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b8taのマーケティングトレース

b8ta(ベータ)はシリコンバレーで生まれたRaaS領域のベンチャー企業。ショールーム型店舗で最新のIoT、ハードウェア製品を展示・販売している。

私が住むエリアにも店舗があり、ふらりと入った事がある。スタイリッシュな店内に並ぶのは、電動歯ブラシ、自動で絵が変わるスマートアートフレーム、リモコン付きスケボーなど。最初は何屋さんかも分からなかったが、入ってみた第一印象は、

・見たことないものが沢山。誰かに話したくなる。
・一見使い方が分からないものもあり、触ってみたくなる。

そんな感じ。最初からどこか気になる存在だった。そんなb8taがこの夏日本に進出するらしい。ますます気になったのでマーケティングトレース題材に選んでみた。

その前に…最近よく聞く〇aaSって何?

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RaaSとか、SaaSとか、最近よく聞く〇aaS というワード。恥ずかしながら…私はそもそもこれをイマイチ理解できていない。まずはそこから。

〇aaS = 〇 as a Service = ”サービスとしての〇”

商品を製造・販売するメーカーと顧客の関係性を例にすると、従来の「顧客が対価を払うのは商品自体」というモデルに対し、"as a Service"は「顧客が対価を払うのは商品の価値・サービス」というモデルになる。すなわち、

顧客に商品は利用してもらうけど、所有権自体はメーカー側が持ったまま

この説明が理解しやすかった。例えば複合機。販売するのではなく、月額リース契約でメンテナンスを継続していくのも as a Serviceモデルだ。調べると〇aaSという言葉は山ほどあった。。キリがないので今回は割愛。

b8taの概要

b8ta企業概要

b8taは約4年半前創業、Retail as a Service(サービスとしての小売)のパイオニアともいえる存在。非上場のため売上などは確認できなかったが、着々と店舗を増やし展開を広げている。

RaaS事業としてのサービス内容は、メーカー側に月額定額料金で、
・ショールーム内の展示区画
・販売スタッフの配置
・来店客データからの分析フィードバック
これらをセットにして、提供するというもの。

顧客に販売することが最終ゴールではなく、いかに顧客に製品を体験をしてもらうかがミッションの事業のため、商品が売れなくてもマネタイズできる仕組みにしているのが大きな特徴。

コメント 2020-05-11 105012

小売業者の中にも買い物客の行動を追跡している企業はあるが、b8taは店内の天井に設置したカメラや商品紹介をするタブレットから買い物客の行動データ、製品を体験した時のフィードバックなどのデータを企業側に提供してマネタイズしている。

私も実際に店頭でタブレット端末を触って商品を見たりしていたが、何秒滞在しているか、まさかその行動内容がメーカー側にフィードバックされているとは驚きだった。

成長要因をマーケティングトレースシートを使って分析

b8taマーケティングトレース

今回もトレースシートを使って分析をしてみたが、BtoBの部分は不慣れで情報を整理するのに苦労した。私の業務経験がBtoC領域のため視点がそちら寄りになってしまうが、以下、私なりに分析した内容をまとめる。

成長要因①D2C企業が成長する中でいち早くRaaS事業を展開

まずは目の付け所の良さ。D2C企業は店舗をもたない状態からのスタートとしていて、体験の場を作りたくても、独自店舗を持つには大きな投資が必要で初期段階では難しい。一方で顧客ニーズとしても、インターネットで何でも買えるようになったとしても「買う前に実物を触ってみたい」「体験してみたい」という気持ちは消えない。

この2つのニーズを繋ぐというところが素晴らしいなと感じた。オンライン情報を分析して企業活動をしているD2C企業にとってオフラインでの顧客反応やデータは絶対に欲しいと思う。時流に乗ったビジネスモデルであるなと感じる。

成長要因②販売員の教育への十分な投資

私が気になったのは販売員の教育をどのようにしているのか。顧客体験を重視するとなると現場の教育が重要だと思うが、異なるメーカーの商品を複数扱うb8taは大変なのではと想像していた。

具体的な教育ノウハウなどに触れた記事は見つけられなかったが、販売員の教育について記事があった。これによると、教育についてはブランド側に参加してもらい、対面でデバイスの使用方法やデバイスについて直接説明をしてもらうトレーニングを毎月集中的に行っているそうだ。b8taのビジネスモデル解説の記事でも社長のRaub氏が「販売員のトレーニングに多額の投資をしている」と答えている。

販売員の高い質を保つために十分な教育を取っていること、またその為の投資に力を入れていることが成長の大きなカギになっていると感じる。

私がCMOだったら?

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・顧客同志の繋がりを生むコミュニティづくりを強化したい
b8taに行くとイノベーティブな商品が多く、人と被りづらいという意味で誰かへの贈り物にしたいものもあった。購入者と実際の商品利用者が異なるケースの情報収集ができるようなコミュニティがあると企業側に提供できるデータにも幅がでそう。

・(BtoCとしての)優良顧客への特別対応を強化したい
狙いとしては情報拡散と、未来の従業員確保。b8taに足繁く通う優良顧客は新しい物好きで情報感度も高く、周りの人への影響度も高い人だと想像できる。そんな方々限定で、店頭に並ぶより先に情報を開示したり、先行して製品紹介イベントを開くなどして熱狂的なb8taファンを作りたい。

またb8taの成長の鍵になってくるのは販売員の質だと思う。いかにイノベーティブな商品を愛して人に勧められるか。熱狂的なb8taファンを作る活動で、未来の従業員確保にも繋げたい。

まとめ

米国内で小売業や百貨店が下火になっている中で、新しいリテール業態を生み出したb8ta。今後小売業にとっては、店頭で「物を買う」以外にどんな新しい価値を付けられるかが成長のキーとなるのだと感じた。

ただ、アメリカ国内で言えば「返品・返金」のハードルが日本と比べると異様に低いので「試せる」だけでは価値はない気がする。「楽しみ」「参加」などのエンターテイメント性が重要だとも思う。

今回調べるまでb8taがBtoB事業としてどのようなサービスを提供しているか知らなかったのでとても勉強になった。BtoB事業の部分は、正直少し自信がない部分もある。もしこれを読んでくださっている方でお気づきの点があれば、視点などぜひアドバイスいただけると嬉しい。

おまけ

トップ画像は昨年b8taの店舗へ行った時に取った写真。「このお店気になる。覚えておこう…」と帰り際にメモ用に撮ったので入口のドアの写真しかなかった。現在は外出制限の影響でどの店舗も一時休業中だが、再開したらまた訪ねたい。

ちなみに一番気になっているのはこの商品。

iPadなどタブレット端末を繋げて使いたいタイプライター型のキーボード。キーを打つ感触はまさにタイプライター。不思議と重さが心地いいし、通常のキーボードのカタカタという音とはまた違う良さがある。見た目も可愛いのだけど、感触や音を確かめると一層欲しくなった。購入するかは悩み中。

この夏、きっと日本でもワクワクを届けてくれるだろうと思う。反響を見るのが今から楽しみ。今後は日本での動きもチェックしていきたい。

参考情報:引用元、参考書籍

参考書籍


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フリーランス。米スキンケアブランドのWeb事業支援をしています。

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コメント (2)
Aikoさん、b8taの北川と申します。大変わかりやすくまとめて頂きありがとうございます! noteでコメントできる機能があるのを知らず、お礼が遅くなってしまいました。

To B 事業については、まとめて頂いた通り、オフラインのタッチポイントを月額定額料金で増やすことで、B側の様々手間とリスクを請け負うことと、店内行動データの提供です。出品頂く各社の中でも、既にオフラインの販路を多く持っている方もいらっしゃいます。そういう方には、さらに出店する理由を問われますが、自社商品に興味を持っていない方へのリーチも可能とご説明しています。自社店舗を構えていても、百貨店や量販店に出店していても、そのブランドやカテゴリーに興味を持っていなければ、新しい層へのリーチは難しい課題です。なぜなら、そもそも足を運ばないからです。もちろんb8taにも同様な課題はあるのですが、嗜好性で言及頂いた層へのリーチは確率的に高くできそうです。

b8taの今後のビジネスモデルとして、店舗で使っている行動分析のソフトウェアを販売する構想もあります。そうするとSaaSよりに進化する可能性はありそうです。
北川さん、初めまして。Aikoと申します。読んで頂けだけでも嬉しいのに、コメントまでくださり…感激しております。

既にオフラインの販路を持っている企業も顧客になり得る事、自分の頭から抜けていましたのでとても勉強になりました。今後のビジネスモデルの構想も大変興味深いです。RaaSのサービスを利用後、SaaSのサービスで継続利用できる選択肢があるのはとても魅力的ですね。既に自社店舗を持っている企業も利用検討される気がします。詳細に教えて下さり、誠にありがとうございます。

b8taでの「発見」体験には、元気を貰えます。ファンの一人として日本での展開、引き続き応援しております。お忙しい中ありがとうございました!^^
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