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【エッセイ】存在しない作品の二次創作について。あるいは《未だ語られざる、けれど観測された第八の地平線》について

(えみる)こんにちえみえみ。
今日は山田が隅っこで丸まったり、ドラクエウォークではぐれメタルを狩ったりと忙しそうなので、わたしが更新するよ。何を更新するかって。タイトルのとおり、《未だ語られざる、けれど観測された第八の地平線(存在しない作品の二次創作)》についてだよ。

 ※

◯『山田えみる』は次のふたりからなる短編小説サークルです。
◯えみる:執筆担当。Soundhorizonがとても好き。
◯山田:編集広報担当。ラーメンズがとても好き。

プロフィールで書いていたこの『Sound Horizon(以下、サンホラ)』の話をする。話し始めるといくらでも話せるから、1,000文字程度で抑えるよ。

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サンホラというのは、このrevoというひとがひとりだけ属するアーティスト。アルバムはそれぞれ《地平線》と呼ばれ、それぞれの世界観がある一冊の本と思ってもらえばいい。

まずは、この動画を見よう。

コミケ時代から頒布していたアルバムを含め(超プレミア!!!)、《地平線》には番号が振られている。

◯第一の地平線『Chronicle』
◯第二の地平線『Thanatos』
◯第三の地平線『Lost』

◯第四の地平線『Elysion』:ここからはきちんと語れる。ジャケットに描かれている五人の少女を巡る物語を横軸として、仮面の男と白い少女の物語が縦軸に描かれていく。楽園パレードへようこそ。

◯第五の地平線『Roman』:生まれる前に死んでしまった冬の子《イヴェール》。彼が生まれてくる世界を探すため、双子の人形が物語を語る。あるいは騙る。すべての物語には伝言が隠されていて、それが最後の曲『11文字の伝言』に結ばれる。アナタは 「0302・0101・1001・0304・0502・0105・0501・0902・0501・0301・0102」

◯第六の地平線『Moira』:ギリシャ神話を舞台に、引き裂かれてしまった双子を巡る、神々と人間(死すべき者たち)の物語。解釈の余地がめちゃくちゃあって、ライブでも回ごとに、最後に出てくる主神の正体や出てくる死神の数がちがうなどの演出がよい。

◯第七の地平線『Marchen』:グリム童話を舞台に、屍揮者《メルヒェン》が人形《エリーゼ》とともに7つの大罪をモチーフにした復讐劇を巡る物語。死者が恨みを歌い、屍揮者が復讐しろと煽る。ライブではもちろん、わたしたちも煽る! 嗚呼 復讐は罪が故に 粛々と受け入れ給え 嘆いた処でもう手遅れさ。終(つい)に 宵闇の此の楽団で 憾(うら)みを唄いたいなら
「屍揮者(しきしゃ)は君の味方さ!」

◯第九の地平線『Nein』:現代を舞台に、西洋骨董洋箱庭堂に迷い込んだ青年が、『時空を超えて 事象を映す 未来のサングラス(REVO)』を手に入れたことによる観測の物語。REVOと四匹の猫の意志のまま、過去の《地平線》で起こった《死》を改変していく。

愛しい人を追いかけることを諦めていたら。あの衝動に囚われなかったら。生むことを諦めていたら。運命に立ち向かわなかったら……。彼も彼女も死なずに済んでいたかもしれない。さて。箱の中の猫は、生きているのか? 死んでいるのか? 其れでは、檻の中を覗いてみよう――

というわけで、公式がセルフ二次創作したのがこの最新アルバム『Nein』というわけ。Neinは9とももちろんかかっているけど、ドイツ語で『否定』を意味する。《死》を否定した地平線では、わたしたちの知る物語とはちがう結末にたどり着く。それはあり得なかった平和だったり、新たな悲しみが生まれたりする。でも、《死》を否定されただけで、立ち向かうことをしない物語なんだ。それって生きたってことになるのか。

 ※

は?

と思ったひともいるかもしれない。正直、わたしも第九の地平線『Nein』が発表されたとき、最初はテンションがあがって気づかなかったけど、あとで気がついて『は?』ってなった。

『第八の地平線』、巡ってなくね???

それなのに、第九の地平線『Nein』には、第八の地平線の『否定』である『輪廻』という曲がちゃんと収録されている。これが曲と言えるかどうかとか、改変できているのかどうかは議論の余地があるけれど、わたしたちは第八の地平線の二次創作を知っているけれど、オリジナルを知らないという状態にあるんだ。

そんな感じで放置されてはや五年が経とうとしている。は、五年??? Nein初めて聞いたときやライブに行ったときのこと、去年のように思い出せるけど???

そんな中で、このあいだ突如として公表された情報がこれ。15周年記念の特設サイトなんだけど、このロゴの中央部分をクリックすると、まったく聞いたことのない曲が聴ける。

和!!! 満を持しての和!!!

咲く花や散りぬるを
神代の時より繰り返す
私はそれを美しいとは思ったことがない
絶えず久方の春の日を
仮初の影が奪い合う
その営みを美しいとは思ったことがない

しかもサンホラの価値観である《美しい死》を真っ向から否定する、おそらく黄泉比良坂を駆け上がるかみさま!

わくわくが止まらない。
第八の地平線の情報はいまこれしかないのだけど、これだけで一年は楽しめるほど、我々《王国民(ローラン)》は訓練されているのでーー

と書いているあいだにも、1,267文字超えてしまった。

今日も君の話し相手になりたい。

いただいたサポートは、山田とえみるさんの書籍代となります。これからも良い短編小説を提供できるよう、山田とえみるさんへの投資として感謝しつつ使わせていただきます!(*´ω`*)