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『SFが読みたい!』で、まさか多崎礼先生を拝見するとは思わなかった話。

(えみる)こんばんえみえみ。
(山田)『SFが読みたい!2020年版』買ったんですよ。
(えみる)欲しい物リストに載せたのに贈ってもらえなかったんだね。


21世紀を代表するSF大河小説『天冥の標』が完結したあとの『SFが読みたい!』ですよ。『紙の動物園』『三体』など中華SFも話題になり、そしてSFマガジンに重版が掛かった『SF百合』というジャンルも熱い昨今。


いろんな角度からSFが盛り上がっているいま、これは買わざるを得ない!と思い読んでいたら、ファンタジー界隈の作家さんだと思っていた『多崎礼』先生の名前を見かけました。

そう。あれはたしか大学生の頃だったからもう十年近く前(えみるさんと出逢う前)になりますが、夢中になって読み進めていった記憶があります。

「滅日」によって大陸中に散らばった、世界を蝕む邪悪な存在―文字。天使の遺跡を巡り、本を修繕する少年アンガスは、文字を探し回収するために、“本の姫”と旅を続けている。ある日、無法者たちから救い出した少女に、文字の気配を感じた彼は―。圧倒的な筆力と緻密な世界観を持ち、第2回C・NOVELS大賞受賞作『煌夜祭』で話題騒然の多崎礼が満を持して放つ新シリーズ、堂々開幕。

スペルと呼ばれる『アルファベット』を集めていくファンタジー小説です。26種。

これ、お話作るのかなり難しいと思いませんか。なにしろアルファベット26種すべてに意味をもたせて、それを回収させるイベントを組まないといけない。そのうえで、全体を貫く大きな物語の謎解きや展開をしていかないといけない。

(えみる)かなり綿密にプロットを立てないといけないやつ。

さらにこの小説は、それをしながら、同時並行的に『滅日』の前日譚が語られていきます。アルファベット集めと交互の章立てで。ふたつの時系列で謎が紡がれ、そして謎が解かれていく。

なんという技巧!
そしてふたつの物語がぱっちりハマる瞬間の快感と来たら!

正直、十年近く前に読んだ小説なので内容はほとんど忘れているところがあります。が、第四巻の終盤に配置された、あるギミックだけはいまでも記憶に残っています。いつかパクりたい、と思うほど。

紹介をしたいのですが、興味を持って読もう!と思ってくれている方にはそれを初見で味わってほしいので、この記事の最後にちらっと書きます。

『〈本の姫〉は謳う』をもし気に入ったのなら、次に書かれた『夢の上』というシリーズも気に入ってもらえるはず! こちらは六章(1冊あたり二章)からなる短編連作で、それぞれがそれぞれの章に交わり、最後にかっちりとハマるファンタジー小説です。

夢売りは請う。「私は、夜明けを所望します」夜の王は答えた。「ならば、見せて貰おう」夢売りが取り出したのは夢の結晶。その中心が淡い緑の光を放ち―「これは結晶化した女の『夢のような人生』」地方領主の娘として平凡に生きるはずだったアイナの物語。

読んだひとならわかりますが、文字どおり、『夢の上』の物語。

(えみる)それで。SFが読みたいに紹介されていたのは、なんなのさ。
(山田)これです!

どこまでも続く巨大な砂漠の果て、そこには古今東西の知識のすべてが収められ、至りし者が神に等しい力を手に入れる図書館があるという――長い旅路の末、たどり着いた旅人がひとり。鎖に縛められたその扉を開かんとする彼に守人は謎をかける。鎖は十本、謎も十問。旅人は万智の殿堂へたどり着けるのか!? 知の冒険へ誘う傑作長篇!

うわー!!! 多崎先生らしい!!! 
ちょっといま別の本を読んでいてすぐ読めないけど、欲しい物リストに入れてしまったー!!!

昨日の記事はこれ!

まだ伸びてるTweetはこれ!
(えみる)1.8万ふぁぼて。

いま読んでる本はこれ!
プレミアついていた本だったんですが、ようやく文庫版が出ました。

『〈本の姫〉は謳う』の第四巻の終盤に配置された、あるギミックというのはですね(実家にあるので細かなところはうろ覚えですが)、

悲劇を乗り越え、それでもページをめくることを止めなかった君がいなければ、この奇跡は起きなかった。

というやつです。メタのやつ。本の話だしね!

(えみる)うわー、山田が好きそうなやつー!

いただいたサポートは、山田とえみるさんの書籍代となります。これからも良い短編小説を提供できるよう、山田とえみるさんへの投資として感謝しつつ使わせていただきます!(*´ω`*)