企業の成長を牽引する!コーポレートサクセス本部のミッション、AI Travel活用についてキャンサースキャン様に伺います。

「導入企業ストーリー」では、AI Travelを導入いただいている企業のご担当者様にお話をお伺いします。今回は、データサイエンスとマーケティング、行動経済学、そして公衆衛生の専門知識を組み合わせた事業を展開し、全国500以上の市区町村にて予防医療の促進に取り組む「株式会社キャンサースキャン」のCOO/CFOである岩上好博様にお話をお伺いしました!

株式会社キャンサースキャン 
事業内容
特定健診・がん検診受診率向上事業、糖尿病重症化予防事業、
等の予防医療プロジェクト支援サービス医療費分析・データヘルス計画策定等のヘルスデータ分析サービス
※詳細はこちらをご覧ください
設立年月日 2008年11月9日
本社所在地 東京都品川区


ー本日はよろしくお願いします!まず貴社についてお教えください。

キャンサースキャンは、「人と社会を健康にする」というミッションを掲げ、予防医療、公衆衛生分野で事業を展開しています。「人が健康になるための行動変容をゼロフリクションにする」ということをビジョンとして掲げていまして、これを軸に会社も各メンバーも行動しています。マーケティング、人工知能、ヘルスビッグデータ(健診結果、レセプトデータ等)を活用した取り組みを得意としています。

当社の代表はもともとP&Gのマーケーターで、生活消費財のマーケティングをしていました。商品に機能や価格的に大きな差が無かったとしても、消費者が店頭でP&Gの商品を手に取る、そして購買するように行動をとってもらう、もしくは他の製品を利用していた消費者もパッケージやCM、広告などによってP&Gの商品を購入するように行動変容してもらうマーケティングの力を身につけられた経験だったそうです。

ただ、ある時に、マーケティングの力を使ってもっと世の中に対してインパクトが出せるのではないかと考えるようになったんですね。それで、会社をやめてハーバードビジネススクールに留学し、そこで聞いたスピーチが起業のきっかけになったと聞いています。

ーどのようなスピーチだったのでしょうか。

世の中では社会的に良いことをするーソーシャルグッドなことと、利益を得ることがトレードオフだと思われているけれど、ビジネススキルとビジョンがあれば両立できるという内容です。その内容から非常に感銘を受け、ではどうしたら両立できるような事業や会社を作れるんだろうかと模索し始めたのだそうです。

留学中には、大学院で公衆衛生を学んでいた、後に共同創業者となる石川にも出会っています。公衆衛生とは、地域や集団の健康や衛生状態を分析し、どのような理由でどのような健康上の課題が起きているのか、そしてどうすれば解決できるのかに取り組みます。

ー公衆衛生とキャンサースキャン様の事業がどう結びつくのでしょうか?


日本では、死因の上位にがんが来ることはご存知ですよね。でも、アメリカだと日本ほど高くなく、医療の世界ではがんは死に至る病ではないと既に約十年前に言われていたそうです。なぜなら、がんは早期発見早期治療できれば、多くの場合死にいたらないからです。

ーそれは驚きです!

私も知らなかったので、最初聞いたときにはかなり衝撃を受けました。日本では、がんが見つかるのが遅く、手遅れになって亡くなってしまうケースが多いんです。なぜ発見が遅いのかというと、がん検診の受診率が低いから。会社で受信する健康診断にはがん検診がないことも多いですし、そもそも健康を維持するために知っておくべき知識が知られていないという状況でもあります。

ヘルスケア分野では、病院に来た患者さんへの治療、投薬、検査技術に力を入れているのですが、そもそも発見が遅いことをどうにかしないと根本的な課題の解決にはなりません。ここでキャンサースキャンの創業に結びつくのですが、適切なタイミングで適切な人が医療機関に行くように行動変容を起こすことは、まさにマーケティングで実現できることだと福吉は考えました。

創業して最初の数年はがん検診の受診率を上げるということに取り組んでいました。数年にわたり社員数は10人〜20人位の規模で事業を続けていたのですが、世の中にもっとインパクトを与えていきたいという思いが強まり、2015〜2016年くらいからは事業を拡大してインパクトの大きさも追求するようになりました。その頃から特定健康診断の受診率向上事業にも取り組み始めました。

ーメタボリックシンドローム、いわゆるメタボ健診ですよね。

そうです。会社に勤めている人は社内で案内を受けて毎年受けるでしょうが、自営業や引退した方は自治体からはがき等の書面で受診案内が送られてきます。会社のように催促を何度もされることはありませんし、面倒に思う人が多く受診率が落ちてしまうんですよね。受診率としてはだいたい30-40%、10人中半分以上の人が自分の健康状態の変化を毎年継続して把握できていない可能性があり、同時に国も把握できていないことになります。

特定健康診断の受診率が低いと、生活習慣病などの問題に気づくことができずに病気が重症化して、医療費が嵩む可能性が高まります。それを止めるために、国が掲げる予防医療の方針では、特定健康診断の受診率を6-7割にあげることが重要課題とされています。私たちは、受診率の向上や生活習慣病の治療中断者を減らすべく全国の自治体と取り組みをさせて頂いているのですが、企画・提案だけでなく、その実行までワンストップで提供できるのが強みです。

ー具体的に、どういった取り組みをされているのでしょうか?

例えば、重症化しそうな方や治療中断者である可能性が高い方を、自治体から預かったデータを分析して推測し、対象者にピンポイントで通知物を送って行動変容を促すといったことですね。あとは、レセプトデータを解析して、薬を飲みすぎていたり、飲み合わせが悪い薬を出されている可能性がある方を推測し、服薬の調整を促す内容を配信したりもしています。

ーそんなことまで分かるのですね!ところで、岩上様ご自身はどのようなきっかけでご入社されたのですか?

入社前はアメリカのいわゆるシリコンバレーと言われるエリアにいて、4年半ほどスタートアップへの投資や、大企業のオープンイノベーションの創出支援を手掛けていました。その前はMBAで東海岸に留学、さらにその前は新卒でモルガン・スタンレーに入社していました。

モルガン・スタンレーを辞める時に、起業しようかと思っていたのですが、共同創業者として声をかけようと思っていたのが当社の副社長である米倉なんです。彼は大学の同期で、学部もサークルも同じで、一緒にビジネスがしたいなと。ただ、当時はグローバルに優れたプロダクトを生み出すスタートアップがなぜアメリカ、特にシリコンバレーから続々と輩出されるのか、その理由を現地での体感を通じて理解したくて、結局誘わなかったのですが。

アメリカで数年経験して、自分で起業することにはこだわらず、スケールする事業と組織の両方を作ることに携わりたいなと思っていたタイミングで、米倉から「CFOを探している」と連絡が来ました。

ータイミング、ぴったりですね。

縁があるんでしょうね!ソーシャルグッドなことをしている会社って、相対的には利益を生み出す事業にしづらく、投資をする側がリスクテイキングしづらいため資金調達が難しい傾向にあるのですが、そのような会社こそもっと世の中に多く存在してほしいし、自らも成功事例の一つとなることに親友と一緒に取り組みたいと思って、キャンサースキャンへの参画を決めました。

それから、個人的なことですが、大学生の時に突然父親が癌になったんです。当時は目を向けられなくて、病状などもあまり聞けませんでした。結果的には治ったのですが、もし・・・結果によっては悔やんでも悔やみきれないですよね。父親に聞いてみたら、やはりがん検診をうけていなかったみたいで、キャンサースキャンの事業は社会にとって必要なことだと実感しましたね。

ー岩上様と同じようなご経験をされた社員の方は他にもいらっしゃいますか?

身近な人に健康問題が起きて課題意識を持っている人や、元々ヘルスケア業界に興味があったひと、ヘルスケア業界で働いていた人もいます。最近では、行政関係で働いていて、民間側で人と社会の健康を支援することができるんだと興味を持ってくれる人も増えていますね。

ー現在の社員数は何名くらいいらっしゃるのでしょうか。

社員は90名で、マーケティング部門のメンバーが一番多いです。
私が統括するコーポレートサクセス本部は10人ほどで、去年は兼任状態で実質2.5人だったのでかなり増やしました!

まず、自治体との交渉や契約を行うリーガル担当、個人情報を扱うのでPマークとISO認証をとっているのですが運用のためのコンプライアンス担当。それから人事チームでは、採用、労務、組織づくりを担当していて、今後は制度設計やカルチャーづくりにも力を入れる予定です。総務チームでは会社の庶務総務業務に加えて、自治体での業者登録も担当してもらっています。それから、ファイナンス、会計・財務・経理チームですね。

ーさて、AI Travelの導入についてですが、freeeの導入を検討されていたことがきっかけだったと聞いています。

そうでしたね。以前はある会計ソフトを使っていたのですが、データを引き出しやすいSaaSを使いたいと考えていました。業務効率化の観点でも、積極的にツールを導入したいと考えていて、当時同じビルに入居していたfreeeのセミナーに参加したところ、freeeとAI Travelを連携して経費精算の時間を削減したという事例を聞いたんです。

今となってはコロナで回数は減りましたが、全国の自治体様と取引があるので出張が多くあり、経費精算の工数がかかっていました。それから、当時は各社員が自分で出張手配をし、立替精算をしていたのですが、多い人だと月に50〜100万円もの立替が発生することもありました。若手社員もいますので、一時的とはいえ社員個人過度な金銭的負担となってしまうことを懸念していまいした。AI Travelで出張手配をすれば、会社での請求書払いが可能になるので、社員の負担を減らせると思い導入を決めました。

ー社員の皆様の反応はいかがでしたか?

まず、良いところとしては、圧倒的に出張の経費精算にかける時間や負担がなくなったという反応が多かったです。個人立替が無くなるということはもちろんのこと、領収書を保管して経費精算を申請する作業が無くなって業務が効率化されたことについてメリットを感じている社員が多かったです。

導入初期では、検索方法やレコメンデーションが分かりづらいという声があったり、導入前の期待値と実際に使ってみてギャップがあるという声もありましたね。当社はAI Travelが開発されて日が浅いタイミングで導入したので、今と比べて機能やUIも開発・アップデート予定の部分が多かったのかなと。私はスタートアップに慣れていますので、そういうものだよと話していった記憶がありますね。

ーありがとうございます・・・!

その分、こちらの要望を聞いていただいたりしたので、ありがたかったですよ!

それから、これは当社独自かもしれませんが、出張での移動距離が長いと費用も大きくなるので、社員にコスト意識を持ってもらうために案件ごとにプロジェクトコードを発番することをしています。そうすると、案件数が増えるほどにプロジェクトコードの数も増えるので、経費精算をしていた時にはプロジェクトコードを探して手入力する作業も負担になっていました。AI Travelなら、予約時にプロジェクトコードを簡単に検索して紐付けられるので、この作業も削減できました。

ーお役に立てているようで嬉しいです。管理者であるコーポレートサクセス本部としてはどうですか?

シンプルでとても使いやすいです。導入初期にかなり丁寧にご対応いただいたので、スムーズに始めることができました。また、先ほどお話したように、当社の要望に対してスピーディーにご対応いただいて、信頼感や安心感を持っています。

他にも、社内向けの説明資料を作っていただいたりもしたのですが、サービス提供される企業様全てがそこまでやってくださるわけではありませんし、加工せずともそのまま社内に展開できる資料を作ってくださったことはとてもありがたかったです。

ーそう言っていただけると嬉しいです!ところで、AI Travelが任意利用と聞いていますが、どういったご理由でしょうか。

もともと、社員の負担軽減のために導入を決定したので、利用を必須とせずに個々人の裁量で個人手配なのかAI Travelなのか好きな方法を選ぶことによって、生産性が向上すると考えたからです。

将来的には、申請承認のプロセス強化や、予約内容の金額が適切かどうか判断することもあるかもしれませんが、現時点では管理をするために導入したのでは無く、あくまで社員の負担を軽減するためなので、利用するかどうかは個人に任せています。

ー社員の皆様への思いがあるのですね。従業員満足度や、生産性向上がコーポレートサクセス本部のミッションなのですか?

定義はしていませんが、そうですね。元々は、コーポレート統括本部という名前だったのですが、今の組織名に変えました。コーポレート部門は裏方である、というイメージが好きではなくて、事務処理をする集団にはしたくないという思いがあります。

コーポレート部門が強いことが、組織全体にとって重要であると考えているのですが、社員とのコンフリクトが生じやすい立場だったりもしますよね。きちんと勤怠つけて、とか、経費精算出して、とか。個々人の事情を勘案することも必要だとは思うのですが、社員の言うこと全てにYESというための存在ではなく、あくまで会社のミッションやビジョンの成功のために存在するべきだと考えています。

会社の業績を上げるために、社員の生産性向上や満足度向上に取り組み、それが結果として社員にとってプラスになれば良いなという思いで、日々仕事をしています。

ーだから「コーポレート」サクセスなのですね!
ー今後、キャンサースキャン様が向かっていく方向性などをお教えいただけますか?

現在取り組んでいる、自治体向けの受診勧奨などの事業は、国が取り組んでいる様々な予防医療プロジェクトでより良い成果をだせるように努めている事業で、社会的に意義があり、私達のコア事業であることは間違いありません。

それから、超高齢化社会の日本では、医療費や社会保障の問題が今後深刻化することが予想されていますよね。また、医療の発達によって寿命は伸びていますが、健康寿命とのギャップが広がっているとも言われています。これらの課題を解決していくという観点で、社会的な事業に対してコミットしているので、保険事業以外の新たな領域でも事業を展開したいと考えています。

また、最近、ミッションとビジョンをアップデートしたのですが、これに沿って新規事業を創出する準備をしているところです。

ー新しいミッションとビジョンについてお教えいただけますか?

新しいミッションは、「人と社会を健康にする」です。もともとは「テクノロジー」と「マーケティング」という言葉が入っていたのですが、テクノロジーはもはや事業を行う上で当然に必要なものですし、今後はミッションの実現のためにはより領域を広げて事業も手掛ける可能性があるので外しました。

新しいビジョンは、「行動変容をゼロフリクションにする」です。コロナ禍を受けてみんな思うところがあり、改めてどんなことをするべきかと会社を見直す話し合いをしました。

創業直後の平成21年度に、杉並区の乳がん検診の受診促進を手掛けました。当時杉並区が過去5年間未受診の1,500人に受診案内を送って1人のみが受診していました。当社が手掛け、受診人数が131人までに増えたのですが、ちょっとした工夫で改善することができるんです。逆に、ちょっとした障害があると、興味はあっても行動に結びつかないんです。例えば、申込みが窓口のみで面倒になってしまうとか、受診費用がいくらかがぱっと見て分かりづらいとか。

思いがあっても行動に移せないと意味がないという考えがあり、行動変容をゼロフリクションにするーストレス無く行動に移せるようにすることをミッションに掲げました。

ーありがとうございます!

・・・

以上、株式会社キャンサースキャン 岩上様にお話をお伺いしました。
私自身、健康に興味を持ち始めたタイミングだったこともあり、健康・ヘルスケアという社会性の高い事業を手掛けておられる同社のことを非常に心強く思いました。また、ミッション・ビジョンを判断軸として会社の成長にコミットする「コーポレートサクセス」という考えは、成長中の企業における管理部門の最適解だとも思っています。

AI Travelは、今後も良きパートナーとして邁進してまいります!

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