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生きがいだとか、なんだとか

「We are taking off shortly. Please fasten your seat belt.Once again, I would like to welcome you aboard.」 落ち着いた声の機内アナウンスが流れる。 バタバタとチェックインを済ませて機内に乗り込んだ僕の鼓動は、ゆっくりと落ち着いていく。 袖からはタバコの香りが漂う。 息を整えようと意識すると、自分の肺が膨らんで、縮んでいくのがわかる。その瞬間だけ、僕はいつも生を感じる

    • 雲を越えて、息をする

      1. 3月下旬、4月から社会人になる僕は、学生生活最後の旅に出た。フランクフルトを経由してメキシコまで、33時間半の長旅。 日本を発つ頃は、ワクワクが止まらなくて空港の中をウロチョロと歩き回っていたけれど、12時間半のフライトを終えてフランクフルトに着いた時は、心も身体もぐったりとしていた。 飛行機から降りて、頭上に広がる灰色の空を見て、僕はどんよりとした気持ちを抱えた。 今にも雨が降り出しそうな曇り空からは、一筋の光も通さない。 僕の心はそんなモクモクした灰色の雲た

      • 太陽の光に導かれて

        空の上から見える景色は全てが美しい。太陽が何もかも美しく照らしてしまうからだ。例え、地上が曇りでも。僕は世界一周の旅に出る。世界中に広がる美しく、神秘的な景色を見る。太陽の光に導かれて。

        • 不安

          どんよりとした曇り空の中8時間の長時間待機を経て僕はぐったりとしていた。メキシコまでの長い航行と、これからのタイトな旅程をぼんやりと思い浮かべ、少しの不安を覚えた。そんな思いを抱えながらフランクフルトを発ったあの時。雲を飛び越えたはるか上空の空には目も開けていられないくらいの太陽が僕を待っていた。まるで僕の心を映し出しているように。小さな不安に捉われている内は、上を向いてもすさんでいる。でもその不安を乗り越えた先には、希望が待っていて、気づいたら不安を見下している。

        生きがいだとか、なんだとか