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【夜の続きの朝、昨日の続きの今日】

夜の続きみたいな朝がある。

勤務先は飲み屋街のそばだった。
通勤のバスを降りると、歩道には誰かが残した夜が散らばっていた。
チューハイの空き缶、ポイ捨てされたヘパリーゼ、さっきまでここに人がいた。
夜と朝が続いていることにほっとする。


日々、という言い方をすると区切りがあるように見えるけれど、世界は地続きになっていてそこに睡眠がはさまるだけ。

太陽が沈んだからと言って何ひとつ分断されていない。

昨日の続きを生きている感じがして、私はそっちのほうが好きだ。



別に生きても死んでもいいと思う人にほど、エンターテイメントは必要なんだろう。

仕事を休んでいるけれど私は今すごく生きたいし、やりたくないことをやりたくないと叫べている今こそ、それまでよりもますます生きたくなっている。

好きなブランドの新作の服を着たい。好きな漫画は最終回まで読みたい。

だから、生きても死んでもいいと思う人ほど、続きが見たいと思える何かに出会ってほしい。

ファッションとか映画とかドラマとか、小説とかお笑いとかバンドとかイラストとか、さまざまなエンターテイメントのコンテンツが派生したり変化したりしていくのって、つまるところ「明日も生きたい」という誰かの想いがガソリンになっているんだろうなあと思う。

あるいは「この人を明日も生かしたい」という誰かの想いか。

人間の感情というのは複雑で、感動とか同情とか心はいろんな形になるのに、それが目に見えて現れるのは「泣く」か「笑う」か「頷く」か「手を叩く」くらい。

だから私たちは分かりやすく、泣くか笑うか頷くか手を叩くかして、コンテンツを楽しむ。



朝の歩道を歩きながら考えた。
昨日このチューハイの缶をここに置き去りにした人は、これを飲みながら、笑っていたんだろうか、泣いていたんだろうか。

その人が生きたいと思う今日だったらいい。
その人が生きたいと思う昨日の続きが、今日だったらいいな。

そして今夜も、昨日の続きのようなn回目の夜が来る。

この世界が好きだ。悲観なんてしてない。ほんとだよ、強がりじゃないからどうか安心してね。

2019.06.05   ちゃこ

今日の1曲/アルクリコール「日々が零れて」


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銀行員がnote描いてたらライターになりました。読みやすさがモットーの微炭酸エッセイ。恋愛の物語が好き。小説も書きます。一般人に聞くインタビュー【そのへんの一般人】連載してます。あなたの朝の日課になりたい。あなたの夜を食べちゃいたい。

コメント5件

安定して染みますね。食えてれば仕事なんて行かんで良いんですよ別に。まわりに負担かけてるかもしれないですけど、言っても他人です。最悪さよならしても、人生にはこれっぽっちも問題ない。笑ってりゃオールOKです。わーっはっはっは
翠乃さん
逆もそうだったりしますよね。嫌なこと断ち切りたいのに、朝が来ても嫌な気持ちが続いてしまっていたり。
睡眠ですべてゼロにしたいときも、なくはないかな。
夜も朝もnoteの世界が続けばいいなあ
自然体マンさん
ありがとうございます。笑ってりゃオールOK!
私もその波に乗せてください!
いとうかなこ ガラスの靴 そろそろ次巻が出るころかな。。沙耶の唄。。
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