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第48回 007 ドクターノオ(1962 英)

 ショーン・コネリー追悼企画となれば、やはり『007』だけは外すことができないのであります。

 というわけで、追悼企画第1弾は盛大かつ景気よく氏を送り出す為に記念すべき第1作『007 ドクター・ノオ』でお送りします。

 世界で二番目に長い映画シリーズ(1位は寅さん)だけあって、007が好きと自称する人でも案外初期の作品を見た事がない人は多いのではないでしょうか?特に若い人はジェームズ・ボンドと言われればまずはコネリーよりピアース・ブロスナンあたりをイメージしてしまう人が多いはずです。

 何しろ公開は1962年ですから60年近くも前です。ジャマイカが舞台ですが、まだイギリスの植民地なのです。コネリーの髪も将来の破局を暗示する生え方とは言え、まだふんだんにあります。

 しかし、基本的なフォーマットは第1作から基本的に変わっていません。Qは影が薄く、ボンドカーは出てきませんが、敵方にはふんだんにビックリドッキリメカがあり、ボンドは皮肉屋で物知りで、Mを振り回し、マネーペニーを雑に扱い、帽子を投げ、割りと雑に危機を乗り越えていくわけです。

 タイトルにも現れるマッドサイエンティストのドクター・ノオの陰謀をボンドが阻止しつつボンドガールといちゃつくわけですが、あんなミスターノンケのような男の映画でBLになるのかとお思いかもしれません。

 しかし大丈夫。ボンドは女だけではなくMI6の後輩のバンコラン少佐も一目置くレベルで男にもモテます。それに最近の作品は露骨にホモに寄せていますしね。

007 ドクターノオを観よう!

 AmazonとU-NEXTで有料配信があるのみです。まあ、どこかのテレビ局がやるでしょう

真面目に解説

吹替派の言い分
 007、特にコネリー作品は絶対に吹替で観るべきです。若山弦蔵のイケボを聞かずに何がジェームズ・ボンドかなというわけです。

 まだ俳優と声優の明確な分業がなされていなかった時代です。しかし、若山弦蔵は声優としての確固たる矜持を持ち、片手間仕事という意識でスタジオに現れる俳優たちに敵意を燃やして吹替に臨んだ筋金入りのプロです。

 つまり、コネリー同様の男の中の男なのです。はまっているのは当然です。俳優と声優の分業が声優の為になったかというと大きな疑問が残るわけではありますが…


お前のようなスパイが居るか

 007シリーズには原作があり、先の大戦中本当にスパイをしていたイアン・フレミングが実体験をもとに書いた小説が元になっています。

 段々小説はネタ切れして派手なギミックが飛び交うようになり、皆様の知る007に近付いて行くわけですが、本作はかなり大人し目で、クローゼットの扉に髪の毛を仕込んだり(開けると毛が切れてわかる)と割合細かいスパイテクニックに主眼が置かれます。

 しかし、本物のスパイたちは原作を読んで笑い転げたそうです。そりゃあそうでしょう。あんな派手で任務より女を優先するスパイなど居ません。

 しかし、ボンドがスパイという地味な仕事が独り歩きするほどのロマンを付与し、多くのフォロワーを産んだのは紛れもない事実です。男の子は皆憧れたのです。あんな秘密兵器が持ちたい、酒の知識が語れる大人になりたい。ボンドガールといい事したいと。


MI6という組織
 ボンドの所属するMI6は英国の情報機関であり、正式名称はSISで、MI1からMI5までも一応あるのですが、一般にはMI6で通っています。

 平たく言えばアメリカのCIAやロシアのKGBに相当する組織です。日本には相当する組織がないので大変なことになっているのですが、それは別の機会に譲ります。

 情報機関なので本当の事は分からない事も多いのですが、元々は各省庁がそれぞれ独自に行っていた諜報活動を海軍が音頭を取って一本化してできた組織とされています。

 世界中に途方もない植民地を持つ大英帝国のことですので、こういう大仕事は海軍が音頭を取るわけです。というわけで、ボンドも一応海軍中佐という階級を持っています。


ああ大英帝国
 映画はそのジャマイカ駐在の若手諜報員006が何者かに暗殺されることで幕を開けます。アメリカの月ロケット発射を控え、謎の妨害電波がジャマイカから出ているというので探りを入れていたのです。

 本作が公開された頃はまだ植民地は独立する前なので、内容はともかくMI6が世界を股にかけて活動するというのはリアリティのある話でした。ジャマイカは社会主義国家であるキューバににらみを利かせる為にも大事な要衝であったのです。

 元植民地であるアメリカのロケット打ち上げの手伝いというのが哀しくはありますが、それでも当時のイギリスは少なくとも地図の上では天下御免の大帝国だったのです。

 しかし、この頃から植民地はどしどしと独立するようになり、イギリスはすっかり落ち目になって日本に抜かれ、ドイツに抜かれ、今やロシアや中国にさえ脅かされているのは御存じのとおりです。ライバルだったフランスがそれ以上のペースで落ち目なのが唯一の救いです。

 言わば、コネリーの髪とイギリスは歩調を合わせて衰退していったのです。すっかり髪の毛の無くなったコネリーがスコットランド独立を支持するようになったのはつまりそういう事なのです。

 コネリーが世を去り、コロナウイルスが猛威を振るう今、イギリスがどうなっていくのか、私は恐くて想像できません。


愉快なジャマイカ
 60年代のジャマイカの風景が描かれているのも見逃せない点です。そんなもの滅多に見られる物ではありません。

 植民地なので総督が居ます。そして部下の制服が半袖半ズボンなのにも注目です。これは熱い英国植民地に見られる特徴の一つです。

 古い香港映画でよく半袖半ズボンのボーイスカウトみたいないでたちの警官が出てきますが、これもその一部です。

 陽気なジャマイカンミュージックが聞けるのも楽しい所です。まだレゲエというものはありませんのでより古い形式です。

 バーで演奏しているのはジャマイカンミュージックの巨匠バイロン・リーだったりします。こういう各地の音楽を楽しめるのも007シリーズの魅力でありましょう。


MI6と愉快な仲間達

 ボンドを取り巻くMI6の人々が居なければ007というシリーズは絶対に成立し得ません。彼らは使い捨てのボンドカーやボンドガールよりむしろ大事なのです。

 まずはMI6の局長であるM。フレミングの上司であったジョン・ヘンリー・ゴドフリー提督がモデルになっています。ただ、提督はMのモデルにされたのを凄く嫌がっていたそうですが。

 有能な代わりに女たらしで自分勝手なボンドに手を焼いて振り回される悲しき中間管理職ですが、諜報員の損耗率を減らすのに腐心したりと部下思いな御仁です。

 演じるのはバーナード・リー。ニューヨークでホームズをやっていたジョニー・リー・ミラーの祖父さんです。この後コネリーより長く11作目の『ムーンレイカー』まで務め、『ユア・アイズ・オンリー』の撮影中に亡くなり、この作品だけMは出てきません。大切な人だったのです。

 そしてMの秘書でボンドを恐らくどのボンドガールより愛しているミス・マネーペニー大尉。彼女の前でボンドが帽子を帽子掛けに投げつけるのが"お約束"です。

 近頃はナオミ・ハリスになって風向きが変わっていますが、基本的に中年の女優がキャスティングされ、ボンドに猛烈にアプローチしても相手にされないというのがいつものパターンです。

 ボンドガールの定義に「マネーペニーは含まない」というものがあるくらいです。しかし、その役回りは非常に美味しいのも事実です。特にロイス・マクスウェル演じる初代マネーペニーが本作を皮切りに徐々にヤンデレ化していく様は必見です。

 最後が名物の秘密兵器を開発しては説明を雑に聞き流されるQです。結構入れ替わりの激しい他の面々と違ってずっとデスモンド・リュウェリンでしたが、本作はリュウェリンではないのです。それについては次項で説明します。


愛しのワルサーPPK
 ジェームズ・ボンドの象徴と言えば何と言ってもオメガの時計とワルサーPPKという事になっています。どちらもこの映画が当たったおかげで飛ぶように売れたというくらいです。特にワルサーPPKはガンマニアの私としては語らずにはいられないのです。

 しかし、本作のボンドは当初ベレッタ418というより小型の拳銃を作動不良で死にかけたにもかかわらず大事に使っており、ワルサーへの交換を迫られて渋ります。

 そんなボンドにワルサーを手渡したのがピーター・バートン演じるブースロイド少佐、後のQです。彼が次作以降スケジュールが合わなくなったことでリュウェリンが後釜に座るわけですが、今作のQはワルサーの説明をちょっとやってお役御免です。

 この銃の交換にはそれなりの裏話があります。原作でもボンドはベレッタ418を使っていたのですが、ブースロイドという銃の専門家からあまりに威力が低すぎると指摘が入り、これを受け入れたフレミングが彼の名前をお礼に使って銃を取り換えたのです。

 ベレッタ418は25口径(100分の25インチで約6.25mm)の小型拳銃です。一般的な拳銃は38口径(9.65mm)ないし9mm、アメリカだとお国柄で45口径が主流ですので、いかに頼りないか分かろうと思います。

 対してボンドが渋々持ったワルサーは大きさはベレッタと大差ないですが32口径です。少佐曰く「その威力はベレッタがおもちゃに見える」とのことですが、実はそれでもちょっと心もとないのです。

 しかし、これには一応理由があります。『グッバイ、レーニン!』でブレジネフとホーネッカーの濃厚なキスシーンを使って以来の参考画像を出して説明しましょう。早い話が私のモデルガンのコレクションを自慢したいのですが。

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 右側が当時イギリス軍が採用していたエンフィールドという38口径のリボルバーです。ワルサーPPKは生憎実家で手元にないので、比較用にほぼ同じ大きさのS&W 36という拳銃を用意しました。

 見ての通り大きさが全然違います。スパイが拳銃を使うのは緊急事態であり、また隠し持つ必要がある為、大きいとダメなのです。

 ベレッタはイタリア製、ワルサーはドイツ製なのもポイントです。スパイが自分の国の銃を使うのはどう考えても不味いので第三国の物が選ばれるのです。

 しかし、ボンドがベレッタに固執するのはスパイとしては問題ありです。ありあわせの道具を使いこなせなければスパイなど務まりません。愛用の銃云々などと言うのは実はリアルではないのです。


ウォッカマティーニをシェイクして

 ボンドは物知りで、やけに酒に詳しいのも特徴です。多くの少年が大人になればこんな風に酒に詳しくなるものだと信じましたが、そんな簡単ではありません。多くの元少年は発泡酒をかっ食らっているのが現実です。

 本来ジンをベースにステアして作るマティーニというカクテルを、ウォッカで作らせてステアせずにシェイクして作らせる有名なシーンは本作です。用語については面倒なので説明しません。

 このウォッカマティーニは本作のおかげで大流行し、あらゆるバーを潤わせたそうですが、私は恐くて注文できません。

 『トップガン』に憧れて自衛隊に入る程ではないですが、あまり世間体が良くないのが現実です。意地悪なバーテンダーだと鼻で笑って作ってくれない可能性さえあります。頼むならしばらく通って向こうが007が好きだと見極めてからにしましょう。


敵か味方かフェリックス
 スパイというのは組織が違うと敵同士かというとそういうわけでもなく、複雑な利害関係が相互に働いて敵になったり味方になったりします。当然MI6とCIAは表向きは仲が良いわけです。

 CIAのスパイでボンドといちゃつきながら任務を遂行するのがフェリックス・ライターです。近年はジェフリー・ライトで固定化されていますが、当初は出てくるたびに役者が変わるのが恒例でした。本作で演じるのはジャック・ロードです。

 出てくるとボンドと共同作戦を張りますが、基本的には振り回される役です。というよりも、関わる人皆振り回されます。早い話がボンドには協調性が全くないのです。冷静に考えればスパイ向きではありませんね。


エロエロボンドガール
 一番振り回されるのは何と言ってもボンドガールです。敵方、味方、たまたま居合わせた堅気の姉ちゃんなど大抵三人くらい登場して、ほとんど美味しく頂かれてしまうのです。

 本作では味方サイドのシルビアにユーニス・ゲイソン、敵方の中国人スパイのミス・タロに中国人に見えるよう工夫したゼナ・マーシャルという布陣ですが、"センター"は何と言ってもたまたま居合わせた枠のウルスラ・アンドレス演じるハニー・ライダーです。てか多くのシリーズで一番おいしいのがこのたまたま枠です。

 アンドレスは流石に初代だけあって歴代のボンドガールの中でもエロくて人気が高く、登場シーンで着ていたビキニはオークションで3万5千ポンドの値を付けたそうです。おそらく世界一高い水着でしょう。オッパイも出して世の少年を悦ばせました。

 しかし、こんなnoteでボンドガールの説明などつらつらしても誰も喜ばないので、さっさと次へ行きましょう

悪の華
 007シリーズの軸は悪の組織「スペクター」の面々がいかなる陰謀を張り巡らし、またいかなるビックリドッキリメカを繰り出してくるかにあります。

 本作の大ボスはジョセフ・ワイズマン演じる中国人のドクター・ノオ。父親はドイツ人宣教師で差別に耐えながら中国の闇社会でのし上がり、西側からも東側からも拒絶されてスペクターに拾われたマッドサイエンティストで、怪力の義手を装備しているという属性過剰なお人です。

 ジャマイカの島に秘密基地をおったて、戦車で警備し、アメリカのロケットに妨害電波を送って打ち上げを失敗させようと目論んでいます。まさに男の夢です。

 面白いのは手下である地質学者のデント教授です。ボンドに早々に始末されてしまう小者なのですが、演じるのはアンソニー・ドーソン。つまり後のシリーズでスペクターのボス、ブロフェルドに出世してしまうのです。まあ、顔は出ていませんでしたが。

 いずれにしても、ドクター・ノオの研究所は胡散臭い悪の秘密基地としてこれ以上なく仕上がっており、このシリーズの後の方向性を完璧に決定付けているのです。

BL的に解説

ロイヤルネイビー男色史
 MI6は海軍系の組織であると説明しましたが、そもそも英国海軍の歴史は同性愛の歴史なのです。何しろ男ばかりでずっと海の上ではそういう事が起きないほうがどうかしています。

 古くは「船に女と少年を無断で乗り込ませてはいけない」という決まりがありました。女については説明は要らないでしょう。そして、少年が同列の扱いを受けていることにロイヤルネイビーの暗部が覗きます。

 何しろかのネルソン提督が提督として最初に手掛けた大仕事が軍内に蔓延するアル中と同性愛の根絶でした。しかし、ナポレオンさえ打ち破ったネルソン提督をもってしてもホモは打ち破れなかったのです。

 そして、英国海軍に範を取って健軍された日本海軍の名物はご存知「海軍精神注入棒」によるケツ叩きです。これは幕末期の英国海軍で行われていた懲罰がそのまま輸入されて後の時代まで残ったものです。

 これは19世紀の頭まで英国海軍が水兵の確保の為に強勢徴募と称した誘拐で人員を揃えていたことに由来します。士気が低いので殴って言う事を聞かせるわけです。

 ゲイのサディストの士官は股間の海軍精神注入棒を固くしながら水兵をぶん殴り、好みの美少年を強勢徴募しようと探し回ったのは言うまでもありません。BL本でもちょいちょい見かけるシチュエーションですね。

 また、1945年までケツを叩き続けた日本海軍は薩摩閥が幅を利かせていたのも見逃せない要素ですが、ここに踏み込むと長くなりすぎるので別の機会に譲ります。

 そして、これは陸海軍を問わず行われた事ですが、貴族の将校が従兵と懇意になり、戦後そのまま屋敷に連れ帰って従者として使う事が戦後に英国貴族が経済的に締め付けられるまで盛んに行われました。

 当然奥様には言えない(奥様によっては却って喜ぶ)裏の関係が伴う事がままあるわけです。この頃貴族の無嗣断絶が増えて問題化しましたが、多分そういう事なんだと思います。

 『ダウントンアビー』の伯爵とベイツさんがまさにそうですね。伯爵のヤンホモぶりは凄まじい物でした。ちなみにトーマスにホモを仕込んだのは伯爵だと私は睨んでいます

 結局英国海軍は同性愛と縁を切る事が出来ず、現代に至っても実に半分の海軍軍人が男性経験を有するという腐女子が鼻血で失血死するような統計があります。

 何しろ寄港地のウリ専に機密を漏らすアホが問題になっているくらいです。MI6泣かせにもほどがあります。


ボンドのセクシャリティ
 前置きが長くなりましたが、MI6は海軍の息がかかっており、ボンドもMもQも海軍士官であります。マネーペニーについてはまあいいでしょう。

 多くの国で士官学校はタダで高等教育が受けられるのが売りなのですが、イギリスの士官学校は貴族しか士官になれなかった時代の名残からか、それなりの高等教育を受けた後に入る仕組みになっています。

 イギリスのそれなりの高等教育とは何か?そう、パブリックスクールです。もはやパブリックスクールがホモ養成所である事はイギリスにおける公然の秘密です。MにしろQにしろボンドにしろ、上級生に掘られ、また下級生を掘った事がないはずがないのです。

 そしてパブリックスクールのもう一つの象徴と言えばお尻ペンペンです。『チャーリーとチョコレート工場』の原作である『チョコレート工場の秘密』なんてスパンキング祭りです。ホモSMに目覚める変態紳士が大量生産されるのは当然の帰結です。

 ボンドはちょいちょい敵に捕まってえげつない拷問を受けますが、免疫がありそうなのは学生時代に散々叩かれた証拠です。

 何しろあの性格では人一倍叩かれたのは明白です。しかもあんな男前では上級生達に目を付けられるのも当然です。つまり、ボンドの女狂いの根っこには少年時代の性的トラウマがあったのです。

 というわけで、この説に基づいて私の中ではボンドは総攻めです。例えバンコランが相手だとしてもです。


ボンド×M
 Mは絶対ガチホモです。特に今作はホモ臭い仕上がりになっています。ホモですが有能でもあり、MI6局長に就任以来、諜報員の損耗率が40%も減少したと自分で語っています。

 そして、その数字を維持したいと語り、ジャマイカで消息を絶った006の捜索の為に有能な代わりに扱いにくいボンドを差し向けます。

 それにあたって度重なる警告と事故にもかかわらずベレッタに固執するボンドをヒラの諜報員に降格すると脅しまでかけて銃を交換させます。

 つまり、Mは凄く部下思いなのです。彼にとって諜報員たちは大切な息子たちであり、恋人たちなのです。MI6はそれ自体がMの大奥なのです。

 ボンドの性格を鑑みれば、Mの脅しを無視してベレッタを使い続けるのが本当のはずです。しかし、ボンドは渋々ながらもMの親心に応えるのです。これはボンドもまたMを愛していた証拠です。

 Mは絶対にボンドに死んでほしくない。ボンドはそんなMの為に嫌な命令も聞く。ベレッタを取り上げながらもMの股間の拳銃は暴発寸前のはずです。マネーペニーは腐女子になるより浮かばれる道はありません。


ボンド×Q
 今作では先っちょだけですが、Qが秘密兵器の性能を嬉々として説明し、それをボンドが適当に受け流してQが憤慨するというホモ臭いやり取りが007シリーズのお約束です。

 しかし、Qの秘密兵器が常にボンドの命を救うわけです。そんな大事な秘密兵器の説明を聞こうともしないボンド。

 何故か?それもまた愛です。Qはそうは思っていないので怒るのでしょうが、ボンドは心底Qを信頼しきっているのです。困った時はQの持たせてくれた道具でどうにでもなると思っているのは彼の行動から明白です。

 きっと画面の外でボンドはボンドは言うのです。「説明なんて聞かなくても君の腕は信頼してるよ」と。Qは感動してボンドカーに装着された秘密のカーセックスの為の装備を起動させるのです。ボンドガールなどコンドームです。

 第一Qは『スカイフォール』からゲイでイケメンのベン・ウィショーに代替わりし、映画好きの腐女子を大喜びさせました。もう何を言わんやです。Mに隠れてどんな秘密兵器を陰で開発しているか分かったもんじゃありません。いや、Mも使うんでしょうね。


ボンド×ライター
 ジャマイカへ飛んだボンドは敵方とひと悶着してどうにか総督府に辿り着き、006が釣りに行くのに雇っていたという漁師が何か知っていると当たりを付けますが、この漁師のクオレル(ジョン・キッツミラー)に逆に襲われてピンチです。

 ボンドはこれを上手い事切り抜けてMから貰ったワルサーをクオレルに向けますが、そこへ後ろからライターがやって来て、銃を突き付けて「話し合いは穏やかに、興奮しちゃいかん」とホモ臭いセリフで制します。

 これが二人のファーストコンタクトでした。クオレルはライターの助手だったのです。二人は共通の目的で働いているのですぐ共闘し、抜群のコンビネーションでミス・タロをとっ捕まえたりと絶好調です。

 その夜、揺さぶりをかけられた教授はビビってボンドの寝室にタランチュラを仕込んで殺しにかかります。勿論これで殺されるボンドではありません。

 MI6がホモでCIAがノンケなんて片手落ちな話もありませんし、この夜は珍しくボンドも女連れではなかったので、この後ボンドはライターを呼びつけて今後について相談し、ついでに米英友好に精を出したのでしょう。

 そうでもないとこの後のシリーズの二人のホモ臭い共闘関係が説明できません。タランチュラなどプレイの道具でしかありません。

 敵が居るらしきクラブ・キーという島へ行こうという事になりますが、ボンドは教授に襲われた上に気まぐれなので待ち合わせに遅れ、ライターに「二時間も待った」と嫌味を言われます。二時間ですって。まさに一日千秋というわけです。

 そしてボンドは気まぐれぶりを海の上でもいかんなく発揮し、クラブ・キーへはライターが上陸するはずが自分で上陸しちゃいます。「何かあったら俺の首が飛ぶ」とライターは嫌がりますが、もう二人の主従関係は明らかです。

 そしてすべてが終わり、「何かが怒ったら海兵隊でも連れてこい」というボンドの言葉通り海兵隊を連れて迎えに来てくれます。

 ハニーとボートでいちゃつくボンドを見て複雑そうなライター。明らかなジェラシーです。

 大体ジャック・ロードの代表作と言えば『ハワイ5-0』のマクギャレット少佐です。今やってるホモ臭いのはリメイクなのです。オリジナルも大概ホモなのですが、見る機会が非常に限られるのが残念です。とにかく「ぶち込め、ジェームズ」というわけです。


ボンド×ドクター・ノオ
 ドクター・ノオもう出自から怪しいわけです。父親が宣教師です。教会なんてハッテン場も同然なのはもはや世界中で知られた話です。

 そして差別を跳ね除けて中国の暗黒街で頭角を現します。当然尻は無事で済むはずがないのです。「ハンディキャップが力になった」と語るのはまさにそういう事に他なりません。

 ハーフである為に信用されませんが、美少年だったのです。ドクター・ノオはそうやって尻一つでのし上がるとともに、優秀な科学者となったのです。

 しかし、1000万ドルの金塊を持ってアメリカに逃げ、マッドサイエンティストぶりから西側にも東側にも持て余され、スペクターに拾われます。

 誰にも受け入れてもらえなかった若き天才科学者が拾ってもらった。もう惚れるよりありません。ドクター・ノオはブロフェルドにやらせろと言われればためらうことなくケツを差し出すのです。

 かくしてガチホモになったドクター・ノオなので、ボンドへの対応もホモ臭いものです。上陸してきたボンドをわざと詰めの甘い追い詰め方をして誘い込み、同行したクオレルだけを始末して基地に連行します。

 そして、放射能に汚染されているという名目でたまたま枠のハニーともども全裸で水洗いします。いうまでもなく役得です。ハニーのおっぱいに釘付けになる野郎どもに混じって、コネリーの胸毛に欲情するゲイも劇場には混じっているのは言うまでもありません。

 ドクター・ノオはずっとボンドを待ち受けていたのです。ホテル並みの客室に二人を泊まらせ、コーヒーを飲ませますが、コーヒーには睡眠薬が入っています。

 はっきり言ってこんなの飲んじゃうボンドはおっちょこちょいにも程がありますが、そんなところにドクター・ノオは萌えてしまうのです。

 ボンドをベッドに寝かせ、ドクター・ノオが様子を見に来ます。当然寝ている間にボンドは美味しく頂かれてしまうのです。

 そうとは知らず目を覚ましたボンドはハニーと一緒にドクター・ノオと対面を果たします。手に汗をかいているそうです。怖いからとボンドは言いましたが、前述の通りの背景があるとすれば勿論違います。

 ドクター・ノオは海底60メートルの深さに外を見渡せるガラスを張った技術を自慢しますが、ボンドは「メダカが鯨に見えるね。この島の主を思わせる」と皮肉を飛ばします。しかし、そんなボンドがドクター・ノオは好きなのです。

 酒の好みもチェック済です。その他あらゆる行動は事前に調べが付いています。なかなかドクター・ノオの愛は重いようです。

 そして「君なら私の業績を正当に評価したうえで秘密を守ってくれる」と一気に距離を詰めつつ計画を自慢します。

 ボンドはボンドで「男同士の話だろ」とハニーをホモ臭く解放させようさせます。完全にコンドーム扱いです。

 しかし、ドクター・ノオはヤンホモ気質なので退席させるだけさせて連行させてしまいます。ボンドは怒ってドンペリのボトルを凶器に抵抗しますが阻止され、「君には失望した」とドクター・ノオはシャンパンのようにジェラシーを爆発させます。

 ここでようやくドクター・ノオはスペクターの存在を明らかにし、わざと殺さず連れてきたという結果論っぽい言い訳と、金と時間をかけてプライドを傷つけられた事、それで興味を持ったと愛の告白をして、ボンドをスペクターにスカウトします。

 しかし、これに乗ったら映画が別物になっちゃいます。ドクター・ノオは「君には失望した」と恨み言を言い、「可愛がってやれ。まだ殺すなよ」と未練たらたらな一言を残してロケットの妨害に戻り、部下にひとしきりボンドを殴らせて待遇の悪い監獄に放り込みます。ホモジェラシーの醜さです。

 そこはボンドですので上手い事脱出し、原子力を使って強力な電波を出してロケットを妨害しようとするドクター・ノオ部下に防護服を着て紛れ込み、原子炉をぶっ壊しながらドクター・ノオと取っ組み合いをおっぱじめます。

 ドクター・ノオは怪力の義手なので有利でしたが、義手があだになって燃料プールへと沈んでいき、爆発する基地とともに消えます。核燃料のように重い愛はカリブ海に永遠に葬られたのです。

 しかし、ドクター・ノオだけがホモなのかというと全くそんな事は無かったのは後のシリーズの敵達のホモっぷりから明白です。

BL的に解説(ナマモノ注意)

007の撮影現場ハッテン場説
 我が国の映画産業は歌舞伎から多くの人材の供給を受けて始まりました。歌舞伎がその実高級ウリ専のストリップであり、男色の伝統が連綿と受け継がれているのは日本文化に明るい人にはもはや常識です。

 従って、もとをただせば歌舞伎の分派である映画人にゲイやゲイだと噂される人間が多いのは当然なのです。

 英国の映画産業もまた演劇人が横滑りする形で始まりました。同性愛が犯罪である関係上日本ほど大っぴらでないにせよ、演劇人が男妾を副業にするのは古代ギリシャから続く万国共通の伝統なのです。

 以前も説明しましたが、『007は二度死ぬ』の撮影の折、ボンドガールに選ばれた浜美枝は関係者に手を出されることを恐れてニンニクをドカ食いして身を守ろうとしました。

 しかし、現場の男どもはゲイばかりで、「ニンニクちゃん」というあだ名を付けられただけで何も起きなかったという伝説があります。

 とすればショーン・コネリーと支持層の近そうな丹波哲郎こそ危険だったわけですが、果たして彼の尻が無事だったのかは大霊界に聞きに行くより確かめる術がありません。まあ、丹波哲郎がノンケであるという証拠もないわけですが。

 いずれにしても、映画界にはバンコラン菌が蔓延しているというわけです。ボンドガールなどスクリーンの中でも外でもコンドームでしかないのです。

お勧めの映画

 独自の統計(主観)に基づきマッチング度を調査し、本noteから関連作品並びに本作の気に入った方にお勧めの映画を5点満点にて紹介します

ショーン・コネリー追悼特集
『レッドオクトーバーを追え!』
『アンタッチャブル』


『グッバイ、レーニン!』
(★★)(初めて参考画像を使ったレビュー)
『さすらいの用心棒/暁のガンマン 』(★★)(割と情けないアンソニー・ドーソンが悪役)

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