海の散歩
休日、家事を終えた後、海へ向かうことにした。家の近くにある小さな海辺は、観光客が少ない穴場だ。夫と子供たちはそれぞれの用事で忙しく、今日は一人。家事から解放されたひとときを味わうのに、こんな静かな場所がちょうどいい。
海までの道のりは、風に乗って塩の香りが漂い、心が自然と軽くなる。足を運ぶたびに、サンダル越しに感じる砂の感触が心地よい。道端には季節の花が咲いていて、潮風に揺れる姿が美しい。
海に着くと、波の音が響き、リズムよく砂浜を打ち寄せる。目を閉じて深呼吸すると、普段の忙しさから少しだけ解放された気分になる。この場所には、日常の喧騒とは異なる独特の静けさがあり、それが私を癒してくれる。
海辺に並ぶ小さな貝殻をひとつ手に取り、じっと眺める。子供たちと一緒に海で遊んだ思い出が頭をよぎり、自然と微笑む。一人でのんびりと過ごす時間も大切だけれど、やっぱり家族と一緒に過ごす時間が何よりも幸せなんだと感じる瞬間だ。
波打ち際を歩きながら、自然とこれからの夕飯のことを考え始める。今晩は何を作ろうか。夫の好物は?子供たちは何が食べたいだろう? そういえば、冷蔵庫に野菜が余っていたはず。シチューでも作ろうかな。ちょっとした家事から解放されている間にも、頭の中には次々と日常のタスクが浮かんでくる。
でも、今はそんなことを少しの間忘れて、ただ波の音に耳を傾け、風を感じていたい。忙しい日々の中で、こうして一人になって心をリセットする時間はとても貴重だ。
最後にもう一度、波の音を胸いっぱいに感じながら、私は砂浜を後にする。