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相棒3 第7話「夢を喰う女」感想

『相棒』唯一の欠番回
S17「バクハン」の"シャブ山シャブ子"問題で一部カットとは訳が違う完全お蔵入りの回。

お蔵入りした原因は
特命係が図書館で司書に依頼して被害者への貸出履歴を見せてもらった場面に図書館関係者から厳重抗議が行われたと言うもの。
まぁ特命係は令状なく捜査してる訳だから妥当と言えば妥当なんだけど、こういったフィクションに対して過度に批判するのは不粋で嫌い。
思えば以降『相棒』で図書館のシーンは殆ど無い気がする

正直図書館の場面よりも、自首マニア知念の統合失調症もしくは知的障害者描写の方がよっぽどヤバい。

私は叔父が亀山期の『相棒』が好きで、この作品はビデオ録画したものを譲って頂きました。
ただ画像は正直に言うとネットで拾ってますのでお許しを頂けますと幸いです。

【あらすじ】

一流企業常務の刺殺体が発見された。
近くには表紙と中身が真っ白な本が捨てられているなど、先の大蔵事務次官殺しと状況がよく似ていおり、同一犯による連続殺人の可能性もある。
右京は鑑識の米沢からこっそり被害者2人の所持品リストを入手し、同じ図書館を利用していた事を突き止める。
特命係は司書のめぐみから2人が自伝を書こうとしていたことを知らされる。
まためぐみは大手商社の元常務・清水の自伝も書こうとしていた。

脚本:砂本量
監督:長谷部安春

【ゲスト】

辻村めぐみ(演:高岡早紀)

今回の黒幕
図書館の司書として勤務しながら、定年退職者から自発的にお金を差し出され続ける魔性の女。
誰も殺しておらず罪にも問えないという恐ろしさを天性の色気で完璧に表現していた。
高岡さんはS14「ラストケース」では冠城の元カノとして別役再出演。
冠城爆発しろ

清水直久(演:浜田晃さん)

今回の被害者
特命係に注意喚起されてもなおメグミに騙され金を渡す哀れな老人。
右京との会話的に良い人っぽいので哀れさに拍車がかかってる。
個人的には『仮面ライダービルド』の難波会長のイメージが強い。

【感想】

《自伝》

[辻村めぐみ]
人の人生って1冊の本と同じだと思いませんか?
1つとして同じ本が無いように同じ人生はありません
それって凄い事でしょ?

相棒3「夢を喰う女」より

図書館司書のメグミは富裕層老人達に自伝を書くと持ちかけ天性の魔性で懐に入り大金を貰う事を繰り返す。
被害者の1人である大滝は他被害者に嫉妬し、2名を殺害した。

まずメグミの持論は理解できる。
本を読んでいる間は時間も空間も飛び越えて様々人に会えて様々な場所へ行ける
中学高校で図書室に入り浸っていたマンなので、小説の素晴らしさは心から理解できる。
無論昨今の電子書籍への流れは仕方ないとは思いつつも味気ないと思うし、でもそうしなきゃ本が読まれないってのも寂しいし、そう思う読書家も多い。

自伝についても、エッセイ本とかも好きだし曽祖父が葬儀の際に出してたものを読んだが面白かった。
米沢さんの言う通り、劇的な人生じゃなくても内容豊かな自伝であれば楽しめる事が出来る。

しかしメグミは本を金稼ぎの道具としてしか見ていない。
自宅に本はあるが、読んでるシーンすらない。
そして当然依頼された自伝も書かない。
老人の自慢話だから書く気が起こらないのは気持ちとして理解できるが、それでもプロが構成すればある程度は読める本になるはず。
何より対価として金を貰ってるわけなのに、仕事をしないのは確定で詐欺。

空っぽな自分を本で埋めるとは言うが、間違いなく金で埋めようとしていた。

[杉下右京]
最も邪悪な人間もまた、天使の表情をしているらしいですよ

相棒3「夢を喰う女」より

でもメグミが恐ろしいのは被害者側が騙されている事にも気が付かない事。
いや本当に高岡早紀さんの妖艶さが凄まじいんよ…。
それでいて痩せてるのに推定Gカップ以上と言われる程の胸もあるという凄まじさ…。
執筆時の51歳ですら美しいのに、当時は30代前半と考えるとリアルで会ったらマジでベタ惚れ待った無しよ。
清水に大滝に最後の男に殺された2名、おまけに同僚司書と
今回だけで7名の男を虜にしていた。

怖いのは俺みたいな視聴者も含めて
「とはいえいつか自伝書いてくれるでしょ」と信じたくなってしまう事。
会った時にこれでもかと優しくしてくれて逃げも隠れもしてないんだし、まだ執筆途中とか時間がかかってだけとか考えてしまう。
そりゃ図書館のアイドルにもなるわ。

連続殺人に走った大滝も自伝執筆の邪魔をしていると思っただけで、メグミに騙されているとは思っていなかった。
というか大滝は毎日図書館へ通ってる筈なのに、メグミ側は意に介さず清水と会ってるのもヤバい。
というか大滝の事を忘れてるまである。

ただ清水は右京にも騙されてるのは問題。
起業して忙しくなった商社社長と偽られ、犬の散歩中に仲良くなって身の上話に自伝の話もペラペラと喋る程に仲良くなっている。
右京が上手いというのもあるが、単純に清水さんが良い人すぎて騙されやす過ぎる。
よくこれで一流企業の役員までなれたもんだよ…
いや、良い人だからこそ役員までなれたのかもしれない。

たまきさんは被害者達は騙されてると分かっていても幸せだったとあるが、1000万以上騙されてると分かってても幸せを感じるのは末期。
俺も風俗とかキャバとかに入れ込まないように気を付けないとな…。

[杉下右京]
いつか貴女自身がこのツケを払わなけばならない時が必ず来ますよ

相棒3「夢を喰う女」より

そんな訳で清水も大滝のように彼女に執着して尾行するという背筋が冷えるラスト。

右京の台詞を踏まえると、最終的にメグミは清水もしくは他の男に殺される事を暗示しているようにも思える。
騙されてる事すら悟られない…
騙されていると気付いても幸せ…
でも彼女が自分を裏切ったと知れば、愛しているから彼女を殺して誰のものにもならないようにすると発想し、殺された気がする。

強いて言えばメグミは惚れさせて執着させる事に関しては天才だが、雛子のような先読みや後に登場する遠峰のように人心掌握に長けている訳でも無い。
天才的な魔性の女だが、あくまで魔性の女止まり
彼女の分水嶺は右京に説教された時で、あそこでしっかり自伝を書き始めていればギリギリ許された。

ただあくまで自分の想像なので、彼女が本当にツケを払ったのかは分からない。
そして欠番にもなったので今後の『相棒』でも永久に分からない。
勿体なさ過ぎる…!!

一応清水の内面を考察する為にランボー詩集を読んでみたが、内容が難しすぎて殆ど理解出来なかった。
こちらは誰か詳しい人に任せます。
でもS7「天才たちの最期」は詩に関しての話だからどっかで勉強しないとな…。

《今回のMVP》

亀山薫

大滝がメグミを見ていた可能性に気付かせた亀山君がMVP
殺害された2名が金を渡していた事を知っていた事から大滝に繋がるのも時間の問題だったと思うが、あと少しでも遅れていたら清水は殺されていた。

次点は芹沢
特命係に捜査資料を見せてくれた事で、大滝が情報提供者だと知る事ができた。
伊丹達にシバかれる事を覚悟しても特命係につきまとまれるのがストレスだったようで諦めの境地に立っていた。
でも君は8年後に後輩相手に自発的に情報を漏らすようになるんやで

【小ネタ&雑感】

•落としの亀山巡査部長笑
•亀山「落とすよ」(可愛い
•俺も話が長い人はマジで苦手
•右京も知念を相手にしたのか笑
•被害者の八尾はタッちゃん生みの親なの!?
•"熱血鑑識官米沢守のドッキリ事件簿"を作るのが夢(『米沢守の事件簿』は映画化
•同じ事を言っちゃう亀山と伊丹
•また詰められる芹沢
•図書館で指定席があるってキモイな
•独立した社長をやる右京さん演技力あるなぁ
•伊丹「特亀!」
•右京さんの半生とか超読みたい
•伊丹と芹沢が第二特命係😆😆
•美和子は一回殴られても良い(もう毎回過ぎて酷い
•最近心が荒んでるのは鹿手袋のせいっぽいがこっちは美和子の所為でイライラする
•家の維持はともかく本の維持はそんなに金かからないでしょ
•右京さんは退職者の気持ちは分からなくてもクビになった人の気持ちは分かるよね
•1000万円渡した場合の贈与税とかどうなるんだろ
•ののちゃん読んでる課長
課長「漫画は人類の財産だよ」
•"花の里"貴重な外観

【次回】

相棒season3 第8話「誘拐協奏曲」感想

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