【開催レポ】Agri/Food Tech Startup Showcase2021:第1回 スタートアップが、"農業"を変える
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【開催レポ】Agri/Food Tech Startup Showcase2021:第1回 スタートアップが、"農業"を変える

皆さん初めまして!Beyond Next Venturesの有馬です!

記念すべき第1号は、現在10社を超えるスタートアップさんと共に開催中の「Agri/Food Tech Startup Showcase2021」のレポートをお届けします!

「Agri/Food Tech Startup Showcase2021」は、次世代の食・農をテクノロジーでリードするスタートアップ×VCの対談企画です。4週にわたり、「農業」「水産」「発酵」「代替肉」などのテーマに関連するスタートアップ経営陣をお迎えしています。

今回は、約250名の方にご参加いただいた、2021年8月17日開催「第1回:スタートアップが、"農業"を変える」のイベントレポートを公開します。

農業スタートアップ4社と共に、各社の事業紹介や海外進出における優位性、事業を進める上での苦労、日々の喜びなど、ここでしか聞けない貴重なお話を通じて、農業の魅力をお届けします!

<登壇者様>
グランドグリーン株式会社 代表取締役 丹羽 優喜氏
2008年 京都大学農学部卒業、2013年 同大学院生命科学研究科修了、博士(生命科学)。その後、京都大学にて助教として植物の生殖と発生について研究を行う。2015年より名古屋大学にて大学発スタートアップの立上げプロジェクト(現・グランドグリーン)に参画し、創業の基盤となる特許技術の開発に従事。2017年にグランドグリーンを共同創業し、代表取締役に就任。先端テクノロジーを用いて植物のポテンシャルを引き出し、次世代の食農を作る事業を展開している。

株式会社TOWING 代表取締役 西田 宏平氏
滋賀県信楽町出身。名古屋大学大学院環境学研究科修了。新卒で自動車部品メーカーに入社。エンジニアとして勤務。内閣府主催の宇宙ビジネスコンテスト「S-Booster」がきっかけで、副業で株式会社TOWINGを設立。10か月間、二足の草鞋を履いた後、独立。TOWINGでは学生時代に学んだ良質土壌を人工再現する技術を活用し、高効率×美味しい×低環境負荷な野菜(サーキュラーベジ)を生産する宙農園を展開し、地球農業発展を目指す。また、JAXAが企画運営する月面や火星で建設予定の宇宙基地内での作物栽培に関するプロジェクト「SPACE FOODSPHERE」に参画し、同技術を活用して宇宙農業実現を目指す。

テラスマイル株式会社 代表取締役 生駒 祐一氏
システムインテグレータ(株)を経て、テラスマイル株式会社(本社:宮崎市)を創業。2018年、農業データ基盤「RightARM」をリリース。農業のデジタル化や戦略支援、教育支援といった営農の高度化に活用されている。グロービス経営大学院卒(2008)、JAアクセラレーター指名型プログラム「Plant & Grow」、JR東日本スタートアッププログラム、Microsoft for Startups、浜松市ファンドサポート事業、宮崎県農業経営指導士、農研機構WAGRIアドバイザリーボードなど。

AGRIST株式会社 取締役COO 高橋 慶彦氏
秋田県横手市出身。10歳から家業の印刷会社の事業の手伝いを始める。高校卒業後、単身渡米。米国シリコンバレーの大学にて、デザインを学ぶ。帰国後、広告代理店を設立。クラウドファンディングを活用したメディア事業、人材育成事業、空き家再生事業を実施。2018年8月、家族と共に宮崎県新富町へ移住。世界の農業課題を解決し、人類の未来に貢献するためAGRISTを設立。国内のビジコンで11個の賞を受賞

第一部:農業スタートアップへの投資トレンド

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有馬:近年、アグリ・フードテックスタートアップの投資額は増えています。世界全体で、2018年以降毎年2兆円規模の投資が行われています。世界の投資額では、米国・中国、そして私も投資をしているインドもランキング上位に入ってきていますが、日本は20位前後に留まります。投資対象としては、アグリ・フードテックの中でもディープテック領域の投資の注目度が上がってきています。

日々口にしている食べ物や健康、環境への意識が高まる中、食や農業は生活に欠かせないものとして再認識されつつあり、代替肉を含め多くのスタートアップが立ち上がっています。
同時に、この領域のイノベーションは、ESG投資・インパクト投資の文脈でも注目を集めています。

先ほど日本は世界で20番目程度とお伝えしましたが、スマート農業市場などを見ると年々成長を続けています。この領域では、生産プラットフォームから植物工場まで、様々な技術が成長していくと予想されています。

日本の農業を改めて見ていくと、就農人口の減少と高齢化が際立っており、また、アメリカに比べると小規模世帯数が多く、低所得などがネックで新規参入が増えづらいという構造もあります。

こういった課題をスタートアップのテクノロジーによって解決できるような世界を作っていければと考えています。

実は今、農林水産省によるアグリ・フードテック領域を対象とした事業支援プログラムが予定されており、私もプロジェクトマネージャーを務める予定です。事業成長のための補助金や、事業支援の仕組みもご用意しておりますので、スタートアップの皆様、起業にご興味をお持ちの皆様、お気軽にご連絡ください。

第二部:パネルディスカッション「スタートアップが農業を変える」

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★ パネルディスカッション前に行った各社の10分ピッチ動画はこちら★
グランドグリーン
AGRIST
テラスマイル
TOWING

海外市場の捉え方

有馬:ピッチの中では、国内市場を中心にお話いただきましたが、海外市場についてはどのように考えていますか?

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丹羽:農業はその土地に根付いたものですし、日本で作った品種をそのまま海外で作ってパフォーマンスを発揮するかというと、そうでないケースもあります。その意味では、その国にあった品種をベースにして、我々の技術を乗せて、新しい品種を展開していこうと考えています。各国で土壌等特有の制約がありますし、新しい品種の開発には時間がかかります。そこは難しさでもあるし、我々の技術としては寧ろ提供価値があると考えています。

高橋:JICAさんと連携しながら、海外の社会課題(食糧危機・飢餓)という問題を共に解決できないかというお話しをさせて頂いています。

そのために、僕たちの生産システムをどう海外で作っていくか?というのが一つのテーマです。併せて、食料・作物自体の栄養価や生産性をどうあげていくか?というのも課題です。これまで種苗の進化に長い時間がかかっていたところを、テクノロジーとして進化させることができるのであれば、すごくインパクトがあるのではないかと思っています。

有馬:他国に入っていくのは時間がかかりますが、現地が求めているテクノロジーを(日本のスタートアップが)持っているケースは多く、現地にどう入り込んでいくのかは重要なポイントですよね。

プロダクトローンチや導入までの苦労

丹羽:私たちは大学発ベンチャーで、大学に基盤技術がありました。大学の研究開発の発想と、実用化を目指していく上での発想は見据えているゴールや方向性が違います。私も元々大学の研究者ですが、その的を外さないように意識してきました。

大学内の視点は、自分達も、そして大学周囲の評価も間違っていることも。「利用者にとって実際に使える技術かどうか」という点を意識して進んできたのが、ここまで歩んでこれた理由だと思っています。

高橋: 私たちはまだ苦労のど真ん中にいますが(笑)、いま宮崎県新富町で、農家さんのハウスの横で開発・改良をさせて頂いています。それでも農家さんに「わかってない」と言われることも。
アグリテック、特にハードテックの領域は、現場にいることが必要現場でどれだけ試して、顧客の声をどれだけ聞いて、どれだけ早く反映していくかというのをやり続けることがすごく重要だと思っています。

スタートアップは、ステークホルダーのことを気にしなければいけないのですが、一番大事なのは顧客と向き合うこと。プロダクトが世に出て社会を変えていくということが、一緒に働いているエンジニアやメンバーの誇りになります。なので、現場の課題を、どう実際に実現するかがものすごく重要じゃないかと思っています。

有馬:現場の声はすごく大事ですよね。農業の現場にいない方々が、外部から見て評価をするプロダクトと、現場が評価するプロダクトは全然違うというイメージが、僕もあります。現場のニーズに合わせた形でないと、導入まで至らないと思います。

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生駒:アグリ領域の経営者は大変な環境で事業経営に挑む必要があります。ヒト・モノ・カネを用意して、事業を立ち上げないといけない。ですが、自分自身も経営の経験値を積み重ねていかねばならないし、(事業を展開する)地域には、人やお金がなく、あるのは農業の現場のみという状況です。

こういった状況で農家に寄り添うわけですが、もし間違った方にニーズを聞いてしまうと事業が終わってしまうことも…。自分たちが必要とされるセグメントを定めていかないといけません。自分たちは今創業8年目で、今でこそ言えますけど、相当苦労しました。

そして最後にお金。投資家は、どうしても事業の時間軸とスケールに着眼してしまうと思いますが、農業は1年1作で時間がかかりますし、彼らの求めるものとはギャップが大きいです。スタートアップが取り組む社会性や価値にいち早く気づき、投資をして頂けるようになると嬉しいと思っています。

西田:ニーズを誰に聞くかというところでは、私も間違いまくりまして、事業初期のヒアリング調査は苦労をしました。

うちの技術は、有機肥料を活用した作物栽培に関連する技術で、有機農家さんに聞きにいけば、のどから手が出るくらいほしいだろうと思い、日本全国の有機農家さんにヒアリングしまくりました。
ですが、どの農家さんも「うちはこの土でやってるんだ」「新しい技術はいらん」という反応ばかりで、どこにも必要とされていないのではと感じました。

そこから方向転換をして、新規就農者の方や、二代目経営者で新しい技術を導入した方にヒアリングすると、違うニーズが見えてきて
土づくりのどこに課題とニーズがあるのか。うちの技術ではどんな場面で強みが発揮できるのか。徐々に農家さんを訪ねる中で分かってきました。適切な対象を定めて、現場の方に話を聞くことは本当に大事です。

あともう一つは、農家さんにとって技術自体の理解が難しいというところ。
丁寧に、どう価値を伝え、理解していただくかも大事だと思っています。

事業をしていて一番うれしいこと

有馬:アグリ・フードテック領域に、農業のバックグランドを持たない方々が増えていて、私も大歓迎です。コンサル、事業会社、金融、商社等、異なる業界経験を持つ方が今後も増えていくなかで、「飛び込んでどう楽しかったのか」「どうして飛び込んだのか」をお聞かせください。

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高橋:自分は農業とは畑違いのところからチャレンジを始めて、かつテクノロジーを持っている人間でもありません。ではなぜやっているかというと、農業を通じて、地域の課題を真っ向から解決することで、その地域を持続可能にできるからです。
あとは、このままいくと”本当にまずいぞ”と感じていて、今しか変えることができないんじゃないかという危機感もあります。それをもし変えることができたら世界が変わるんじゃないかというワクワク感を農家さんと共有できたことが自分の中では大きかったです。

楽しい・うれしい瞬間は、日々の中で農家さんの課題を一つ一つ解決するために楽しそうに仕事しているエンジニアたちを見るのが、すごく自分の中では心が満たされる時間です。

恐らく最高の時間は、一緒にロボット開発をしていただいる農家さんが「高橋くん、儲かってしょうがねえわ」と言ってくれる瞬間だと思っています。そのために頑張ります!

生駒:自分が日々願っていること、感謝をしていることが5つあります。
1つは、社会を良くしましょうという気持ち
2つ目は、顧客の成長
3つ目は、投資家さんへの感謝
4つ目は、社員が安心して働けること
そして、家族に対する感謝

自分は、多くの方々に支えられていることが日々のうれしいことですかね。毎日なにかしら事件しか起こらない日々ですが(笑)、そういう支えがあるからこそ、楽しめております。

有馬:毎日起こりますよね(笑)

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西田:私は土地づくりをして色々な作物を育ていますが、できた作物を一番最初に食べられるんです!(笑)
直近では、月の土を模擬した作物栽培処方を開発していて、そこで初めて成功した小松菜を一番最初に私が食べました。
自分で作った新しいシステムで育ったものを食べられるのはうれしいですし、日々育っている作物を見るのも楽しいです。

アグリテック業界に入った理由は、宇宙農業のシステムを開発をしたいという強い気持ちからです。取り組む中で、地球の農業にも問題があって、持続可能なシステムではなかったり、課題が山積みだと感じました。私は周囲と協力して色々な人と手を結んでやるのが好きなので、そういう方たちと一緒に難しい課題を解決していけるのはとても楽しいです。

丹羽:私は元々研究者なので、エンジニア視点で技術的なブレークスルーがあるとうれしくて。

もう一つは、この領域で事業をしていて思うのは、農業は文化なんですよね。人類が連綿として続けてきた生業をこの先どうしていくのかということに頭を使って取り組んでいます。
その中で、我々は新しい作物の多様性を生み出すことに寄与していて、品種を作り我が子のようにデビューさせていきたい。まだ全面的にではないですが、そういったことが徐々にでき始めています。

多様な特徴や彩りをもった作物を、新しい人類の文化として生み出せる日がきたら、その時の感動はひとしおだろうなと思います。それを想像しながら目指してやっています。

有馬:ご登壇の皆様、ありがとうございました。本日は、事業会社、政府・自治体、農家、個人の方々など多くの方がおられるのですが、皆さまとの連携が重要な領域だと思っています。今後、アグリフードテック領域の未来に向けてご一緒できるとうれしいです。本日はありがとうございました!

運営者: Beyond Next Ventures より
私たちは、研究・技術領域を対象とする国内最大級のアクセラレーター、リードVCです。1号・2号ファンド総額220億円を運用し、国内外のディープテックスタートアップ約60社へ投資を実行しています。

これまで大手企業内R&Dから生まれた技術のスタートアップ化にも取り組んでおり、事業会社におられる意欲ある皆様の挑戦を心から応援しています。

皆さまの次のステップをご一緒できることを願っております。下記に合致をされます方は、お気軽にこちらのページのフォームからお気軽にご連絡くださいませ。

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・VCやアクセラレーターへの転職をお考えの方

最後までお読みいただき、ありがとうございました!Agri/Food Tech Startup Showcase2021は、9/7まで毎週開催しています。ぜひイベントにお立ち寄りください。詳細は公式ページから。

■ 公式ページ
https://talent.beyondnextventures.com/agrifood-showcase


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より多くの方にアグリ・フードテックの素晴らしさを伝えられたらと思いnote始めました😊 | 投資先:インテグリカルチャー、リージョナルフィッシュ、グリラスなど | テーマ:食農関連イベントレポ、業界トレンド、先端技術を持つスタートアップの紹介等