生きるということ

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ノート

村上春樹「ダンス・ダンス・ダンス」解釈

僕がどうしても、いるかホテルに行かなければならなかった理由。それは、そこからやり直さなければならなかったからだ。

つまり、静かにコツコツと、無駄遣いが最大の美徳とされる高度資本主義社会において、せっせと雪かきをしながら溜め込んできた暫定的で便宜的ながらくたを全て放り出してでも、もう一度人生の行き止まりに戻り、また一歩前に足を踏み出し、心を取り戻し、踊らなければならなかったからである。

ダンスダ

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つるつるとしたサテンのリボンのように

趣味の良いインテリアショップで働いていると、色々な家族の形を目にする。

混乱のないように前置きしておくと、私は現在3つの仕事をしている。
通訳ガイドと、ライター、加えてアルバイトのショップ店員だ。

タイムマネジメントが常に課題としてあるのだが、この話について語ると長くなるので、また別の機会にでも話そうと思う。

さて、話題が逸れてしまったが、約半年前に素敵なインテリアショップで働き始めて

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これも何かのご縁ですね。
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感受性が強すぎるということ

いや、まったく、HSVという人種は疲れますね。
生きづらいったらありゃしない。

Highly Sensitive Person、つまり、普通の人よりも感受性を強く持って生まれた人のこと。
全人口の20%、つまり5人に1人がHSVに該当する。

もちろん、プラスに働くこともある。

人よりもずっと繊細で傷つきやすい心を持っているからこそ、普通の人では見過ごしてしまいそうな、心の奥底に深くしま

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太宰治 「斜陽」

「革命」というものが、チンプンカンプンで、ちっとも腑に落ちなかった。

だけど、今わかった。

革命とは「愛の結晶」であり、「死と再生」、あるいは「終焉と再興」だったのだ。

前半戦、呑気な貴族の優雅な暮らしぶりの描写ばかり続き(いえ、たまには災いのモチーフとして描かれた蛇が登場し、刻一刻と悲劇さを増して行ったけれど)、なんだか飽き飽きしてきたなあ、とあくびが出そうになるところで、突然物語の本編が

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文学 「人間失格」

驚いた。

太宰治は、今まで「走れメロス」ぐらいしか読んだことはなく、その奇怪なストーリーにはほとほと嫌気が刺してしまい、ただの暑苦しい男、ぐらいの印象しか残っていなかった。

それが、どうだ。
初めて、人間失格を読んでいるのだが、なんと村上作品の主人公に似たものか。

これは、手記のようなものだろうか。
太宰の語る「恥の多い人生」の、馴れ初めを語ったものであり、同時に自分の生涯の言い訳をまるごと

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これも何かのご縁ですね。
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映画 「人間失格〜太宰治と3人の女たち〜」

なぜだろうか、
日本橋アートアクアリウムの狭い水槽の中を、懸命に生きる金魚の姿が、脳裏に蘇る。

「人間は、恋と革命のために生まれてきた。」

そんな、太宰の愛人、静子の情熱的なセリフが似合う、官能的で艶やかな作品。

太宰の波乱万丈な恋愛模様に、監督である蜷川実花さんの艶やかな世界観が重なった「人間失格」は、映画の垣根を超え、もはや完成されたアート作品と呼ぶに相応しい。

お見合いで結婚し、3人

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ヴィーガンはただの迷惑? ”おもてなし”の行方

「困っちゃうね、そう言うの。アレルギーとかでどうしても食べられない、という訳でもないのに。”郷に入っては郷に従え”と言うしね」

ヴィーガン対応に追われ、鰹だしではなく昆布だしで提供してくれそうな蕎麦屋探しに翻弄していると、母は同情してくれた。

通訳案内士として、訪日外国人案内に携わりはや1年半。

相手の言いなりになってしまうのはやり過ぎだが、せっかく日本という国を選んでくれたのだから、出

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クリスチャン・ボルタンスキー展

生きるということは、死に向かって歩むこと。

そんな当たり前の事実を、再び突きつけられたのは、現在国立新美術館で開催中の、クリスチャン・ボルタンスキー展だ。

ボルタンスキーとは、フランス出身、気鋭の現代アーティスト。瀬戸内国際芸術祭(以下瀬戸芸)では、自身の心臓の音を収録した「心臓音のアーカイブ」や、400個の風鈴が涼やかな音を奏でる「ささやきの森」という、独創的なアート作品を発表している。

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「ママにとっての幸せって何だと思う」泣きそうな目をした妹に、まっすぐに尋ねられた。「そりゃ、子供の幸せじゃない?」やっとのことで、口から絞り出した。本当にそうだろうか。仕事に介護に家事に、文字通り身を粉にして働く母。その身を、私は今まで一度でも心から案じたことはあっただろうか。

わたしと彼と夏祭りと

夏祭りに心惹かれる理由なんて、挙げればキリがない。

だけど、あえて言葉にするのならば、その夜だけはありふれた日常が、見知らぬ非日常になりすまし、何食わぬ顔してそこに存在しているからなのかもしれない。

人でごった返した改札。
軒を連ねる屋台の出店。
居酒屋の前にたむろする鮮やかな髪色の若者たち。
威勢良く飛び交う店員の声。
どこを見渡しても目に飛び込んでくる、明かりの灯った提灯。

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これも何かのご縁ですね。
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