89歳のいきがい ある日系人の話
以前、89歳の日系人女性、Sさんの話をここに書きました。
彼女の話をなんとかシェアしたいと思い、本人の承諾を得て、インタビューを元にビデオを作りました。(記事の最後に添付します)。
その制作過程で、数名の若者の協力を得ました。私がSさんと知り合った音楽団体は、指揮者や指導者を含め、運営陣が完全に無償奉仕で支えてきた非営利組織です。Sさんの話を伝えることは、この団体の功績を讃えることにもつながるので、できれば、その恩恵に預かってきた若いメンバーをこのプロジェクトに取り込みたいと思いました。彼らにも、恩返しの機会を作ってあげたかったのです。
そこで、地元の短大でジャーナリズムを学んでいるフルート奏者Aくんに、私が書いた原稿を校正、編集してもらいました。アマチュア劇団で活動をしている元コントラバス奏者Sさんには、ナレーション。就活がない時は家でダラダラしていた息子(元コンサートマスター)に、録音を任せました。あとは、以前ホルンを吹いていた、ハリウッド映画の編集も手がけるCさんに丸投げしようと目論んでいたのですが、久しぶりに連絡してみたところ、ご両親の介護でそれどころではないとのこと。経験ゼロの私が、Cさんからいただいた実践的なアドバイスを頼りに、iMovieを駆使して制作編集することとなったのです。
なにしろ、当のSさんがあまりにも謙虚でシャイで、インタビュー映像を撮らせてくれなかったことと、過去のプライベート写真を、これまた恥ずかしがって提供してくれなかったため、公的な資料アーカイブやフリー素材、コミュニティオーケストラの写真などから、使える画像、映像を探す作業に多くの時間を費やしました。でもこれが、予想外に楽しい作業だったのです。インタビューをしたのも元原稿を書いたのも私なので、素材などを探すのも、またそれを入れるタイミングも、私が思うようにできたのは結果的に正解でした。
編集作業はやればやるほどいじりたくなってキリがなかったので、とりあえず区切りをつけました。師であるCさんには、「良いのができましたね!」とお褒めの言葉をいただけましたが、「キャプションや字幕を入れた方がいい」というアドバイスも。それはまた膨大な時間を要するので、とりあえず今はこれで完成とします。
制作しながら度々強く打たれたのは、Sさんのお父様のご苦労と娘への愛。そして、人が生きる喜びは、何ものも奪うことができないということでした。