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ステルス値上げ対抗宣言:消費者の権利を守るためのアクション

 世の中には、自分の権利だけを盛んに主張する人がいます。一方で、スタバで『サステナぶって』意識高い系を気取って『エシカル消費』を声高に叫ぶ人々は、逆に消費者に倫理的消費の義務だけを押し付けていると言えるでしょう。

 このような人々は、法や秩序の基本的な仕組みが、権利と義務が対となって成り立つ概念であることを理解する必要があります。そこで本稿では、消費者の権利と義務という基本的な概念から説明していきます。

消費者の権利と義務

 消費者の権利と義務の概念は、20世紀にかけて消費者保護運動や政府の規制強化の中で発展してきました。この概念の提唱者の一人として重要なのは、アメリカ合衆国の第35代大統領であるジョン・F・ケネディ(JFK)です。JFKは1962年に『消費者の権利』を明確に提唱し、それが現代の消費者保護運動の基礎となりました。

1.JFKの『消費者の権利』宣言(1962年)
 
1962年3月15日、JFKはアメリカ議会での演説において、初めて『消費者の権利』について明確に言及しました。この演説では、次の4つの基本的な消費者の権利を提唱しました。

1.1. 安全を求める権利
 消費者は危険な商品やサービスから保護される権利を持つべきだとしました。製品が消費者の健康や安全を損なうものであってはならない、という基本的な考えです。

1.2. 情報を得る権利
 消費者は商品やサービスに関する正確で完全な情報を受け取る権利を持つべきだと提唱しました。これには、商品の品質、リスク、使用方法などに関する情報が含まれます。

1.3. 選択の権利
 
消費者は公正な競争が行われる市場で、複数の選択肢から自由に商品やサービスを選ぶ権利を持つべきだと述べました。市場独占や不正競争がないことが、この権利を守るために必要です。

1.4. 意見を聞いてもらう権利
 消費者は政府や企業に対して苦情を申し立て、意見を反映させる権利を持つべきだとしました。この権利は、消費者が社会的に声を上げられる環境を求めるものであり、消費者保護政策の策定に反映されるべきという考えです。

 この演説は消費者の基本的な権利を国際的に認知させる大きな契機となり、これ以降、消費者保護に関する政策や法律が各国で整備されるようになりました。

2.その後の消費者権利の発展
 JFKの提唱以降、消費者権利の概念は世界的に広がり、さらに多くの権利が認識されるようになりました。特に国際消費者機構(CI: Consumers International)が1970年代から中心的な役割を果たし、1985年には国際連合(UN)が『国連消費者保護ガイドライン』を策定し、消費者権利を国際的に認めました。これにより、以下のような権利が新たに加えられました。

2.1. 教育を受ける権利
 
消費者は自分が取引する商品やサービスについて学び、より良い選択をするための教育を受ける権利を持つとされています。

2.2. 補償を受ける権利
 消費者が不良品を購入した場合、返品や返金、修理といった適切な補償を受ける権利が追加されました。

2.3. 健全な環境で生活する権利
 
消費者は安全で健康的な環境で暮らす権利を持つとされ、企業が環境に負担をかけない持続可能な方法で商品やサービスを提供することが求められます。

 これらの権利は、現在の多くの国で消費者保護法や規制の枠組みとして取り入れられ、法的に保障されています。

3.消費者の義務の拡張
 
消費者の権利が拡大する一方で、消費者の義務や責任も強調されるようになりました。消費者保護が進む中で、消費者自身にも市場における合理的かつ責任ある行動が求められるようになりました。以下の義務が消費者に対して期待されるようになりました。

3.1. 責任ある選択を行う義務
 
消費者は、正確な情報をもとに商品やサービスを選ぶ責任を負います。これは、過度な消費や無駄な消費を避けるという意味でも重要です。

3.2. 製品やサービスを適切に使用する義務
 
消費者は誤った使い方によって発生する問題や事故を避けるために、製品やサービスを適切に使用し、説明書や注意事項を守る義務を負っています。

3.3. 社会的・環境的影響を考慮する義務
 
消費者は自分の消費行動が社会や環境に与える影響を考慮する責任を持ちます。これはエシカル消費や持続可能な消費の考え方に基づいており、消費者の選択が地球環境や他者に与える影響を意識する必要があるという考えです。

4.現代における消費者権利と義務の状況
 
21世紀に入り、消費者の権利と義務は、技術の進化やグローバル化に伴ってさらに複雑化しています。オンライン・ショッピングの普及により、個人情報保護の権利が重要視されるようになり、また、企業の透明性に対する要求も高まっています。同時に、消費者には情報リテラシーを高め、商品やサービスのリスクや選択の責任を適切に果たす義務が求められます。

 さらに、気候変動や環境問題に対する関心の高まりにより、消費者の倫理的(エシカル)消費や持続可能な消費への責任が拡大しており、消費者自身が社会的・環境的な影響を考慮することが強調されています。

結論
 
JFKによる『消費者の権利』の提唱をきっかけに、消費者保護は世界中で進展しました。消費者は、商品やサービスを安全かつ適切に利用できる権利を持つと同時に、その消費行動に責任を持つ義務も負っています。現代では、これに加えて、環境や社会に対する配慮を伴う消費が求められており、消費者の役割はさらに重要なものとなっています。

武智倫太郎

マガジン発行のお知らせ

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12.海外のステルス値上げ事例と対策
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編集長 武智倫太郎

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