やまない雨と、馬乗りの傘【ショートショート】【#67】
「日本には付喪神というものがいるだろう。もし知らなければ教えてやろう。付喪神とはあらゆる『モノ』にやどる神のことだ。そして、われこそはビニール傘にやどった神様だ」
目を覚ますと、俺は数本のビニール傘に馬乗りにされていた。
その上、このような口上を聞かされたときには、どんな反応をしたらよいのだろう。
ただ、俺のところに「ビニール傘の神」とやらが現れることには心当たりがありすぎる。何せ、俺は雨が降るたびにビニール傘を買うし、せっかく買ったばかり傘もどこかしらに忘れてきて