スプリンターズステークス(2021)の感想とキングヘイローの話
今年の7月にウマ娘にハマり、そこからリアル競馬にも興味を持ちました。
まだまだ勉強不足ですが、競馬は単なるギャンブルではなく、競走馬、そしてそこに関わる全ての人たちの、熱い熱いドラマを含んだスポーツなんだと学びました。
そしてついに、待ちに待った秋のGⅠシーズン!
初戦は短距離No.1を決める、ウマ娘ファンにもおなじみスプリンターズステークス。
レースを観て感じたこと、そして競馬の楽しさを、この世界初心者がまとめてみました。
※タイトル画像は昨日育成した私のキングヘイローです。笑
3歳馬ピクシーナイトの危なげない勝利
レースの結果は、着々と力を付けてきたピクシーナイトがその潜在能力を見せつける見ごたえのあるものとなりました。
騎手は福永さんで、事前のインタビューでは、ポテンシャルはあるものの、まだまだ若いが故に、色々な部分がちぐはぐな状況になっていると話していました。
ただ、レースの内容は危なげないもので、年齢からも、これでまだまだ伸びる余地があると考えると恐ろしい限りです。
ちなみに私は1番人気ダノンスマッシュを軸に馬券を買ってたので爆死しました!!
(ダノンスマッシュは6着)
血統表を見て、「ピクシーナイトの先祖、めちゃめちゃウマ娘じゃん。」
さて、レースの感想、というよりただ思ったことですが、今回勝利したピクシーナイト、その血統を観ると、ウマ娘ファンからすると馴染み深い顔ぶれがいくつも見られます。
まとめると以下の3頭になりますね。
母の父:キングヘイロー
母の母の父:サクラバクシンオー
父の父の父:グラスワンダー
ウマ娘アニメ1期にもフォーカスされていた最強世代から、おなじみキングヘイローとグラスワンダーの2頭。
そして最強スプリンター委員長、サクラバクシンオー。
グラスワンダーはちょっと外れますが、あとの2頭が先祖にいると考えると、「短距離強そうだなぁ・・・」と、ウマ娘だけの知識しか無くても感じるものです。笑
調べたところによると、この3頭は種牡馬として、このピクシーナイトに限らず多くの優秀な競走馬を輩出しているらしいです。あの激強サポートカードでウマ娘界を席巻しているキタサンブラックも、血統をたどると委員長の名前が出てきたり。
ウマ娘に出てくるキャラのモデルは、ほぼすべて(というか全部?)が既に現役を退いている馬なので、現実の世界でレースに出ている姿を観ることは出来ません。
ただ、こうやって私たちが好きなキャラクターの、子ども、孫たちが頑張っているのを観るのは、とても感慨深いですね。
おじいちゃんのキングヘイローの話
今回、ピクシーナイトに乗り、見事勝利した福永騎手ですが、実はその若手時代は、おじいちゃんのキングヘイローの騎手でもあったそうです。
キングヘイローといえば言わずもがなですが、前述のグラスワンダーに加え、スペシャルウィーク、セイウンスカイ、エルコンドルパサーなどといった、アニメ1期で大活躍したいわゆる「最強世代」の一頭ですよね。
キングヘイローの、ウマ娘でのちょっと「高飛車な性格」のモデルにもなったように、とても血統が良く、世代の中では早くから将来を期待されていたと聞きます。ただその一方で、大きなレースはことごとくライバルたちの後塵を拝す結果となりました。
連戦連敗の末、実に11度目のG1 挑戦、しかも走り続けてきた王道の「中長距離路線」ではなく、ダートやマイルなど、色々な種類のレースに出まくって出まくって、最終的には短距離レースである「高松宮記念」でようやく勝利したというエピソードは、胸を打つものがあります。
まさに不屈の精神。
※キングヘイロー JRAのCM「高松宮記念」
キングヘイローと、福永騎手の話
勝利までに時間がかかってしまったキングヘイローですが、福永騎手も当時を振り返り、若かったこともあり、自身がまだまだスキル的にもキングヘイローをうまく乗りこなせなかったとお話されることが時折あります。
もっと早くに勝たせることができたのではないか、ということですね。
福永騎手が若さゆえにミスしてしまったレースとして、有名なのはスぺちゃんが勝ったダービー。
キングヘイローはなんとスタートからハナを進むという、これまでにはない戦法を取ってしまい、結果ペースがぐちゃぐちゃになって14着に終わってしまうという、当時としては結構な「事件」を起こしてしまいました。
その後、紆余曲折あり、前述の通りやっとの思いでキングヘイローは高松宮記念を勝つこととなるわけです。
ただ、実はその時の騎手は福永騎手ではありませんでした。
乗っていたのはベテランの柴田騎手という方で、福永騎手はそのレースで2着だったディバインライトという馬に騎乗していたようです。
間近で見た、苦楽を共にしたパートナーのG1初勝利を、福永騎手はどのような気持ちで観ていたのでしょうか。素直にうれしい気持ちだったかもしれませんし、もしかしたら、本当は自身の手で取らせてあげたかったと思ったかもしれません。
のちに福永騎手は、とあるレースの勝利騎手インタビューで語ります。
「キングヘイローは僕に大きな糧をくれた馬だったけど、何もお返しは出来なかった。」
そのとあるレースとは、2019年の高松宮記念です。
そう、キングヘイローが2000年に初めてGⅠを取ったレースですね。
なぜ、キングヘイローが勝った年から19年後のこのレースのインタビューで、キングヘイローが話題に上がったのか。
それは、レースの5日前に、キングヘイローが亡くなったからでした。
福永騎手はインタビューで、今日の勝利はキングヘイローが後押ししてくれたんじゃないかと語っています。
確かに、福永さんとキングヘイローのコンビは、期待されていたほどの成果は出せなかったかもしれません。
ただ、今や福永騎手は押しも押されぬ第一線の騎手であり、その輝かしいキャリアは、キングヘイローとともに、苦しい戦いをしてきたことが、きっと土台となっていると思います。
そして、キングヘイローの勝利から21年の歳月が流れ、かつての戦友だった彼から繋いできた、ピクシーナイトという新たなパートナーとともに、この短距離レース「スプリンターズステークス」を、今日ここで勝利したというドラマがあるからこそ、競馬はとてもドラマのある、美しいスポーツなんだと改めて思います。
競馬のレースは、スタートすると一瞬で終わってしまいます。
特に短距離レースなんかは、1分程度です。
同時に、競走馬の現役期間も実は3~4年程度と、私が元々思っていたよりも、ずっと短いんだなと思いました。
レースも、現役時代も、一瞬一瞬の輝きですが、だからこその儚さや美しさがあるのだと感じます。
そしてその輝きを、現役を退いた競走馬はもちろん、その関係者の方が、子孫を残すという形で連綿と続けているからこそ、今回のような福永騎手とピクシーナイト、そしてキングヘイローのドラマが生まれるんだなと思います。
そして私は、競馬が持つこの美しさに、すっかりとらわれてしまっています。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?