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モロッコの「お母さん」に巡り合う。そして、イスラーム教徒が9割以上の国にいるからこそ思うこと

昨日今日は、モロッコの首都ラバトへ。

大学時代に所属していたゼミで、毎年、アラブ圏で日本語を学んでいる人たちを5人ほど2週間招聘し、一緒に日本語でのフィールドワーク&レポート作成をする…というプログラム(通称ASP)があったのですが、そのプログラムで日本に来ていたモロッコ人の友人たちと再会。


昨日一日、ラバトの各種名所を案内してくれた友人B.Aさんは、今はJICAの関係の仕事で、モロッコの(特に地方の)教育の改善に取り組んでいます。

できることなら、将来は日本でも働きたい、と夢を語ってくれ、一日本人として、そこまで日本のことを想ってもらえることに、こそばゆいけど嬉しい気持ちが湧いてきました。

…と同時に、同じく言語を学んでいた身としては、奮い立たされたぁーー!!ほんとに。
言語は「使える」形になって初めて、本当の意味で「学んだ」って言える気がするから。


もうひとりのA.Aさんは、日本語を勉強したいと思っているモロッコ人のための日本語学校を個人でやっています。

今日は、その学校で、日本語を習いたての高校生〜おじさままで4人と、高校生のお父さん&お母さんとともに、旧市街のスークと周辺を散策。

まだ自己紹介プラスαぐらいの日本語しか学んでいないから、日英アラ仏&ボディーランゲージで(笑)コミュニケーション。内容にしてみたらお子ちゃまみたいなものばかりだけど(「絨毯が大きいですね」とか…)、それでも、お互いに通じ合ったときには、思わず笑顔がこぼれる。この感覚が、言語を学ぶことの楽しさであり、さらに学ぼうと思う1番のモチベーションになると、私自身は思ってる。今日の、共に過ごしたわずかな時間が、そんなキッカケになったらいいなぁ🌸


そして、宿泊させてもらっているA.Aさんのお宅でも、お父さん・お母さんとは、言語でのコミュニケーションは少ししかできてないけど、でも、お父さんはいつも優しい微笑みで見つめてくれるし、お母さんは、アメリカンチェリーをくるくる回転させてから私の口に入れたり(笑)、ナツメヤシの実も種を取ったものを私に渡してくれたり、「ラマダーンでお腹が空いたから、キティ(飼っている猫)を食べちゃおうかしら」みたいに冗談をいっぱい言って…ほんとに茶目っ気たっぷりで、めちゃくちゃキュート💓

ラマダーン(断食)明けのごはん(イフタール)は、家族3人、みんな台所に立って、声を掛け合いながら準備をしていて、手伝おうと覗いたら、お父さんが「座ってなさい」って台所の椅子を差し出してくれた。(私が今日は8時間強ぐらい、完全断食(水も無し)してたから、たぶん、気にかけてくれたんだと思う。)

広いお家だけど、円卓の周りにぎゅっと4人でかたまって、断食を耐えた後の飲食を共にするのは、そのありがたさというか、心への沁み方が違う気がする。

さらに夜にプチお出かけに行った時には、お母さんが私の腕を掴みながら歩いて、「my daughter in Japan」って何度も言ってくれた。言葉だけじゃなくて、帰宅後、シャワーを浴びた後の髪の毛をドライヤー&ブラッシングしてくれた。”お母さん”に髪をとかしてもらうなんて、いつぶりかも分からないぐらい久しぶりだし、母との縁が切れてる私に、そんなことが人生において再び起きるなんて思ってもいなかったから、嬉しすぎて涙を必死にこらえた。

「温かい」っていう言葉では足りないくらい、ほんとに、ほんとに、あったかい。

そんなお母さんがロンドンのテロのニュースを見ながらつぶやいたのは、「こういう事件があると、周りにいるイスラーム教徒の人たちは、きっと大変な思いをしているはず…」という言葉。

だいぶ日本でも、イスラームとテロリズムを分けて考えてくれる人も増えてきた気はするけど…

温かくて、優しくて、ホスピタリティ満点なイスラーム教徒の方々が目の前にいるなかで、しかも、その生きる姿勢や倫理観は宗教に少なからず立脚していることを知っているから、「イスラーム」というものに対して、嫌悪感や忌避感がもたれるのは、本当に悔しくてたまらない。

でも何よりも、テロを起こしている人たちに、「イスラーム」を標榜するのであれば、自分たちの行為がイスラーム教徒を傷つけ、困らせることに、もっと目を向けて欲しい。特に、(私はほんの少ししか学べていないけど)ラマダーンの時期って、普段以上に、自分自身の欲望や倫理観、他者への思いやりや、世界の平和を考える時だと思うから、その時期にこういう事件を起こしたことが、ほんとに腹立たしい。。。

…っていうことを、イスラーム教徒じゃない私が言うのは、御門違いって言う人もいるだろうけど、でも、イスラーム教徒じゃない私が言うからこそ、伝えられることもあるんじゃないかと思って、長いけど、具体的な話も含めて、綴ってみる。

とりとめないけど💦
とにもかくにも、私にとっては、「イスラーム教徒」も、日本人とかモロッコ人とか、男性とか女性とか、そういう、人の「アイデンティティ」というか、構成要素の一つに感じているから、そのラベルだけで一括りに語られることが、どうか減っていくことを願って…🍀

そして今回のテロで亡くなった方々の冥福を祈って…。
モロッコの旅も、もう折り返し地点。

(2017.6.4)

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