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「アイカツ!」を彩る音楽(1)

どうも、411です。おはようございます。皆さんは『アイカツ!』をご存じでしょうか。以前もアイカツ!についてnoteを書いたんですが、文体が気持ち悪かったので0から書き直すことにしました。


アイカツ!とは

『アイカツシリーズ(以下アイカツと表記)』は、株式会社バンダイが発売する『データカードダスアイカツ!』を原作・原案とした女児向けアニメです。2012年10月8日から現在に至るまでの長きにわたって毎週放送されている人気シリーズとなっていて、現在公式YoutubeでオリジナルWEBアニメが公開されています.

「私の熱いアイドル活動、アイカツ!始まります!」という強烈なセリフから始まるこのアニメは、星宮いちごとその後輩大空あかりがアイカツシステムを用いてアイカツをする、女児向けの学園&アイドルアニメです。アイカツ界において重要なのは歌唱力や容姿だけでなく、一緒にアイカツをする仲間との絆やファッションセンスも問われます。そういった基礎的な知識をアイドル学校「スターライト学園」で学びながら、トップアイドルを目指してアイカツに励む、それがこのアイカツ!というアニメなのです。

今回の記事ではアイカツシリーズの記念すべき一作目、原点にして頂点にして満点の『アイカツ!』において、アニメを彩ったオープニングテーマ(OP)やエンディングテーマ(ED)を解説します。そのうち挿入歌も解説したいと思います。

いきなりですが、アイカツ!をよく知らないという方は、無料で公開されている1話だけでも視聴しておくことを強くお勧めします。というのも、1話だけでも見ておけば、きっとハマるからです。(露骨な布教)


アイカツ!楽曲の歌唱担当システム

まずはこちらをご覧ください。アイカツ!のOP、EDの一覧表です。

ア!OPED

曲名の隣に、歌唱担当という欄がありますね。これは、文字通り歌を歌ってる方々の名前です。アイカツ!の場合、歌を歌うのはアニメ内の声優さんではなく、本作のために結成されたユニット、「STAR☆ANIS」と「AIKATSU☆STARS」なんです。なぜこんなことをするのか、と思う方も多いと思います。アニメでは挿入歌は登場人物たちの声を演じる方が歌うのが一般的ですし、外部の人に歌わせても主題歌くらいでしょう。

実は、アイカツ!の楽曲は「アニメは子供向けだが、音楽は上の年齢層にも聞いてほしい」という方針のもとで作られていました。そのため、アイカツは大人であっても、音楽だけ聞いていても楽しめる作品に仕上げられているんです。これを頭においておくと、これからお話する曲の素晴らしさがわかってもらえると思います。

歌のレコーディングというのはかなりハードな仕事で、一曲録るのに半日かかることも。そこで、歌を仕事にしているディアステージ所属のアイドル達に一任することで、よりクオリティの高いボーカル録音を可能にしたのです。

声優は本来の声の仕事に専念し、歌手は歌に専念してもらうという分業。これこそが、アイカツ!の音楽を何段階も上の世界に引き上げた秘策なのです。

では一曲ずつ紹介を。(歌手の構成が異なるバージョンが多数存在するため、ボーカルについては割愛させていただきます)


Signalize! (OP1)

まずは1期前半OP『Signalize!』。聴いてもらうとわかると思いますが、明らかに女児向けの曲ではありません。(≒大人の皆さんも是非聞いてください)

Signalizeの紹介に戻ると、出だしの低音がものすごくかっこいいんです。上記の公式YouTubeでいいので、一回聞いてみてください。ベースだけでもすごい曲なんですが、メロもとにかくカッコいい。

女児向けアニメのOPとはとても思えないこの作曲はNARASAKIさん(奈良崎伸毅さん)です。また、女児向けアニメと聞いて平和ボケしてしまったみなさんに、こちらの歌詞も見ていただきたいと思います。

始めよう ただの憧れじゃないChance for me
残酷な夢が 夢で 夢になるんだ 
(1B)

残酷な夢、というのはどういう意味でしょう。恐らく、2話あたりを見ていただければこれがどういうことを指すのか、というのは容易に理解できると思います。畑亜貴さんらしい巧みな作詞ですね。ただこれは、アイカツ!においても全シーズンを通して描かれている部分でもあるので、一番最初のOPにおいてこれを示したのは、本当に素晴らしいと思いまし、是非全編を通して見て欲しい作品だと改めて思います。


カレンダーガール (ED1)

では次は、1期前半ED『カレンダーガール』です。特徴的なボーカルのカットアップから始まるこの曲は、変則的な進行ながら、メロディーが立っているのでグッとくるものがあります。アイカツといえば必ず名前の挙がる曲、名EDとして知られるこの曲は、歌詞もものすごくいいんですね。

なんてことない毎日が かけがえないの (1C)

大人のために作られているのではないかと思ってしまうこの歌詞。サウンドと絶妙にマッチしているので、50話まで見たあなたは涙なしにこの曲を聞くのは無理でしょう。なんて言ってるこの俺もまだ学生なので、この歌詞を本当の意味で理解できるようになるのはまだ先のことでしょう。

作詞はこだまさおりさん、作曲はMONACAの田中秀和さんです。ちなみにこの曲、アニソン大賞特別賞をはじめとして、アニソンと名の付く投票にはいたるところでランクインしております。アイカツ!の名をアニメシーンに轟かせたこちらの曲、是非聞いていただきたいと思います。

余談ですが、2番の後にくるCメロで「思い出は未来の中に」という歌詞があるんですけど、これは1期最終回(50話)のサブタイトルであり、いちごのセリフでもあるんですよね。オフィシャルコンプリートブックにおいて、シリーズ構成の加藤陽一さんがこの歌詞について触れていました。なんと、「50話で視聴者を感動させるために、この曲を5000回以上聞いた」と言うのです。ものづくりの執念って、凄いですね…


水島精二という存在

本筋とは少し離れますが、アイカツ!の楽曲のプロデュースとディレクションの面において多大な功績を残された水島精二さんについて触れようと思います。

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こちらはアイカツ!の主なスタッフさんの表です。いろいろと目につく名前がありますが、スーパーバイザーの欄を見ていただきたいと思います。スーパーバイザーというのはざっくりいうと監督の助言役なんですが(ざっくりすぎる?)、彼が音楽に精通していることもあって、曲のオーダーやディレクションなどにも関わっていたようです。

あまりOPらしくなく、アイドルへの憧れや待ち受ける試練を彷彿とさせるOP、Signalize!。あるいは、アイドルたちの日常の1ページを切り取ったEDの中のED、カレンダーガール。こういった珠玉のテーマ曲が生まれた背景には、彼の影響が挙げられるでしょう。(編曲の指示などもしていたそうです)


ダイヤモンドハッピー (OP2)

さて閑話休題、次は1期後半の曲です。
まずはこれ、1期後半OP「ダイヤモンドハッピー」。主人公いちごと大親友の霧矢あおい・紫吹蘭の三人で結成したユニット、「ソレイユ」の代表曲でもあります。このソレイユの結成には紆余曲折あったのですが、満を持して結成されて、そこからこのひたすらに明るい曲で堂々登場なんです。そう思って聞いてみると、結構突き刺さってしまいます。歌詞の節々にもソレイユの結成時のエピソードを連想させる言葉があって、言葉の暴力って感じです。

作詞は畑亜貴さん、作曲はMONACAの石濱翔さんです。畑亜貴すげえ(小声) ちなみに石濱さんは、1期前半と3期前半をのぞく5つののOPを作ってます(小声)

ちなみにこの曲、本作で2番目に多く挿入された歌であるとともに、次作「アイカツスターズ!」でも登場します。愛されてますね~


ヒラリ/ヒトリ/キラリ (ED2)

ではED曲「ヒラリ/ヒトリ/キラリ」。イントロのオーケストラがもうカッコいいです。帆足さんらしい。。
この曲はいちごと友達の有栖川おとめ・神谷しおん、期待の後輩北大路さくらの三人で自主結成された「Powa2×PuRiRiN」と、先述のユニット「ソレイユ」「Tristar」が期間限定で合流してできた「STAR☆ANIS」というユニットの曲です。(お気づきの方もいるかとは思いますが、先述の歌唱担当のユニット、STAR☆ANISはこれが由来です。)

9人の思いが詰まったこの曲は、アイカツ!での出来事を象徴するような内容となっている一方で、同時にアイドルの仕事としての、プロとしての自覚を促すような歌詞もあります。耳が痛いです。

自分のことを甘やかしたら 全部見抜かれてしまうよ (1C)

作詞は只野菜摘さん、作編曲はMONACAの帆足圭吾さんです。帆足さんのEDはもう一つありますが、どちらも非常に完成度の高い曲です。(後程紹介します)


KIRA☆Power (OP3)

2期前半OP「KIRA☆Power」です。冒頭の直球ともいえる強烈な歌詞とサウンドに惹かれます(ダブステップっていうジャンルらしいです)。アイカツ!の2期の前半では、ライバルと正面から競い合いながら成長する二人のアイカツが描かれています。そんなライバル同士を中心に描かれたOP映像では、二人が仲良く一緒に踊ってますね。全体の構成もしっかりしていて、とても綺麗な曲です。きっとハマります。

作詞は畑亜貴さん、作曲はMONACAの石濱翔さんです。(既視感)


恐るべし石濱翔

ちょっと脱線するんですけど、石濱さんってこういうキラキラしたサウンドがすごく得意だと思うんですよね。ハマると本当に深いです。future bassあたりの一辺倒ではなく、ロックにも造詣が深いので、最近の電子音から古めのバンドサウンドまで、さまざまな音を駆使して深みのある曲を作ってくれます(上から目線)。

個人的には「Kawaii make MY day!」や「ヨロコビ・シンクロニシティ」が今特におすすめです。是非どうぞ(客引き)


オリジナルスター☆彡 (ED3)

話を戻して、2期前半のED、「オリジナルスター☆彡」です。

あまり触れられないのですが、アイカツ!におけるアイドル像の描き方において、重要な考え方が一つあります(もっとありますけど)。それが作中で時折登場する、「セルフプロデュース」です。

セルフプロデュース、それはすなわち自分をより魅力的に見せるためのことを自分で考えて実行することを意味しますが、主人公たちの通うアイドル学校では、これを生徒に課すのです。

※アニメに限らず子供向けの作品では、しばしば "描かれている大人像" (≒子供たちが目指すべき姿) というものが作品像を捉える上で重要な足がかりになったりします。この視点を頭の片隅にでも置いておくと、より楽しめることと思います。

こちらの「オリジナルスター☆彡」では "自分が目指すべき姿、なりたいアイドル" に近づくために自分自身に磨きをかける、つまりセルフプロデュースそのものを描いた曲になります。アツいですねぇ。(これが言いたかっただけ)

作詞はこだまさおりさん、作編曲はMONACAの田中秀和さん。カレンダーガールを生んだこの二人は伊達ではありません。こだまさん最高!


安心と信頼のこだまさおり

カレンダーガールやオリジナルスターを作詞した、こだまさおりさん作詞の曲を二つ紹介したいと思います。

作詞家というものはリズム感と詞藻、更にはファンが喜ぶ歌詞を作ること(今までの集大成であったり、ストーリーを踏まえると泣けてくるものだったり…)が求められます。もちろんこの3つでは到底足りないのでしょうが…

こだまさんはどちらかというとこの "ファンを喜ばせること" に長けているように思えます(もちろん他の技術も劣ることはありません)。アイカツ!においてもそれは遺憾なく発揮されていて、ファンとしては喜ばしい限りです。

今回は、アイカツ!以外から神歌詞のお手本のような「DreamRiser」を紹介したいと思います。ガルパンはいいぞ。


SHINING LINE* (OP4)

それでは2期後半。アイカツは4期(話数的には3.5期)ありますが、1~2期と3~4期で主人公が後輩にシフトしているんです。このOPが使用される2期後半で3期からの主人公が登場し始め、1~2期の主人公がその座を退く最終回もこの曲幕を閉じることになります。このアイカツ!全体にとってとても重要な時期を、タイトルのように主人公の引き継ぎを一本の"線"に例えて見守ってきた曲が、このSHINING LINE*そのものなんです。泣けますねえ。

作詞はこだまさおりさん、作曲は石濱翔さんです。好き放題やりおって…。曲といい歌詞といい映像といいストーリーとの整合性といい、これ以上ないくらいに主題歌してます。ありがとうございます!!!!!!!!


Precious (ED4)

最後は2期後半ED、「Precious」です。何気ない日々に、仲間に、これから出会う未来に感謝しながら幸せを噛みしめるというテーマで、子供には少し早い気もしますが、2年間を締めくくる曲としてふさわしく、何よりもアイカツ!らしいと言えるでしょう。

作詞は辻純更さん(この人もアイカツ!に欠かせない人です)、作編曲はMONACAの帆足圭吾さんです。先述の「ヒラリ/ヒトリ/キラリ」を書いた人ですが、音楽的な素養がしっかりしているのもあって、ストリングスなどの編曲が非常に巧みです。そして、落ち着いた曲ばかり書く人なのかと思えば、ゴリゴリのロックなんかもかける人です。それはまた別の機会に…

この曲のテーマは、ED1のカレンダーガールと似ていますね。このアイカツ!というアニメが何を重視して、どこに力を入れ、どんな思いを込めて作られたのかというものは、今日紹介した8曲から読み取れるんじゃないかと思います。

おわりに

先ほど1~2期と3~4期で主人公が変わったといいましたが、曲調的にもストーリー的にも趣向が少し変わるので、キリもいいですしこの辺でいったん筆を置こうかと思います。疲れた。

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