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第2回アメリカボウル優勝者インタビュー(髙野 俊さん)

日米協会100周年記念事業の一つとしてアメリカボウル大会があります。
これは、高校生を対象にアメリカに関するクイズが英語で出題される大会です。入賞生徒(上位3校)には、ワシントンD.C.での短期訪問プログラムへの参加権が贈呈されるので、クイズに答えてアメリカに行くことができるという魅力のある企画になっています。

2019年7月20日(土)、上智大学にて開催された第2回アメリカボウル大会では、11都県から52校、総勢約150名の高校生が参加しました。準決勝・決勝戦には、高円宮妃殿下にもご臨席いただき、予選を突破した上位12校の熱き戦いをご観戦いただきました。大会の結果としては、優勝は慶應義塾高校、2位は開成高校、3位は開智未来高校となりました。(詳細はこちら)

今回は、昨年優勝を勝ち取った慶應義塾高校出身の髙野俊さんにお話しを伺いました。髙野さんはこの3月に高校を卒業し慶應義塾大学医学部に進学しました。そして、なんと、AJSのインターンに応募し選考を通過されこれから日米協会の活動に関わっていきます!
今回は、そんな髙野さんに、アメリカボウルでの思い出や今後の抱負についてインタビューをしました。


**プロフィール**

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髙野 俊 (たかの しゅん)
※写真右から2番目が髙野さん
第2回アメリカボウル大会優勝
慶應義塾高校出身(2020年3月卒業)
慶應義塾大学医学部入学(現在1年生)
日米協会学生インターン


**インタビュー**

◎実施日:2020年5月26日(火)
◎方法:Zoomオンラインミーティング
◎インタビュアー:日米協会事務局 茂木

1)アメリカボウル大会について

茂木:昨年アメリカボウル大会で優勝されて、ワシントンD.C.に派遣されてからもうすぐ一年が経とうとしています。去年を振り返って、アメリカボウル大会の思い出を教えてください。

髙野:僕はクイズ研究会に所属していたので、これまで様々なクイズ大会に参加してきました。アメリカボウルはクイズ専門の大会ではないので、いつもとは違う感覚で参加したのですが、アメリカボウルは知識だけではなく、英語力や実践力も問われるので、その点では非常に新鮮で良い大会だと思います。決勝戦の時に、チームメイトが他の学校が誰一人答えられなかった難問を答えられたときの感動は、今でも覚えているほどしびれましたね。

大会

茂木:決勝戦は大人やアメリカ人でもわからないような難しい問題が出ましたが、見事でしたね。どのような準備をされて望んだのですか。

髙野:アメリカボウルが期末テストや高校生クイズの予選の時期と重なっていたので、本気で準備できたわけではありませんでした。(実は大会の一週間前までアメリカボウルにエントリーしていたのを忘れてしまっていたほどです。)ただ、普段から幅広いジャンルの勉強をしているのと、受験や学校の授業で得た知識があるので、その積み重ねが役に立ったように思います。一方、他校の生徒の中には、手作り問題集を準備して大会に臨んでいる人たちも見受けられましたが、そのような方々はかなり活躍されていましたね。実際、3位に入賞した開智未来高校チームはクイズ経験者ではありませんでしたが、アメリカに関する問題をかなり集めていたようで、大会では難しい問題にも答えられていましたし、アメリカ研修の際にも一番活躍していました。アメリカボウルに向けた勉強が将来に活かされる大会にするために、今度は運営側として携わっていきたいと思います。

茂木:クイズの形式も様々なので、知識だけでなく、判断力や問題解決力、英語の実践的スキルも問われるので、準備されるのはきっと大変な苦労なのだろうなと思います。それでも、そのために努力してよかったと思ってくださるのはうれしいですね。アメリカにもともと興味がない方でも、大会への参加を通して興味を持ってくれたらうれしいです。

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2)短期アメリカ訪問プログラムについて

茂木:昨年の大会では、慶應義塾・開成・開智未来高校の3チームが入賞し、1週間のワシントンD.C.(外務省カケハシプロジェクト)に派遣されましたね。私も引率で同行しましたが、本当に短い期間の中で、濃密な学びを得られるプログラムだったと思います。在アメリカ合衆国日本国大使館、経団連米国事務所の訪問や、議会議事堂の訪問、現地の高校生との市内見学、ワシントンD.C.日米協会元理事長宅でのイベントなどのプログラムを体験しました。なかなか一つには絞れないと思いますが、印象に残っている訪問地はありますか。

髙野:日本大使館や米国経団連事務所を訪問したことが特に印象に残っています。現地で働かれている日本人のお話はとても参考になり、現地で働かなければわからない貴重な体験を伺うことができました。例えば、経団連の方からは「ワシントンD.C.は人とのかかわりを大事にしている地域なので、コミュニケーションやコネクションが特に大切である」と教えていただき、日本では知ることがなかったことを学べたと思います。また、大使館にお勤めの外交官の方からは、僕が将来医師になりたいことを伝えると、「その(医師の)道だけに固執せず、若いうちに色々なことを経験することが成功につながるよ」というアドバイスをいただけました。実は、このアドバイスがインターンに参加しようと思ったきっかけの一つにもなっているんですよね。

茂木:高校生のうちから、海外で勤務されている大人の話を聞けることはなかなかないですからね。本当に貴重な経験だったと思います。アメリカ人の高校生と交流する時間もありましたが、何か印象に残っていることはありますか。

髙野:現地の高校生と会話をしているとき、ちょっとした話題をきっかけにして、最終的に政治の話につながるなど、友達同士の会話でも話をかなり深く掘り下げていたのが印象的でした。日常の何気ない生活の中でも自分の意見をしっかりと発信できているということは、普段からかなりディベートを鍛えていると感じましたね。

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茂木:他にもワシントンD.C.への訪問で学んだことはありましたか。

髙野:朝鮮戦争のモニュメントに、“Freedom is not free”という言葉があったのがとても衝撃的でした。「自由はただでは手に入らない」という考えは、日本にとどまっていては得ることができなかったので、多民族国家ならではの苦労を肌で学ぶことができてよかったです。
他にも、ワシントンD.C.という政治都市に行ったからこそ感じられたのではないかと思うことがありました。例えば、これまで「アメリカ人は大雑把で、自分の意見をかなり強く言う」といった偏見を持っていたのですが、現地のビジネスや政治の場面では、意外にもお互いをとても尊重しながらコミュニケーションをとっていたように感じました。日本との文化的違いだけではなく、政治やビジネスのスタイルを学ぶことができたのもよい経験だったと思います。

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3)後輩へのメッセージ

茂木: 今年は残念ながら新型コロナウイルス感染症の影響で開催することができませんが、来年度以降に向けて準備をしています。来年の参加を楽しみにされている後輩たちに向けて何か伝えたいことはありますか。

髙野:一番はやっぱり、優勝したらアメリカに行けるということの魅力を伝えたいですね。学校の授業やクイズ研究会の活動を通して知識を身に着けることはできましたが、現地に行くことで得られる学びは何物にも代えがたい貴重なものです。実際、アメリカ本土に行ったのはこの研修が初めてでしたが、高校生という時期にワシントンD.C.へ行けたおかげで価値観が大きく変わりました。僕にとっては人生のターニングポイントになったといっても過言ではないです。アメリカボウルがなかったら日米協会のことも知らなかったかもしれないですし、インターンになることや他の選択肢も見えていなかったかもしれないですからね。アメリカボウルは歴史こそ浅いものの、大きな可能性を秘めた大会なので、ぜひ積極的に参加してほしいと思います。

茂木:優勝経験者からのメッセージは力強いですね。ありがとうございます。

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4)AJSインターンや大学生活について

茂木:そんな髙野くんは今年AJSのインターンに応募してくれました。大学生活は他にも選択肢があったと思いますが、なぜAJSのインターンをしたいと思ったのですか。

髙野:実は、恥ずかしながら、アメリカボウル大会に参加するまで「インターン」という制度そのものすら知らなかったんですよ。しかし、クイズの大会の運営をしていた皆さんの姿は素晴らしく、大会の演出などは、クイズ研究会として大会運営の難しさを知る僕も驚く完成度でしたし、さらに、ワシントンD.C.に訪問した時にインターンの引率の方が英語をすらすら話す姿をみて、「僕もああなりたい」と自然に憧れを抱くようになりました。一方、進学先が医学部ということもあり、忙しい大学生活になることが予想されたので、インターンとして十分な活動ができるか悩みましたが、(前述した)「若いうちに色々なことを経験することが成功につながる」という言葉を信じ、悔いを残さないためにも、日米協会のインターンへ応募してみようと決めたのです。これからは、インターン生として積極的にプログラム参加や企画の経験をすることで、人間的にも成長できるように頑張りたいと思います。特に、アメリカボウルの運営に関わって次の世代に還元できるように活動していきたいですね。

茂木:最後に、今後の大学生活6年間での抱負を教えてください。

髙野:僕は将来医師になりたいと思っています。まだ、一年生ということもあり、臨床医になるか研究医になるかはわからないので、まずは医学部で、すべての診療科をしっかりと勉強し、幅広い分野に対応できるように学びたいと思います。また、お金と時間が許せば、海外での研修プログラムにも参加してみたいと思っています。アメリカボウルを通して、現地での実践的な学びはとても有意義なものになることを知ったので、医療系や科学系のプログラム等でまた海外研修へ行く機会ができたらうれしいですね。

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髙野くん、インタビューにお答えいただきありがとうございました!


日米協会主催のアメリカボウル大会は毎年夏ごろ開催となっています。今年(2020年)は新型コロナウイルス感染症の影響で中止となってしまいましたが、私たちは来年度の開催に向けて準備を進めております。

この記事を読んで興味を持ったという方は、ぜひ来年度の開催を楽しみにしていてくださいね!


本インタビューへのご感想やアメリカボウル大会に関する質問は、以下までご連絡ください。

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TEL:03(3588)6344 FAX:03(3588)6355 
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