自分が死ぬ時

小さい頃から自分は40歳くらいで死ぬだろうと何となく思っていた。

なんの根拠もなく、ただただ漠然とそう考えていた。

親戚はみんな長寿で100歳近くの人なんてザラにいるし、健康診断でも全くの健康なのに。

何故40歳という年齢なのか、いろいろ考えてみた。

自分が成長し、小学生、中学生、高校生、大学生、社会人となっていった時に未来の自分を想像できる限界の年齢なのではないか。

当時の私は大人になった自分自身を想像できなかった。今だってそうだ。自分自身が大人になったなんて一切思えない。確かにお酒を飲める歳は大分前に超えたけれど、当時の私が想像していた大人とは全く持ってかけ離れている。大人ってもっとしっかりして、文句も言わずに仕事に没頭して、子育てをして、子供のようにはしゃぐことなんてしないと思っていた。大人は皆完璧だと思っていた。

大人は完璧だと思っていたからこそ、大人な自分自身が想像できなかったのだ。

大人になった後の自分が想像つかない。だからこそ、幼少期の自分は40歳で死ぬのかもしれないと思ったのだろう。40歳になれば大人になっているだろう、と。それに当時の自分が持っていた感覚や感情が、大人になった瞬間に消え去ると思ったから。子供から大人に変化するのは当たり前のことだけれど、幼少期の自分には漠然とした不安しかなかったのだ。

それは今でも変わらない。けれども、あの頃よりは何かが見える気がする。それはまだぼんやりとしているけれど、あの頃の不安は少し薄れた気がする。私も少しは大人になったのだろうか。


藍子

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