予定の変更
車のキーを手に取ってリビングを出ながら言った。
「で、何を食べに行くの?」
夕食どき。今日は家族で少しお疲れモードなので、外食をしようという話になった。
「うどんに行こう」という奥さん。
「パスタがいい」という息子。
正直、僕はどっちでも良い。
2人で話して決めて、と伝える。
そこから「パスタ」「うどん」論争が繰り広げられたわけなのだが、お互いが全然妥協しない。
見るに見かねて「パスタでいいんじゃない?」と息子に助け舟を出した。こどもが「行かない!」と駄々をこね出すと、後々めんどうだなと思ったからだった。
「あぁ、じゃあそれでいいよ」
そこで奥さんが引いてくれた。
ようやく玄関から出て、車に向かおうとしていると奥さんがポツリと言った。
「パスタだったらお父さんの作るやつが良くない?」
すると、息子もぽつりと言った。
「それだったら、食べに行かなくていいね」
2人から視線を向けられる。
…ウソだろ?
ここで「外食」路線が消えるわけ?
とはいえ、変に意見が一致した2人の様子を見ていると、そうせざる得ない雰囲気ではある。
「…分かった。作るわ」
外食先へ行こうとしていたのに、気付けば一人で近くのスーパーに買い物に行っていた。
そして夕食は、過去にも何回か作ったリュウジ式至高のレシピにある「至高のカルボナーラ」になった。
たまごを溶かし、クラフトチーズを混ぜる。
オリーブオイルでニンニクとベーコンを炒めながら、サイダーを飲んだ。
まぁ、いいか。
フライパンから立ちのぼるニンニクの香りが、その後の料理の成功をなんとなく予感させてくれた。
(note更新244日目)
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