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【その感受性を手放したら終わりだ】

自信なんてそう簡単につかない。だって寂しい。何歳になっても。順風満帆な生活に漂っても、空き缶につまずくみたいな些細なことで、ぽきっと気持ちが折れたりする。

今のわたしはまるまるとしたこころを持っている。やっとこの形まで戻ってきた。今から必死で磨いていれば、みるみるうちに艶が出て、昔みたいに自信がついていくはず。

……なんて風には思えなかった。もう、せっかく形を元に戻したんだから、磨くなんて行為で人の目に触れることはせず、四角くて丈夫な箱に仕舞っておきたい。その方がいい。そうすれば自信なんて一生つかないけど、誰かにまた蹴飛ばされることもない。

他人に触らせてたまるかよ、と叫ぶ私は昔と何も変わっていない。

話の最後に、「なんていうか、悩みが若いね」と言われたのは3ヶ月前。同性の上司の言葉はいつも上澄みだけ綺麗で、隠された本音の破片が沈殿していた。

「急に何も気にならなくなる時が来るよ。40過ぎたら分かるよ」

本当に?40過ぎたら私もあなたみたいになる?土足で他人の心の表面を足跡つけながら歩いて、人の悩みを若さで値引きするようになるの?だったら私、今すぐ年をとることをやめたい。

何歳になっても人を傷つける権利なんてないし、自ら傷つきにいく義務もないと分かっていながら、一度言われた嫌な台詞をずっと忘れきれない自分がいる。

何も気にならなくなる時が来るなら言うことなしだよ。でもそれのどこが偉いの?

感受性を手放したら終わりだ。

まるまるとしたこころを片付けたいのも本音。人から言われた嫌な台詞を忘れたいのも本音。あんな風に年を取りたくないのも本音。

でもいつだって本音とは裏腹に現実はうまくいかなくて、苦手な感情だけが靴の中に入った砂みたいにざらざらと鬱陶しくて、それでも私はその感受性を手放さずに立っている。

自信なんてそう簡単につかないと分かっていても、その感受性を手放せない。

文章を書く人ってそんな人ばかりだ。

みんな感受性が手放せないんだ。嫌な言葉や嫌な記憶がまとわりついて、寂しくて、本音どおりに事が進まなくて。けど手放さないんだ。

だってもし手放したら、自信を手に入れる代わりに一生書けなくなるよ。

あなたも私も同じ。あの人もそう。いつも書きたい。書くなら読まれたい。読まれたら褒められたい。それでいい。自信なんてそう簡単につかなくても、手放さないで、その感受性だけは。

ちゃんと傷つくことのできる40代になってやる。

2019.07.02    ちゃこ

今日の1曲/夜の本気ダンス「Crazy Dancer」


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銀行員がnote描いてたらライターになりました。読みやすさがモットーの微炭酸エッセイ。恋愛の物語が好き。小説も書きます。一般人に聞くインタビュー【そのへんの一般人】連載してます。あなたの朝の日課になりたい。あなたの夜を食べちゃいたい。

コメント17件

激しく共感します。
45才だけど、感受性を失いたくないし、失えないと思う。
年を重ねると、その時々でいいことも悪いことも悩みの質も違っているように感じます。
それらを経験しながら、きっと昨日より1ミリでも成長しているんだと信じています。
私自身傷つくし、傷つく人が好きです。
傷つくトコロを失ったら人は終わりだと思うんですよね。
まだ30代だから、失っていないというだけなのかもしれませんが。
こんなことにも悩まなくていいなー他の人は。と羨ましくも思うけど、感覚が鈍いがために傷つかないなら、傷ついてもいいから繊細のまたまでいいかなと思います。
みなさんのコメント欄読んでいると、どのコメントにも胸が締めつけられる!そういう大人に私はなりたい!
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