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外に出られないので、echoおじさんの話をする。

あらすじ:PCRで陰性だったけど、風邪症状がなくなるまでは、自宅にいなさいと指示があった。ので、引きこもっている。


喉はなんともなくなって、今は鼻づまりだけある。けど、薬や鼻うがいのおかげで、だいぶ治った。ので、そろそろ外に出てもいいんだろうか。


「最低何日は自宅で過ごしてください」とか言われていないので、よくわからない。鼻づまりが、きれいさっぱり完全になくなればいいんだろうか。んん。


昨日は、先週レンタルしておいたDVDを見た。『コーヒー&シガレッツ』。コーヒーとタバコと、それなりの会話の10分くらいの掌編集。


あとで見た予告編には「リラックス・ムービー」とあったけど。たぶん、リラックス「できる」映画じゃなく、リラックス「しながら見る」映画だと思う。なんだか、ギスギスした空気の2人組がほとんどだった。けれど、それがおもしろい。


コーヒーとタバコの組み合わせは最高。らしい。タバコとの組み合わせでいえば、スイカを思い出す。『九龍ジェネリックロマンス』の。どちらにせよ、ぼくは喫煙者じゃないので縁がない。


そんなぼくでも、タバコを買ったことがある。ただし、一本も吸っていない。吸わないまま、封も開けないまま、手元にある。賞味期限は、「2019.10」とある。そんなに前か。

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学生のとき、ドラッグストアで2年半バイトをしていた。特にむずかしい仕事はなかったけど、厄介なのは、タバコの販売だった。


それぞれ割り振られた数字で頼んでくれればいいのに、銘柄で言ってくる人がいる。これが困る。たとえばセブンスターでも、パッケージはほぼ同じ、けれど味の違うものが何種類もある。ぼくは、毎回頭を抱えた。


そんな中、echoとわかばだけは覚えた。1種類しかないから。特にechoは、ほぼ毎日買いに来るお客さんがいた。その人は、真っすぐレジに来て、「echo」と一言だけ言う。必ず、1箱だけ。(毎日来るくらいなら、カートンで買えばいいのに。)その人が財布を取り出すのを見たことはない。代金は、いつも手に握られていた。


echoおじさん(とぼくは呼んでいた)の存在によって、ぼくの中で、タバコと言えばechoになった。いまだに吸ったことはないけど。今後も吸う気はないけど。手元にあるのに。(くり返しになるけど、賞味期限は3年前に切れている。)


これまでもこれからも、非喫煙者のぼく。そんなぼくの短歌や小説によく登場するタバコ。吸わないからこその憧れ、だろうか。そして、必ずといっていいほど、そのタバコはechoだ。(たまに、わかばになる。)


知り合いでもなんでもない人が、ぼくのもの書きに色濃く影を落としていることを、ふしぎに思う。

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