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行動を変えるプロダクトをつくるには  ~ 『行動を変えるデザイン』を読む


※この記事は「『行動を変えるデザイン』を読む」マガジンの一部です。

こんにちは。『行動を変えるデザイン』翻訳チームの相島です。今回は行動変容デザインのプロセスについて紹介します。

行動変容デザインのプロセス

『行動を変えるデザイン』で紹介されている行動変容のデザインプロセスは、理解・探索・デザイン・改善の4つのフェーズで進んでいきます。

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理解する

まず、行動をとるための、基本的な心理の理解につとめます。

そう、心の働きって、わたしたち自身、自分のことがよくわかっていませんし、学術の分野でも、まだまだ解明できていないことが多いのです。

わたし自身、本書を読んでから、いかに自分の考えが、周辺からの刺激やインプットの影響を強く受けているのかを意識するようになりました。

心理の研究はどんどんアップデートされていきます。わかったつもりになっていると、何かを見落としているのが、わたしたちの思考の常です。

行動変容デザインのプロセスは、いかに心の働きが制限されたものなのか、ということについて、丁寧に知ることからはじまります。

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ここでは、CREATEアクションファネル、という行動の前提条件を理解するフレームワークがでてきます。

なぜ「まず理解」が大事なのか
基本的なデザインプロセスでは、あまり専門知識や科学知識にまでふみこむことがありません。しかし、いかにプロセスが優れていても、事象の理解が浅かったり、通り一遍では、「それはそうだよね」ということしか導き出されません。計算機科学でいわれる、ガベージインガベージアウト(「ゴミを入れたらゴミが出てくる」)を避けるには、基礎知識が大事だと思います。

この内容についてはこちらで扱っています。

探索する

基本的な心理については「理解」で考えましたが、その次は、どんな行動を扱うのか。つまり、具体的な対象の定義を研ぎ澄ませます

・ターゲットアクター:だれが
・ターゲットアクション(行動):なにをすると
・ターゲットアウトカム(成果):どうなるのか

対象をきちんと決めておくことで、イシューを特定でき、この先のデザインがブレません。ビジネス分野の人は、KPI(Key Performance Indicator)として捉えるとわかりやすいと思います。

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プロダクトがどのようなビジョンに基づき、成果と行動を設定しているのか、様々な事例を交え、本書では紹介されています。

この内容についてはこちらで扱っています。

デザインする


いよいよ実際にプロダクトをつくります。つくるといっても、まずは、行動を変えるシナリオをつくります(行動戦略)。これをビヘイビアプランと読んでいます。

その次に、具体的にデザインパターンを選び、インターフェースを決めていきます(行動戦術)。ここでも、先ほどのCREATEアクションファネルや、心理に働きかけるテクニックが大活躍します。

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こちらは、先程のCREATEアクションファネルに対応する行動戦術を整理したものです。

行動戦略についてはこちら、行動戦術についてはこちらで扱っています。

改善する


定量的なテストや効果測定と、定性アプローチを組み合わせます。いわゆるアンケート調査はあまり歓迎していません。

いわゆるデザイン系の本だと、意外と疎かになるのが、定量的な効果測定やテストの方法です。開発分野の人にはなじみ深いところです。
とはいえ、扱う行動の中には、プロダクト内で発生しないものがあり、プロダクトのログを追うだけでは直接計測できない場合があります。そんな、実世界の効果測定もあわせて考えていきます。

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こちらは、プロダクト内と実世界のできごとの因果関係を整理するための因果マップという手法です。

改善については、こちらで扱っています。

このように、多様なフレームワークを用いながら、行動変容デザインを進め、プロダクトやサービスを生み出し、継続的に改善していきます。

次回からは、これらプロセスの各ステップについて、紹介してきますので、お楽しみに!

書籍紹介ページ:

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発展:他のプロセスと比較する

デザイン分野の方は、発散収束を交互に繰り返す、英国デザインカウンシルが提唱したダブルダイヤモンドのモデルをイメージしていただくとわかりやすいかと思います。

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ダブルダイヤモンドでは、理解がDiscover、探索がDefine、デザインがDevelopment、改善がDeliverとして表現されています(微妙にずれるところもありますが)。心の働きを発散的に棚卸しし、行動のターゲットを決めて収束し、再びデザインの内容をアイディエーションし、成果を測定して次のプロセスへと繋げます。行動変容デザインのそれぞれのフェーズの中にも、細かく発散と収束が内包されているので、フラクタル構造を拡大縮小しているようなイメージで取り組むと良いかもしれません。同様に、デザインスプリントにも共通するエッセンスがあります。


行動変容デザインのプロセス図は、『行動を変えるデザイン』p.24から引用。プロダクトのターゲットの表は、同p.159から引用。行動戦術の一覧は、同p.262から引用。因果マップは、同p.332から引用。ダブルダイヤモンドは、英国デザインカウンシル Feature
What is the framework for innovation? Design Council's evolved Double Diamond
からの引用です。




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『行動を変えるデザイン』( https://designing-for-behavior-change.jp/ )を訳しました。SUUMOリサーチセンター研究員( https://www.suumo-research.com/ )。

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『行動を変えるデザイン 心理学と行動経済学をプロダクトデザインに活用する』(オライリー・ジャパン、2020年)という本は「行動変容デザイン」についての書籍です。行動を変えたいと思う人を手伝うプロダクトやサービスをつくるための本です。 翻訳者が行動変容デザインに興味を持ってくださったみなさんへ、『行動を変えるデザイン』という本のエッセンスを紹介していきます。 書籍紹介ページ: http://designing-for-behavior-change.jp/

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