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「ぼくの不幸が、きみの幸福でありますように」

11/29。

5:20起床。

天気は晴れ。





パートナーが『ものもらい』になった。


とわかったのは、ちゃんと病院に行ったから。


一昨日の夜から「目が痛い」と訴えるパートナーの瞼は、昨日の朝にはだいぶ腫れていた。


パートナーはもちろん、ぼくも不安だった。本当に、目の病気なんだろうか? 別の病気の前触れだったら、どうしよう……。


パートナーは仕事を休み、ぼくも眼科まで付き添った。結果、『ものもらい』という診断。医師の説明も、納得のいくものだった。


そうだ。そういえば、『ものもらい』なんて病気あったな……。抗菌目薬を処方してもらい、ホッとするぼくら。


ぼくはその日、どこに行くにもパートナーのパーカーの裾を掴んでいた。「目が痛い」のは『ものもらい』のせいだったけど、なんだか、色々不安になったから。


今、例のウイルスで日本は大変なことになっているけど、そのウイルスに感染していなくても、人がふいに死ぬことはある。


たかが『ものもらい』、されど『ものもらい』。一緒にいてもよく別行動するぼくだけど、昨日はパートナーのそばを離れられなかった。


ぼくの家族。大切な家族。唯一の家族(これは、比喩表現)……。パートナーがいなくなったら、ぼくはひとりぼっちになる。一人、地獄に放り出されることになる。


けれど、その懸念以上に。パートナーには、生きてほしいと思った。ぼくの家族で、兄弟で、親友で、恩人。そんな人が、死んじゃいけない。たとえぼくが死んだとしても、死んじゃいけない……。


「長生きしてね」


ぼくは言った。


「頑張ります」


パートナーは言った。


休みの日でも仕事のことを考えているパートナーだけど、昨日ばかりは不安から解放されて、それと共に気分転換できたようだ。結果良ければ全て良し、か。ちょっと違うか。


自分のことしか考えられなかったぼく。他人のことなんて、構っていられなかったぼく。でも、パートナーに何かあったら、すぐに駆けつけるぼく。パートナーが、ぼくを人間らしくしてくれた。


今日は、パートナーは元々休みの日。


コーヒーでも、飲みに行くかな。昨日約束したもんな。二人一緒にいられる内は、二人でできることをたくさんしよう。





「僕だけが、鳴いている」


これは、
ぼくと、ドッペルゲンガーのドッペルさんの話。


連載中。


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