓橋にかけてあげました。すると、同じようにしっかりした姿勢を保つことができました。
それを繰り返し、太鼓橋の下まで降りることができました。

拍手でした。
その後、もう一度するんですね。
これがうれしい。子ども自身もうれしかったのでしょう。

また登り始めました。登るのは、先ほどよりスムーズです。早いです。
しばらくして降りはじめました。やはり、足をかけるところが感覚で見つけることができません。
でも、明らかに先ほどとは違います。脱力することが減ってきて、足をかけてもらうのをまっているかのようでした。
なんと先ほどより短時間で降りてきました。

やはり、3度目に挑戦しました。こうして繰り返すのが子ども。何度もやります。
すると、登るのはもちろん、降りるのもスムーズ。
足をかけるところを自分で探ることができているのです。
すごーいと、うれしくなりました。

あらためて、ゆっくり時間をかけて、挑戦させることの大切さを実感しました。
これが成長の一歩一歩の姿なのではないかを思いました。

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