現実と夢の狭間で。起業を選んだ36歳の挑戦
Aidemy Premiumの自然言語処理講座を受講し、卒業翌々月に起業した山本さんにインタビューを行いました。現在のキャリアと「本当にやりたいこと」とのギャップを抱えながら、AIをゼロから学び、起業という選択をした山本さん。その強い決意とその背景に迫りま す。
Aidemy Premium受講前はどんなお仕事をされていたんですか?
受講前は医療コンサルをしていました。医療コンサルにもいくつか種類がありますが、私がやっていたのは現場密着型で、経営コンサルに加えて現場実務もするというような仕事です。
例えば、マイナンバーカードの健康保険証利用などの新しい仕組みが始まったときに、病院の会計システムを変更したり、実際に会計を担当する医療事務員さんにわかりやすく診療報酬について説明したり、そういったことをしていました。
あとは病院整備への助言や、経営観点の助言、助言した取り組みを実際にどう進めていくかを病院側と一緒に検討していくようなこともしていました。コンサルとはいいますが、実際の仕事は地道な感じですよ、本当に。
大変なお仕事なんですね。そこから、どうしてAidemy Premiumを受講されるに至ったんですか?
もともとテクノロジー関係にすごい興味があったっていうのが一番大きいです。
それに加えて、医療業界ってすごいアナログなんですよ。いまだにファックスを使わないといけないケースがあったり、紙であれこれしないといけない世界なんですよね。そんな世界にいて、テクノロジーに興味がある僕としては、もっと効率的にできるんじゃないかなと思いながら、もんもんとした日々を過ごしていました。
でも、具体的にどうやって仕組みを作っていけばいいのかまでは分からなかった。だからその方法を勉強したい、と思ったのが受講のきっかけですね。
そこからご自身で勉強されるに至ったのは、すごいモチベーションですね。
そうですね。医療業界って今でも比較的残業が多い業界だと思うんです。みんなずっと忙しそうにしている。効率化できるところはもっと効率化して楽にしたほうが、仕事の質も上がるのになぁとはずっと思っていました。
本当はみんなにもっと楽しく仕事してほしいと思っていて。でも、忙しいとやっぱりみんなピリピリしちゃって、喧嘩が起こったり、患者さんに対する態度も良くなくなったりしてしまう。心の余裕って必要だと思うんですよ、僕は。
みんな本来は患者さんのために職に就いたはずなんです。仕事が効率的になって、心の余裕が生まれてくれば、仕事の質も上がってくるのかなと考えています。
山本さんの中では業務を効率化することがキーワードになっているんですね。
業務効率化はずっと自分の中でのキーワードだったんです。そして、もともと起業したいという思いもありました。それで起業するなら、やっぱりテクノロジーだろうと考えて、その中でもAIに注目しました。
テクノロジー業界を調べていく中で、決まったシステムプログラムで組まれたもの、たとえば「この質問にはこう回答する」「この入力にはこう処理が起こる」という仕組みも大切だとは思うんですが、その先にはやはりAIのように、人の知能を拡張する技術が必要になるだろうと感じました。そう思って、AIを勉強してみようと決めたんです。
起業したいと思ったのはどのタイミングだったんでしょうか?
起業したいと思ったのは、社会人1年目のときです。ただ、その頃はまだ思いがそれほど強くなくて、「できたらいいな」というくらいの気持ちでした。
どうして起業したいって思うようになったんですか?
なんて言ったらいいんでしょう...。ワクワクしたいから。自分で仕事を作って、自分でしたいように進められて、それで結果的には人生楽しめるんじゃないかと思っていたので、そんな考えから起業したいと思うようになりました。
前職では、先輩が経営する会社でお世話になり、大変な側面も十分に理解していましたが、それでも起業したいという気持ちが勝っていました。就職する前から、自分で決めること、自分で何かを作ること、そういったことが自分の性に合っているというか、ワクワクするなとは思っていました。起業すれば、そういった自分のワクワクすることに時間を使えるかなと就職して以降もぼんやり感じていたんです。
医療コンサルのお仕事に不満があって、というような流れではないんですね。
そうですね。
医療コンサルの仕事がやりたくないからっていうよりも、自分が興味を持っているもので仕事を進めていきたいという思いの方が強かったんです。
それで、年齢が今36歳なんですが、40歳に近づいてくるとどんどん体力がなくなっていくって言いますよね。実際に今も30代前半に比べると、かなり体力がなくなってきたなという実感があって、そういった焦りがずっと募ってきて、今しかない!ってパッと思ったんです。
でもそれで一歩踏み出せたっていうのは、かなりの決断があったんじゃないですか?
周りからもよく言われますね。「よく踏み切ったね」って。でも僕の場合は、こ のままモヤモヤしたまま70歳になって、老後の生活に入っていく方が、むしろ恐ろしかったんですよ。
そういう性分なんですね。Aidemy Premiumで受講されたのは自然言語処理講座でした ね。どうして自然言語処理を学ぼうと思ったんですか?
講座選びは結構迷いましたね。自然言語処理講座とAIアプリ開発講座が選択肢にあって、最初は起業を見据えてプロダクトを作るなら、どっちがいいのかなと考えていました。順当に考えれば、AIアプリ開発講座を選ぶところなんですが、ちょうどその時、ChatGPTがすごく盛り上がっていたので迷ったんですよね。
最終的には、今まさに注目されている技術であるChatGPTの仕組みを学んでおきたいと思って、自然言語処理講座に決めました。アプリに関しては、本がたくさんあって独学でも学べるかなと思って、理解しづらいだろうなと思った自然言語処理をスクールで学ぶことにしました。
受講中に楽しかったことや大変だったことはありますか?
課題をひとつひとつクリアしていくのは楽しかったですね。「これが終わった、次にこれも終わった」という感じで、少しずつでも進んでいく感覚がありました。その達成感が楽しさに繋がっていたんだと思います。
大変だったことは、やっぱりプログラミング未経験だったので、教材を読んでも最初は何を言っているのか全然分からなくて。分からないから何度も繰り返し読んで、それでも理解するのが本当に大変でした。単元ごとに章末の振り返り課題があるじゃないですか。「全然意味が分からない!」みたいなこともあって、それはしんどかったですね。
プログラミング未経験の方からしたら、かなりしんどい体験をされてきたんじゃないかと思います。
そうなんですよ、説明してくれている日本語も「わかんないよ!」って感じでした(笑)。
でも、今となっては基礎がしっかり理解できたからこそ、新しい知識を得るときに「ああ、そういうことなんだろうな」っていうふうに、理解がスムーズになったと思います。
それだけしんどくてもやりきれたモチベーションは何だったんでしょう?
やっぱり、起業に対するモチベーションが大きかったですね。正直、起業っていう目標がなかったら、途中で辞めていたかもしれません。
受講中も仕事を続けていて、朝仕事が始まる前や、夜仕事が終わった後に勉強していました。確かに大変だったんですが、「やめようかな」って考えすら浮かばなかったんです。起業するって決めていましたから。
受講後はどうされているんですか?
Aidemy Premiumを受講していたのは、ちょうど仕事の引き継ぎ期間中だったんです。無事に引き継ぎも終わり、Aidemy Premiumを修了した翌々月には法人を設立しました。
受講期間中にチャットボットを作りたいと思い、Aidemy Premiumのチューターさんにもいろいろと知識を提供していただきました。それが、現在の会社のプロダクトの1つになっています。
一番最初は、チャットボットについていろいろ調べていて、社内規定やマニュアルに関する社内の問い合わせに対応するチャットボットを作ろうと考えていました。そこに医療コンサルの現場で感じた課題感をかけ合わせたんです。
医療コンサルの現場で扱う資料って、1つの資料で1,000ページとかのもあるんですよ。それをAIに読み込ませて、AIが質問に回答してくれたら、めちゃくちゃ楽になるなって思ったんです。
ただ、法律や規則に関する日本語って、かなり独特な言い回しが多くて、AIが理解するのに苦労しているらしくて。まだ性能的には改善途中という感じです。ただ、マニュアルや就業規則くらいであれば、実用できる精度で回答してくれるので、この路線で開発を進めていこうと考えています。
次の目標は何か決めてらっしゃるんですか?
一番の目標は、「AIってこんなに便利なんですよ」っていうことを、もっと多くの人に知ってもらうことです。そのために、AIを使ったプロダクトを作り、多くの方に使ってもらうことが目標です。
短期的には、まず3年で会社として事業を成り立たせるところまで持っていくというのが、今の目標ですね。
Aidemy Premium卒業生として頑張る山本さんを応援しています!本日はありがとうございました!
ありがとうございました!