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ヤ○ザの組長の息子と付き合っている元デリヘル嬢の半生【出会い系シリーズ6.5】

過去記事の続編です。

東京駅で家族のもとからエスケープした彼女は、ヤクザの組長の息子のもとへと向かう。

息子は、彼女のことがずっと好きだった。それを分かっていて、彼女は息子を頼ったのだった。

組長の息子だけあって、不動産をいくつか管理していたらしい。彼女は、マンションの一室で息子と住むことになる。

はじめのうちは一緒にご飯を食べたり、酒を飲んだりと楽しくやっていた。しかしある日突然息子は豹変する。

彼女を監禁しだしたのだった。

手錠で窓の手すりにくくりつけられ、身動きがとれないようにされた。息子は彼女のことが大好きだった。どこにもいってほしくないという、束縛心からそのような行為に至ったのだった。

手錠をはめられた彼女は、トイレにすら行けなくなった。垂れ流し状態になり、部屋はひどい臭いで満ちた。息子は外出から戻ってくると、理由もなく彼女をなぐった。痣があちこちにでき、ストレスでものが食べられなくなった。泣くともっと殴られるので、彼女は息子の前では泣かなかった。代わりに、1人でいるときはずっと泣いていた。

監禁生活が2週間ほど経って、心身ともに限界を迎えようとしていたころ、助けが来た。息子が警察に捕まったのだった。はじめ訳も分からなかったが徐々に事情がつかめてくる。彼女の泣き声を聞いた隣の部屋の人が、「虐待が起こっているみたい」と通報したのだった。

息子がいなくなり、彼女は晴れて自由の身となった。しかし、家出をしているから、もう家族の元には戻れない。これからどうしよう。途方に暮れていた彼女を引き取ったのは、通報してくれた隣人だった。「行くところがないならしばらくうちで面倒見るよ」彼女はありがたくお世話になることになった。

隣人は夫婦2人で暮らしていた。通報してくれた旦那さんは、仏様を絵に描いたような人だった。今まで出会った中で一番優しい人だったという。しかし、旦那さんは日中は仕事に出ているため顔を合わせる時間は少なかった。起きてから夜になるまで、奥さんと2人きりだった。奥さんは旦那さんとは対照的に、陰湿な人だったという。

「うちで預かってあげてるんだから、ちょっとは働いて稼いできたら?」

そう毎日執拗に攻められた。しかし彼女は住所も身分証もなかったので、働くことができなかった。見かねた奥さんが探してきたのは、高級デリヘルの求人だった。彼女は、17歳にしてデリヘルで働くことになる。

中学生の頃から男遊びをしていた彼女は、そういったことに抵抗がなかった。客から指名をうけ、特にストレスもなく働いた。監禁されていた当時に比べれば、天国だと思ったという。

しかし、指名客が増え、軌道にのっていたころ、今度はデリヘル店が摘発される。もちろん、18歳未満を働かせていたためだ。彼女を斡旋した奥さんは警察に捕まった。一方の彼女は警察に咎められただけですぐに釈放された。

それからは仏様みたいな旦那さんと平穏な生活、を送ったのではない。彼女が選んだのは、新しい生活だった。デリヘルをきっかけに仲良くなったお客さんと交際を始め、同棲するようになったのだ。

やがて彼氏だったお客さんとは、籍を入れ、正式に旦那さんとなる。旦那さんは稼ぎは少ないが、真面目に働くいい人だった。真面目な彼が、彼女は大好きだった。

19歳の頃、彼女は第一子を出産する。自分によく似た女の子だった。そしてその2年後、今度は男の子を出産する。彼女が手にした初めての幸せだった。毎日が充実していて、こんな日々がずっと続けばいいな、と思っていた。

がしかし、子供が4歳と2歳になるころ、また運命の歯車が狂い出す。

旦那さんが鬱病にかかり、働けなくなったのだ。

彼は家でずっと塞ぎ込み、外に一歩も出なくなった。

失業手当をもらっても、子供2人を育てるには足りなかった。そこで彼女が、旦那さんの代わりに働き始めることになる。

はじめたのは、かつて従事していたデリヘルの仕事だった。しかし、仕事と子育ての両立は難しかった。疲労が重なって、指名を昔と同じようには取れなかった。金銭的に苦しくなり、このままでは家族共倒れだと思った。行き詰まった彼女は、最終手段にでることにした。

元家族を頼ったのだ。

17歳で家を出てから、何年ぶりになるのだろうか。彼女は緊張しながら実家のインターホンを押した。最初に出てきたのは、母親だった。はじめ驚いた顔をしたが、すぐに険しい顔つきにかわったという。

「なにしにきたの?」

彼女は家出をしてからこれまでのことを洗いざらいすべてしゃべった。そして今、金銭的に困っていることも話した。援助してほしいと、土下座して頼み込んだ。

母親が下した決断はこうだった。

「金に困ってるのなら、あんたが産んだ子供は面倒を見てあげる。でもあんたのことはもう、勘当したわけだから子供の顔とかは絶対に見に来るな。それが受け入れられないなら、もうあきらめて。」

彼女は母親の条件をのんだ。子供がいなくなった途端、すべてがどうでもよくなり、旦那さんとは、すぐに離婚をした。彼女はまた、一人ぼっちになった。

一人になった彼女が頼ったのは、また組長の息子だった。彼は少年院からシャバに戻ってきていた。彼の元しか、居場所がないと彼女は判断した。

「今やってる闇金の取り立ての仕事は、彼から依頼されてるの。そんな難しい仕事じゃないよ。怒鳴り散らしたあとの彼の横で書類の説明するだけだから。おかげで今は問題なくご飯も食べられてる」

そこまで聞いて私は、映画を1本見終わった後のような感慨深い気持ちになっていた。聞いた話がぜんぶ嘘でもいいと思った。そのくらい、心を突き動かされた。

「その組長の息子とはさ、これからもずっと一緒に過ごすわけ?」私はそこだけ気になったので聞いてみた。

「向こうは本気で付き合ってると思ってるらしいけどね。私は彼のこと好きなのかはよくわかんない。暴力振るわれてたわけだから。今でもね、男の人から頭なでられるのが嫌なの。殴られるんじゃないかって、体がビクってしちゃう」

お会計は彼女がすべて支払ってくれた。取り出した財布は、ルイヴィトンだった。息子に買ってもらったのだろうと私は思った。彼女は組長の息子から離れたくても、離れられないのだった。

別れ際に、彼女とLINEを交換する。LINEのプロフィール写真に、私は胸が痛くなった。なぜならそれは、車の後部座席で、小さな女の子と男の子が手をつないでいる写真だったからだ。

聞くまでもなく、それは彼女の子供たちの写真なのだろう。

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トップ画は、地味ハロウィンにて『スナチャの加工をしたサラリーマン』のコスプレをしたときのものです。楽しんで書いてます。
コメント (6)
>ともがらさん
彼女自身はちっちゃくて可愛らしい子だったんで不思議とこわくなかったです!話自体は完全に闇金ウシジマくんの世界でしたけどw
>片山のぶゆきさん
ずっしり来る言葉で、私の心にも響きました。
彼女は今lineのアカウントを消してしまって連絡がつかないのですが、
後日談だと、組長の息子に支援してもらって、
アロマテラピー(?)の資格を取り、自分の店を持っているそうです。

子供に会えるかどうかは分かりませんが、いつしか親子の確執が消え去って、好きな時に会えるようになるといいですよね。
人間わからないものですね。でも現実ってウシジマくんより意外なものなんですね。

でも希望のある後日談があって、よかったです。
>いしださん
いやはや、自身も2児の父親ゆえ、ついつい熱くなってしまいました(汗)
そうか資格取って頑張ってらっしゃるのですね。
彼女の人生もテラピーされて、素敵な日々が訪れる事を願うばかりです。
久々にシビれるエッセイでした。
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