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【ブランドを作ることになったきっかけのきっかけ】イタリアから見た3.11

今の私があるのは高校の5年間の経験がほとんどといっても過言ではありません。今日は8年前の今日の2011年3月11日、当時イタリアで高校生をしていた私の話をします。

高校生活の中で迎えたターニングポイント

2006年15歳でイタリアに来てそのまま現地の高校に入学したのですが、私はそこまで社交的な性格でもないし、イタリア語もほとんどわからなかったので1年目はクラスに上手くなじめませんでした。
正直イタリアへ来て最初の3年くらいはとても辛かったです。
いじめなどは一切なく、むしろ日本人の私にみんな興味を持ってくれていましたが私が勝手に壁を作ったりしていて、イタリアとイタリア人が大っ嫌いな時期もありました。両親にはなんで私をここに連れて来たの!帰らせて!!とヒステリックに当たったり、一人病んだり。そんな思春期を過ごしました。

それがだんだんイタリア語でコミュニケーションを取れるようになり、ミラノの生活に慣れてくると今度は「日本人らしくいるってなんかダサいな」と思うようになり、もうこのままイタリアでイタリア人みたいに生きていこうと思うようになりました。アジア人として下に見られたくなかったので態度もどんどんデカくなっていき、一時帰国の日本滞在中でも「敬語?わかんない。」というスタイルでティーンの私は完成しかけていました。やばめのイタリアかぶれ。

そんなふざけた私に喝を入れる出来事になったのが8年前の今日起きた東日本大震災。私は高校最後の年を過ごしていました。(イタリアは高校5年制で...)
両親に「日本で大変なことが起きている...」と言われ家族でネットの生配信を見ていました。最初はそこまでひどいと思わなかったのですが次の日の朝、被害がかなり拡大していることを知りゾッとしたのを覚えています。

日本中の人たちが大変な思いをしている中、私は遠いミラノにいるし、祈るくらいしかできない。私に一体何ができるのか。と考えていました。

最初はニュースを見ては泣いてばかりいましたが、冷静を取り戻した時には、学校で募金を呼びかけよう、と思い立っていて。私は学校で唯一の日本人なのだから今の悲惨な母国の状態をしっかり私の口からイタリア人へ伝えなくては、とどこからか湧いてきた謎の使命感に駆り立てられました。

そこから理事長に相談し、学校全体にむけての私からの義援金を募る手紙を配布してもらうことに。私の学校はとても小さな学校だったのですがチャリティー活動にも積極的なミッションスクールだったのでいざ募金が始まるとたくさんのお金が集まりました。周りの友達にも保護者の方達にも「あいか元気出して!あなたのすごい国だから大丈夫よ!」と暖かい声もたくさんかけてもらいました。

その時から私の意識はがらりと変わったような気がします。私の周りのほとんどのイタリア人にとって私は唯一の日本人なのだから自分の振る舞い次第で日本のイメージって変わるんだ、私はこの人たちにとって日本人代表なんだ。という意識(図々しさ?)を持つようになっていました。

震災後は、日本の文化にも興味を持つようになり、自然と将来は日本とイタリアをつなぐ仕事をしたいと考えるようになっていて。

震災がなかったら今のような仕事をしていたのか、と時々考えます。
震災から立ち上がろうとする日本を見て、日本って強くてかっこいい国なんだな、と思い、私も海外に住む日本人として私にしかできないことを日本のためにしたいなあ、と心を大きく動かされたんです。

3.11は多くの人の命を奪った惨劇でしたが私にとっては母国と改めて向き合うきっかけ、ターニングポイントでもありました。
世界中の人の感情が揺れ動いた日、私だけでなく多くの人たちに良くも悪くも人生に変化をもたらしたと思います。この日を思い出すといつも身体に力が入り目頭が熱くなってしまいますが、それと同時に亡くなった方達の分まで頑張ろう、日本よもっともっと元気になれ、と思います。

そして今の私

日本には素晴らしいものがたくさんあります。その中でたまたま私が着目したのが着物でした。

イタリアで10年以上過ごした中で色々なことを経験し、葛藤した中で私がなりたいのは「イタリアと日本の良いところを併せ持った人」という非常にシンプルな答えに行き着きました。その象徴が私が今運営している”renacnatta”(レナクナッタ)です。

3.11は大きな大きな負の出来事だったからこそ、それを乗り越えた私たち、日本人一人一人はその負のパワーを風化させるのではなく少しでもプラスに、新しい形に変換させていくべきなのではないかと思います。

イタリアの学校全体に募金を呼びかけたことは当時の私にとっては大きなことでしたが、それをきっかけで私のマインドはだいぶ変わりました。自分の立場でできること、それが些細なことだったとしても、長く続けていきたいなと改めて思います。


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