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第三者が不登校児のサポートをする意味

今日は、2年前から登校の付き添いをしていた女の子の卒業式だった。

黄色の袴を着て、晴れやかな表情を見せてくれて、可愛かったなぁ💓(今ドキは小学校の卒業式で袴着ることにびっくりしたけど)

この節目に、自分の記録用に2年間のことを振り返ります。長いです。

登校サポートの活動は、基本的にどんな人でもできるので、専門的な関わりとかはしません。

朝職員室で副校長先生や養護の先生に挨拶をして、それからNちゃんの家に行きます。

チャイムを押すと、必ず毎回おばあちゃんが玄関に出て来てくれて「Nちゃん、先生お迎え来てくれたよー」とNちゃんを呼んでくれます。

それで準備ができていたら、2人で学校に向かいます。

でも5年生の時なんかは、布団の中で丸まったまま出てこれないこともあったなぁ・・そんな時は、布団の外から「今日どうする?行く?話す?」と本人に聞いて、話できるようだったら話して、そうこうしてるうちに布団から出てくることもあった。

話すのもムリ、という時はそのまま1人で学校に帰ったこともありました。

私自体はその学校に所属している人間ではないので"登校させないと"というプレッシャーもなく、基本的にどうするかはNちゃんに任せようというスタンスでした。

だから、来れない日でも、至って落ち着いて受け止めることができました。その点では、学校関係者でも家族でもない第三者が不登校児の登校サポートをすることには意味があると思います。

だって関係者だったら、やっぱり"学校来て欲しい(行って欲しい)"と期待してしまうと思う。だから、子どもが登校しぶりをしたら、きっと焦ったりイライラしたりしてしまう。

ただ、本当にすべてNちゃんに丸投げだったかというと、そうではありません。
どうしていきたい?と聞いた時に、いつもNちゃんは「教室に行きたい」「みんなと同じように授業受けたい」と言っていました。だから、それが達成できるように、いつも応援していました。

具体的には、数ヶ月後の長期目標と、それに向かうための1〜2週ごとの短期目標(スモールステップ)をNちゃんと一緒に立てて、今できていることに肯定的な注目をしていました。

短期目標は、例えば
◻︎学校に行く
◻︎教室じゃない部屋で過ごす
◻︎教室の前まで行く
◻︎誰もいないときに教室に入り席に座る
◻︎休み時間に他の子がいる中で教室の自分の机からプリントをとる
◻︎英語の授業だけ一緒に受ける
◻︎みんなと給食を食べる
というようにしました。
目標ができた時には、それをちゃんと認めました。

あと、私は不登校の経験がないので、できるだけその都度Nちゃんに気持ちを聞くようにしていました。

そんな中で、
・他の子と同じようにできない自分に対して、強く引け目を感じていること
・他の子にどう思われているかということについて恐怖を感じていること
・校門に近付くだけで、教室を覗くだけでも、強い緊張を感じること
を知りました。

と、ここまで、さも色々やった風に書きましたが、私がNちゃんと過ごす時間の大半は、ふざけた絵を描いて笑い合ったり、気まぐれに学校の教材をやってみたり、くだらないことを言い合ったりするような時間でした。


そんなふざけてばかりの私たちでしたが、一回だけ、Nちゃんが泣きながら辛い気持ちを話してくれたこともあったなぁ・・

いくら大人びて見えても、やっぱり子どもは大人とは全然違う。子どもにとって、親はとても大きな存在なんだなぁと感じた出来事でした。

きっとお母さんは何気なく言ってしまった一言なのだけど、言葉以上に深刻に捉えて「わたしのことなんて大事じゃないんだ」とすごく傷ついていたNちゃん。

わたし自身も、中学生の時に同じような経験をして、何年も胸にトゲが刺さったままだったなぁ、と思い出しました。

また、親になったいま、自分が何気なく言った一言で、子どもがそうした悲しい勘違いをしてしまうことにも気付かされた。だから、「大切だよ」「大好きだよ」を伝え続けようと思わされた瞬間でもありました。


活動を通して、養護教諭の先生や、担任の先生ともたくさん話をしました。

養護教諭の先生は、経験豊かで、厳しい部分も温かい部分も兼ね備えたお母さんのような方で、愛をもってNちゃんに接していた。
優しくしたり、受け止めることだけが愛じゃない。ときには厳しく、キッパリと言うべきことを言う!そんな姿勢を、わたしも見習いたいなと思った。

担任の先生は若手の男の方で、Nちゃんが登校すると、いつも顔を出してくれて「いつでも来ていいからね」とメッセージを送り続けてくれていた。
そしてわたしにも「本当に高橋さんのおかげで助けられました」と何度も言ってくれて、なんだかすごく恐縮だったけど、嬉しかった。


そしてNちゃんは、、
思春期特有の自意識の芽生え真っ盛りで、前髪がきまらないことをものすごく気にしたり、好きな韓流アイドルが日本来てるからそれ考えるだけでドキドキする〜同じ空気吸ってる!と、跳ね回ったり、とにかく可愛らしい女の子だった。

2年間の間には、教室に行けたりいけなかったり波があったけど、何度も何度も、勇気を出して一歩を踏み出す姿、踏み出せなくて後悔する姿をそばで見せてくれた。沢山辛かったと思うけど、きっとこの経験を経て、度胸ある素敵な女性になっていくと思う。


この2年間の活動を通じて、改めて学校の価値に気付いた。
公認心理士の資格もとれたので、これからはもっともっと、先生方の力になれるようなことをしたいなぁと思う。
一方で、自分に何ができるだろう、と悩んでいる。そんな今日です。


Nちゃん、かけがえない気付きや出会いをくれてありがとう!!!

あなたの成長が楽しみです。

もう会えないかもしれないけど、ずっと応援しているからねー!!!

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