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注目したい「幼少期の教育」が重要とされるわけ

近年世界が注目の幼児教育。「5歳までのしつけと環境が、人生を決める」と断言した経済学者ヘックマンの言葉は有名かもしれません。

実は、質の良い幼児教育は子ども個人の成長だけでなく、社会の経済成長にもつながると結果が出ているんです。

では、なぜ幼少期の教育は大事なのかその重要性を書いていきます!

質の高い幼児教育は社会全体に大きな利益

事実、アメリカでは質の高い幼児教育の費用対効果は3.9~6.8倍になるという検証結果が出ています。下のグラフをご覧ください。

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(出典:Heckman and Masterov(2007)“The Productivity Argument for Investing in Young Children”)

「アメリカ・ペリー就学前計画(Perry Preschool Project)」とは、1960年代のアメリカ・ミシガン州において、低所得層アフリカ系アメリカ人3歳児を対象に、学業不振に陥る危険性がある子どもたちに質の高い幼児教育を提供することで、より良い人生にすることができると実証した、約40年にもわたり追跡されたプロジェクトのことです。

犯罪の減少、所得の増加、労働生産性の向上、生活保護費受給者の減少などが結果となっています。また、IQなどの認知能力以外に、学習意欲、努力や忍耐などの非認知能力も同時に高まると言われています。小さい頃からの教育が相当大事であることが分かります。

ノーベル経済学者、ジェーン・ヘックマンの主張

2000年にノーベル経済学賞を受賞した、シカゴ大学経済学部教授のジェーン・ヘックマンの主張を見ていきます。

「20代で集中的な教育を施しても、幼児期ほどIQを高めることはできません。また、IQが示すようなテストを解く能力は、人生の諸問題を解決する能力と同じではありません。現実に直面する試練は、多くの異なる特徴を合わせ持っているからです。だからこそそこで、IQでは測れない忍耐強さや自己抑制力、良心が重要な役割を果たすのです。高いIQが必ずしも高次元の人生をもたらすわけではなく、一番重要なのは『良心』だと私は思います。」

とても力強いです、、5歳までの教育環境が人生を決めると主張した事については、若ければ若いほど様々な「潜在能力」が高まると言います。

「潜在能力とは、IQ(知能指数)で測れるわけではありません。潜在能力は、(経済力など)資源の制約、情報量と社会的な期待、両親の情報と期待、そして本人の選好、という4つの要因から影響を受ける『非認知スキル』です。」

とも断言しています。卓上での学びはもちろん、それ以外の社会との関係を持ち生き抜く力が大切なんですね。

こちらから参照していてかなり読み応えのある記事なので、興味のある方はぜひ👇

さらに、The Economics of Inequality~The Value of Early Childhood Education~のヘックマンの文献から少し紹介します。

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Good parenting is more important than cash.(質の良い子育ては、お金よりも大切)

「An economically advantaged child exposed to low-quality parenting is more disadvantaged than an economically disadvantaged child exposed to high-quality parenting.(経済的に恵まれてるけど、良い子育てをちゃんと受けてない子どもは、経済力が恵まれてないけど、良い子育てを受けた子どもより不利な立場にある)」 (、、つまり質の良い子育てが超重要)

と、決定づけています!

イギリスの哲学者、ジョン・ロックの主張

実はヘックマンが幼児教育の重要性について述べる前から、ジョン・ロックもその大切さを同じく述べています。

哲学者であるだけでなく、医師であり、教師でもあったロック。彼が子どもの教育について実際に述べていることを引用します。

「親たちはこう考えます。子どもの言うことに親は逆らってはいけない。なんでも思いどおりにさせるべきだ、子どもが幼いあいだはたいした悪事もはたらかないので、少々の不始末も大目に見てやってもだいじょうぶであり、子どもがかなり強情なときも、無邪気な幼児期にはそれぐらいのことは当然で、軽くあしらっておけばよい、と。(略)このようにして甘やかされて育つ子どもは、人を叩いたり、人の悪口を言ったりすることを教わっているに違いありません。(略)子どもが大きくなってあやすことができなくなり、もはや親のおもちゃのように扱うことができなくなると、親は、子どもが厄介者の悪ガキになり下がってしまって手に負えないと嘆き、子どものわがままに腹を立て、自分たち自身が子どもにそそぎこみ、それを助長した結果生まれた好ましくない性格に手をやくのです」(出典:ジョン・ロック『子どもの教育』p.33,34)


また、「はっきり申し上げますと、思慮深い人だけが子どものそばにいるべきなのです」とも断言しています。

携帯を片手に適当に返事したり、子どもの目線に合った話し方をしなかったり、うるさい!と言ってぶちぎれたり、、。外を歩けば、子どもにこのような態度をとる親がときたま見られるように思います。そういう教育をした親自身が、自分で育てた人間に手をやくというロックの主張、かなり共感するものがあります。

ここまで見ると、幼少期の教育には道徳教育が非常に大切だと分かります。親も子どもも、家族という1つのつながりを持つ以上、社会の中で共に生き抜く人間力が重視されていると、2人の見解から感じました。

2019年10月 幼児教育を無償化する取り組み

実は、去年からすでに始まっている幼児教育の無償化。安倍晋三総理は、2019年の記者会見の中で、「本年10月から幼児教育を無償化いたします。戦後、小学校・中学校9年間の普通教育が無償化されて以来、70年ぶりの大改革です」と述べました。

幼保無償化は、幼稚園・認可保育所・認定こども園に通う約300万人に加え、認可されてない保育施設の保育に通う子どもも対象です。

「子ども・子育て支援新制度」の対象外の幼稚園などには月額2万5,700円を上限に補助が出るんです。給食費については自己負担になりますが、それでもかなり手厚い援助ですよね。

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まとめ

子どもの成長過程で最も大事とされる幼少期。親から受け取った愛情や教育が、子ども達の今後の人生を左右するといっても過言ではありません。

また、幼児教育を推進することにより、経済成長が促進されることもわかりました。具体的な幼児教育の重要性と日本の幼児教育に対する支援の現状について、理解することができました。

では、幼児教育が大切なのはわかりましたが、実際にどんな教育の仕方が良いのか、、?次回、具体的にその教育内容について書いていこうと思います!

お読みいただきありがとうございました!

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