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「AIスマートウォッチは発作を検知する」|TED Talks

Talk Speaker

Rosalind Picard
メディア・アートと科学の学者であり、MIT(マサチューセッツ工科大学)の教授。MITメディアラボにおける”Affective Computing(感情コンピューティング)”研究グループの設立者であり指導者。"Affectiva"と"Empetica"というスタートアップの共同創業者でもある。2019年、感情コンピューティングとウェアラブルコンピューティングへの貢献を讃えられて、国家工学学術賞を得る。

乳児突然死症候群よりも多い

SUDEP、という言葉を聞いたことがある人はすくないだろう。表題に書いた"乳児突然死症候群”は年間100名以上の乳児を死に至らしめていることで悪名高いが、SUDEPはそれよりも数多くの悲劇をもたらしているという。

SUDEPとは日本語で、「てんかん患者の突然死」。

てんかん患者における突然死のリスクは一般健常人の24倍にものぼると報告されている。そしてSUDEPの発生率はてんかん患者の死因の10%を上回る。SUDEPは「良好な状況にあるてんかん患者さんに起きる、突然の、予期せぬ、外傷や溺水が死因ではない死」と定義されている。
参照:社会福祉法人札幌緑花会

SUDEPのリスクを予防するための手段は一般に言ってふたつだという。

1、医者の処方する薬を適切に服用すること。てんかん患者の3分の2が、薬の服用でうまくいっている。
2、交際をよく行うこと。発作を起こした時にそばに誰かがいることでリスクを妨げることができる。

神経障害に起因する死因としては、寿命につぐ。
しかしそのリスクは、さらなる工夫で下げることができる。

ウェアラブルの臨床応用のはじまり

以下は彼女の身に実際に起こったエピソードである。

彼女がMedia Labで取り組んでいたのは感情の測定だった。
多くのセンサーを取り付けていく中で、「緊張」を測る機能が実装されていったという。史上初の臨床品質データの収集というわけだった。
眠っているときに最大のピークを迎える波があった。
それは記憶と密接に結びつく可能性のある波だった。起きている時以上に、脳は記憶を睡眠中に形成していくと思われている。このようなことが、ウェアラブルだからこそわかったのだ。
そして起床中でも、あらゆる場面に応じた認知的負荷、それに対する精神的関与を調べることができた。学習時の興奮や、教員からのプレッシャーも漏れなく・・・。

学部生の弟の自閉症児にも応用したとき、これまでで最大のピーク(=より強い緊張、認知的負荷)が見られた。
そのピークがあった日時に何があったのか、学部生に訪ねた。

それは、自閉症の弟が、大規模な発作を起こす直前の時間帯だったことがわかった。

AI装置、世へ出る。

やがて学生の親は病院のチーフであることを知った。
機器の安全性と共に研究結果を話すと、九十人の家族が実験に参加してくれることとなった。それにより検知の精度が磨かれていった。

扁桃体という脳の部位がある。
それが発作に深く関わり、一つの因子としてストレスがあることもわかった。ストレスの研究を行い、さらにデバイスは洗練されていく。

結果的に、このデバイスは製品として、彼女が共同創業者を務める”Empatica”によって売り出されることとなったー発作が起こって意識を失った際に助けを求めるアラートを発信する機能を持ってー。神経学で承認された最初のスマートウォッチとしてFDA(アメリカ食品医薬品局)の承認を受けたという。

実際にはSUDEPは20代〜40代でピークになるという。
そして26人に1人がてんかんを持つのに、それを周囲には明かさない。
なぜだろう。ひょっとすると、差別を受けるという懸念があるのかもしれない。

しかしそのようなムードを取り払うことで、ようやく役に立つ良いAIをつくることができるのだ。

今回のケースでは、教授の研究に対して我が弟と引き合わせた兄の功労や、病院のチーフの理解と90人もの患者家族の協力があった。その協力の環が肝要なのだろう。
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