見出し画像

親不孝の幸せ者は、「ここから逃げたい」と願う。

6/16。

4:40起床。

天気は晴れ。





「こんな奴をどうやって育てれば良かったんだ?」
「誰が親でも失敗するに決まってる」


『アスペル・カノジョ』の最新刊。の帯に書かれていたセリフ。それは、前日両親と顔を合わせて疲弊していた僕の、とどめを刺すのに充分だった。


僕はこのマンガを読んだことがないんだけど、タイトルでなんとなく内容は想像がつく。文字通り、ヒロインがアスペルガー症候群なんだろう。


昨日、たまたま本屋で見かけた僕は、それを手に取った。そして、ヒロインの父親が発した上記のセリフを目にして、それを平台の上に戻した。


その後の僕は、散々だった。


息ができなかった。外にいるときも、うちにいるときも、所構わず。それは、比喩なんかじゃなくて。


酸素が入ってこない。二酸化炭素が出ていかない。頓服を飲んでも効き目がない。横になっても意味がない。ようやく治まったかと思えば、ふとしたときにぶり返す……。


おかしいな。僕は思った。仕事は辞めたから、こういうことは、もう起こらないと思っていたのに。仕事によるストレスで過呼吸になることは、ないと思っていたのに。まさか、別の原因でもなることがあるなんて。自分の体が、こんなに脆いなんて。いっそのこと、一思いに壊してしまいたい。そう思った。


でも、できない。僕は、もう一人で生きているわけじゃない。僕が死んだら、もう一人は? ……そのことを考えろ、僕。僕なんかを「大切な人」だといってくれる人がいるんだぞ。考えろ、考えろ……。


初めて、自分を否定しなかった人。受け入れてくれた人。たった一人いれば、充分なのに。そのはずなのに。僕はまだ、どこかで親に囚われているのか。理解されたいと、謝罪されたいと、思っているのか……。


今の親と昔の親は違う。そんなことは、わかっている。でも僕は、昔の親を許せない。ひょっとしたら、今の親も。親不孝だと罵りたければ罵れ。時間が解決してくれないものも、世の中にはあるんだ。


逃げたい。


呼吸を乱しながら、僕は願った。


逃げたい。
親の目に付かない場所へ。


近所ではないけど、両親は同じ県内に住んでいる。だから、会おうと思えば平日でも会える。そんな距離感。だから、県外へ逃げたい。気軽には会いに来れない場所に住みたい。ここから離れたい……。


でも、今の僕には、その行動力に伴う財力はない。パートナーの仕事の都合もある。だから、そのときのために、お金を貯めておくしか、僕にできることはない。


……ダメだ。昨日のことを書いていたら、また息苦しく……。今日も、何もできなさそうだ。……たまには、いいか。





「僕だけが、鳴いている」


これは、
僕と、ドッペルゲンガーのドッペルさんの話。


連載中。


ここまで読んでくださり、ありがとうございます。 「サポートしたい」と思っていただけたら、うれしいです。 いただいたサポートは、サンプルロースター(焙煎機)の購入資金に充てる予定です。