「結局、ぼくは、どこに逃げても、」
目を閉じる。
床に座ったまま。
だんだん、体が左右に揺れる。勝手に。
こらえることもできず、どちらかに倒れる。
調子がどれくらい悪いのか、確認する方法。ぼくが。
手が、ひどく震える。
瞼も。
閉じているのに、あまりに震えるので、ときどき勝手に開いて、見える。
こんなときは、外に出ない方がいい。
悪化することがあるから。
(外に出なくていい、という選択肢があるのが、今のぼくには奇跡みたいだ。)
気晴らしもできないけど、しょうがない。
たとえ、目の前で、嫌な記憶がちかちか点滅しても。
ぼくは、横になっているしかない。
手が震えるから、本を持つと、それごと震える。ろくに読めない。
から、スマホでYouTubeを流して、ぼんやり見たりしている。
大抵は、一回以上見たことのある動画。
新しい動画だと、頭に入ってこないから。
しょうがない。
ぼくは思う。
しょうがない。
祈るように。
いい加減、覚えろ。
どうにもできないことが、あることを。
少なくとも、以前よりは、自分を責めなくなったと思う。
まったく、ではなくとも。
いいこと、だと思う。
思えなくても、思いこまないといけない。
そうじゃないと、身勝手な罪悪感に潰されそうになる。
逃げたくなる。
叫びたくなる。
どこへ?
なにを?
ときどき、無性に泣きたくなる。
でも、涙は出ない。
出てくれない。
ぼくは、悲しい。
泣けないことが、とても悲しい。
泣くだけで、多少なりとも楽になれるだろうに。
体が痛い。
痛み止めを飲む。
痛み止めは、精神的に不安定なことには、作用しない。
いつもの薬は、ちゃんと服用している。
それでも、おかしくなるときは、おかしくなる。
キーボードを打つ感覚が、頭まで伝わってこない。
いつもより、タイプミスが多い。手が震えるせいだ。
こんなんだから、働けないのかな。
どうして。
どうしていつも、どこで働いても、3ヶ月を過ぎたころに、身も心も壊れ始めるんだろう。
そんなに、他人と長時間いることが、ぼくにとって負担なのか。
だから、パートナーも主治医も、ぼくが組織に所属することを、止めるようになって。
なにもできない。
……。
いや、それは今、体がつらいこととは、関係ないから。
関係ないことに、結びつけようとするな。
よくない……。
眠ることに、逃げていたい。
でも、ぼくの浅い眠りでは、悪夢しか見られない。
結局。
ぼくは、どこに逃げても、つらいまま。
ずっと。
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