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三鷹歌農書2561-2580

アク抜いてアーリオオーリオ裏庭に初めて採れしアケビのペンネ
三鷹歌農書(二五六一)
葛の枝のクセを読みつつ乱れ編み捨てないよ捨てないよおまへもオレも
三鷹歌農書(二五六二)
葛の蔓の籠の仕上げは急がずに被り物にもなるかとあそぶ
三鷹歌農書(二五六三)
世にもしもわたくしのみの星あらば何を容れむと編み込む木通
三鷹歌農書(二五六四)
ばくばくと口あけ秋を喰らふさま柘榴一樹を見上げて飽かず
三鷹歌農書(二五六五)
歯並びの良さの画一的なるを柘榴は割れてわらふがごとし
三鷹歌農書(二五六六)
割れぬまま柘榴しづかにくろがねの彫刻のごとくなりても落ちず
三鷹歌農書(二五六七)
すつくりとロウソク伸びて灯る火の蕾の先のサフランの蕊
三鷹歌農書(二五六八)
早く出せよとばかり雄蕊がサフランの蕾の口をこじ開けんとす
三鷹歌農書(二五六九)
蜜蜂がじふいちぐわつまで生き延びてサフランの花とむさぼり合へり
三鷹歌農書(二五七○)
針の葉を噴きて泉の花弁湧きサフランの蕊いのちを見よと
三鷹歌農書(二五七一)
サフランの花びらのうへ蕊を抱き働き蜂が死んでをるなり
三鷹歌農書(二五七二)
強盗にほかならぬ指おしひらきサフランの蕊を根元から取る
三鷹歌農書(二五七三)
どんぐりを並べておけばいつしかに子ら来て口と目鼻を与ふ
三鷹歌農書(二五七四)
どんぐりに顔あるを見て去りにしや夜中四本足の来客
三鷹歌農書(二五七五)
ハクサイが気合ひを入れて巻き始む西高東低寒気のキレに
三鷹歌農書(二五七六)
サフランのコーラス冴えてダアリアのアリア響かふレイズドベッド
三鷹歌農書(二五七七)
怨まれてをるか冷たく雄蕊のみサフラン皿に積みあげられて
三鷹歌農書(二五七八)
先のみは真直ぐに天へ葉をひらく腰は曲がれどムラサキの茎
三鷹歌農書(二五七九)
ムラサキの根元に二つ湧く泉春へ新芽のはや歩み出す
三鷹歌農書(二五八○)


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