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『100日後に死ぬワニ』についてのこの胸の中のもやもやしたもの。喪に服す時間が欲しかった。

(えみる)おはえみる。
(山田)ワニです。
(えみる)ちょっと。『ワニについては何を語ってもつまんなくなる』って言ってたいでしょ!

とはいえ、手帳にはしっかり『ワニが死ぬ』と書いていました。毎日楽しみにしていましたし、Twitter民の考察も楽しんでいました。GANTZとかドリフターズみたいなネタも含めて。そこまで含めて楽しむ、いわば『みんなの考察まで含めてエヴァンゲリオン』状態でした。

ワニ、100日目に死にました。

その数時間後には、なんかすごい勢いで囲い込まれていました。

ものすごくもやもやします。

Twitterでは『電通案件』がトレンド入りし、電通そのものや、いわゆるステマが嫌いなひとたちが叫んでいたり、これだけのことをしたのだから対価は払われるべきだという作家側の意見も多く飛び交っています。

これらは議論に見えて議論ではないので、のめり込んでいくと余計に混乱してしまって、最後は『電通憎し!』になってしまう気がするので、自らに課した禁を破り、自分のもやもやを整理することにしました。ただし、『100日後に死ぬワニ』そのものについては言及しないと思います。

(えみる)『気に入らない』の壮大な言い換えはやめてよね。

先に、『みんなの考察まで含めてエヴァンゲリオン』状態と表現しました。これがTwitterでこれだけ流行ったのにはいくつか理由があって、
①どのように死ぬのか、語りたい。考察したい。ネタにしたい。
②TwitterにはSNSにおいて最強の拡散力がある。
③毎日話題が投下される。
④『死』はひとの注意を引きやすい。

これらが大きいように思います。

典型的な『UGC』というやつです。『User Generated Contents』。どのように死ぬのか、こうじゃないか、こうだったら面白い、死んだあとにも続くんじゃないのか、100日目は訪れないのではないのか。

< UGCとは>
ユーザーが自分の意思で投稿したコンテンツであるUser Generated Contentsのことで、モノが売れない時代を切り開く鍵となる。

そういう意味で、『100日後に死ぬワニ』というコンテンツは、SNSマーケティングのお手本のようなものでした。100話全部つなげてpixivに投稿されたら、こんなことにはならなかったでしょう。(少なくともぼくが楽しんでいた)『100日後に死ぬワニ』というコンテンツは、単体では成立しなかったわけです。

ただ、みんな(あぁ、主語を大きくしてしまった)のこころのうちに『俺たちが作ったムーブメント感がある』と思うんですよね。ぼくたちはTwitterでRTをしたり、ネタにしたりしていました。能動的にですよ。

意図せず『UGCになってしまった』と見ることもできます。
ここまでバズるとは誰にだって予想ができなかった。しかも100日かけて、Twitter民が盛り上がってしまって、わかりやすいカウントダウンによってその盛り上がりは最高潮に達してしまった。そして、死。

それを『俺たちが作ったムーブメント』ということばで呼ぶかどうかは別として、死後、悼む間もなく、聞いてなかった『商業』たちが大挙してくるのは、一気に現実に引き戻されてしまう感覚があります。

(えみる)『悪い大人』って書いて消したね。さすがにその言葉を使うのはダサいよね。

もちろん作家には相応の報酬が支払われるべきです。しかし、せめてこれを打つなら、(そしてワニがネタではなく、きちんと終わったのであるから)せめて喪に服す期間を与えてほしかった。『コンテンツそのものに対するリスペクトが足りない』とは、あれだけ玩具にしてきたぼくたちには言えませんが。

最高に盛り上がっているときが打ち時なのはわかるんです。わかるんですが……。

日本中が見守った100日間、待望の書籍化
あたりまえ。だから、愛おしい。
1匹のワニの、なんでもなくて、かけがえのない
毎日の記録をぜひお楽しみください。
Twitter 累計1000万いいね!超えを記録した100日間の本編に加え、
0日目や100日後の後日譚など、ここでしか読めない
描きおろしも28ページ収録!

昨日の今日でこの内容紹介を読んでいるとき、完全な『無』になれました。

そうは思わないと思う方、あなたはそうは思わないのでしょう。
それだけの話です。

余談ですが、『100日後に死ぬワニ』を映像化するのは別に悪手では無い気がするのですが、ユーザー同士で盛り上がれるyoutubeやニコニコではなく、みんなが黙って見る映画ってあたり、企画している人が話題だけを見てこちら側を向いていない感を強く感じます。

昨日の記事はこれ!

いま読んでる本はこれ!

読んだその日から、ずっと忘れられないあの一編。思わずくすりとしてしまう、心が元気になるこの一編。本を読む喜びがページいっぱいに溢れるような、とっておきの物語たち。2000年代、「小説すばる」に掲載された短編作品から、とびきりの12編を集英社文庫編集部が厳選しました。

(えみる)まだ読んでるの!?
(山田)実はまだ届いていなくて……。

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