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短編小説等まとめ

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自作短編小説及びその他創作文章のまとめです。
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2020年8月の記事一覧

反対のことを言う悪魔【ショートショート】【#86】

 私は悪魔である。  姿形こそ人間の姿をしているが、数十年ごとに外見を変え、この世に生を…

たけのこ
3年前
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あの場所で、もう一度【掌編小説】

「やっぱり付き合うのはやめましょう」  そんなLINEを送ったのは、彼からの告白を受けい…

たけのこ
3年前
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スライダースパイラル【ショートショート】【#85】

「君はウォータースライダーは好きかね?」 「そうですね。好きだと思います」 「なるほど。…

たけのこ
3年前
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メガネさんが転んだ【ショートショート】【#84】

「我が市は、昔から『目』に関することに力を入れておりまして、特産物に『メガネ』があります…

たけのこ
3年前
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ある引きこもりと伝染病【ショートショート】【#83】

 数年前に流行した伝染病のせいで、人々はマスクをして生活することが当たり前になった。そし…

たけのこ
3年前
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渡る世間はネズミばかり【ショートショート】【#82】

「知ってますよ、それ。ネズミ講っていうヤツですよね。馬鹿にしないでください」  女子高の…

たけのこ
3年前
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自慢パーティ【ショートショート】【#81】

 世の中には『自慢パーティ』というものがあるそうだ。  何人かで集まってテーブルを囲む。参加者はみな仮面をつけ、誰が誰だかわからない状態で、各々の「自慢話」を自由に披露する。聞く人は、それを絶対に否定してはいけないのがルールだ。  自慢話というのは、本人は披露したいばかりだが、聞いてくれる人がいないのが難点だ。そこをうまくついたビジネスで、今、ひそかに人気があるらしい。自分が自慢話をするのはともかく、何もなく人の自慢話を聞くのは、結構骨が折れそうなものだ。しかし、そのあたり

シズマズ先生はしずまない【掌編小説】

「みなさんはじめまして。シマズと言います。私は、どんなときも暗くならない……『しずまない…

たけのこ
3年前
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ご先祖そっくりさん選手権【ショートショート】【#80】

「さあでは次の方行きましょう! エントリーナンバー14番! あなたの『そっくりご先祖様』は…

たけのこ
3年前
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国家転覆プロジェクト【ショートショート】【#79】

「あの、先輩……」  声をかけてきたのは今日入ったばかりの新人だ。誰に声をかけていいかも…

たけのこ
3年前
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根が生えた男【ショートショート】【#78】

 テレワークをするようになってから、私はこの場所をほとんど動かなくなった。こたつの上には…

たけのこ
3年前
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かがみに映った部屋と私と【ショートショート】【#77】

 気が付いたとき、私は何か大きな画面の前に立っていた。  「画面」といっても、それは透明…

たけのこ
3年前
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片田舎のデス・ロード【ショートショート】【#76】

「え、いや無理だよ。運転なんて」  つい10分ほど前。タカシは結婚報告をするため実家に帰っ…

たけのこ
3年前
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悪魔がきたりて腹がふくらむ【ショートショート】【#75】

「召喚主よ。さぁ願いを言うがよい」  ナベから現れたのは、縦横3メートルはあろうかという黒い煙の塊だった。そこにかろうじて目鼻がついており、窓ガラスが割れんばかりの大声で私に詰問してきた。あまりの迫力に私は恐怖にとらわれ、しばし動くことすら出来なかった。  だが、私はコイツの正体を知っている。他ならぬ私自身が呼び出したからだ。古来より伝わる闇の呪術の文献収集し、研究に研究をかさね、今宵ついに、その錬成に成功したのだ。  ――人は、コイツのことを『悪魔』と呼ぶ。 「ついに