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クワイエットルームにようこそ(絶望編)

8/31。

5:00起床。

天気は曇り。





人間は、楽しい楽しい一日を過ごしたその夜に、絶望が降りてくるものらしい。……すみません、大げさですね。もちろん、ぼくのことです。はい。


昨日は、小説を書かない日だと決めていた。来る日も来る日も書き続けている自分だけど、丸一日デスクから離れる時間も必要だと思ったからだ。


パートナーとお茶をしたり、ボードゲームカフェではしゃいだり。めちゃくちゃ楽しい一日を送ることができましたとさ。めでたし、めでたし……といかないのが、ぼくなわけで。


夜も更け、そろそろ夕食でも作るか、という頃。自分でも気付かない内に、なにか重量感のある感情が、肩に圧しかかってきた。最初は、ちょこんと座っている程度だったのに、ソレはだんだん膨らみを増し、最後にはバカでかくなってしまった。


ぼくは、その場に突っ伏し、指一本動かせなくなってしまった。

クワイエットルームにようこそ。

ああ、知っている。


この感情は、『絶望』だ。


『絶望』なんて、そんなもの、楽しい楽しい一日の中にあるはずが……いや、あった。


ぼくはその日、一文字も小説を書かなかった。「今日は書かない」と決めていたから、当然だ。時々は、自分の頭の中じゃなく、外の方にも意識を向けなきゃ……。


でも、その行為は逆に、自分を責め立てることになった。

お前みたいなのが、キャッキャウフフしていいと思っているのか? ほんの少し前まで、何も生み出していなかった、生産性のないお前が。「何も生み出さなくてもいい」日が、許されると思っているのか?

もはや、肩どころか体全体に圧をかけている『絶望』は、ぼくを上から嘲笑う。パートナーが呻いているぼくに気付いて、心配そうに声をかけている。でもなぜか、その声はくぐもって、よく聞こえないんだ。

書け、書け、書け。お前の存在意義は、それ以外にはないんだ。

そんなこといわれても、体が上手く動かない。書くどころか、立つことすらままならない。「書け」なんていうなら、どいてくれよ。


結局ぼくは、這う這うの体で布団を敷き、まだ21時になってもいないのに、早々に眠ってしまった。米を炊いてくれたパートナーと一緒に、夕飯は食べれなかった。ぼくは、死んでしまいたかった。(もう、何度目だろう。)書かないことは、こんなにぼくを苦しめるのか。


ぼくは考える。自分の調子が良いときは、常々何かを書いている日だ。そして、以前から調子が悪くなるときは、決まって何も書かない日だった。どうして、気付かなかったんだろう?


だから、今日は書くんだ。昨日も、明日も、過去も未来も。


書く、書く、書く。それが、ぼくが生きる唯一の方法。





「僕だけが、鳴いている」


これは、
僕と、ドッペルゲンガーのドッペルさんの話。


連載中。


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