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亮二枠

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ナナシというバンドをやっている木下亮二と、その周辺のエピソードを纏めました。
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記事一覧

猫日誌 其の壱拾弐

 猫が増えるのも三姉妹で打ち止めになったようだ。金魚を飼い、兎も家族に加わった。これ以上…

山田エズミ
3か月前
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猫日誌 其の壱拾壱

 定年退職して半年も経たないうちに、完全なる盲目となった。既に殆ど見えていなかったので、…

山田エズミ
3か月前
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一輪の花

 あたくしは木下亮二君を観察しているんですけどね、彼の傍にはいつでも清世さんが居る。清世…

山田エズミ
8か月前
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美穂の乱心

 木下家のドアチャイムが鳴った。それも、厭がらせのように乱打されている。慌てて清世が応対…

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猫日誌 其の九

 ゴンタが死んだ。二十二年も生きたので、大往生と云える。人間の年齢に換算すると、百五才に…

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日記、2023,01,31。

 二日連続で投稿した亮二の話は、以前のブログでも公開しておらず、今回が初公開である。最終…

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片羽の夢

「木下さん、起きてもいいんですか」 「別に平気だよ」 「風邪を引いて寝込んでいらっしゃいましたから。もういいんですか」 「大丈夫だよ。そもそも風邪なんか引いてねえし」 「そうなんですか」 「うん」 「髪が黒いです」 「染めてねえから」 「言葉遣いがもとに戻りましたね。顔もすっかり若返って」 「なに云ってんだよ。おまえ、おかしいぞ」 「なんか長い夢を視ていたようです」 「うたた寝してたのか」 「そうかも知れません。此処は……?」 「うちだよ」 「アパートの部屋じゃないですか」

片羽

 友人の木下亮二が亡くなった。友人というか、親友だった。彼は暑さに弱いから、死ぬなら夏だ…

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観察

 えー、また木下亮二君の話なんですけどね。なんで彼のことばっか取り上げるかってぇと、あた…

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秋の夜

 同居人の清世が窓を開けて、「木下さん、月がとてもきれいですよ」と声を掛けた。コンピュー…

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生活の糧

 ライブという言葉をご存じない方はあまりいらっしゃらないと思います。点々を取るとライフ、…

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趣味

 此処に木下亮二という男がおります。他人には変わり者だとよく云われるのですが、本人はそう…

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愛情物語

 食慾の秋と云うが、秋になったからと謂っていきなり食慾が増す訳ではない。これは作物の収穫…

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猫日誌 其の捌

 人生の壮年期に当たる四十代も終わり、とうとう五十才になった。中年と老年の境目になるのであろうか。気分的には既に爺いである。もともと若々しい部分が少なかった。少ないものがどんどん目減りして、今では若さなど欠片もない。  若さがないのに、若者相手にロックをやっている。まあ、観客は三十代が多いのだが。  バンドなどと謂う浮ついたことをやっていても、職場では部長である。そんな柄ではないのだが、名刺の肩書きはそうなっている。やっていることは転属されてから変わっていない。図書センターと