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読書日記 「個人開発のためのWebサービス公開マニュアル」の感想と紹介


はじめに

crieitという技術ブログサービスを個人で運営されているだらさんの著書。
ずっと気になっていたもののWeb開発の学習から離れていたタイミングだったので様子を見ていたのですが、そろそろ取り組みたいと思い手に取ってみました。
noteではじめて書評のようなものを書いてみようと思います。
書評というよりは読書日記。読書日記というよりは読んで学んだものを紹介したいという気持ち。主観バリバリなので悪しからず。


ざっくり概要と感想

「かゆいところに手が届く」
というのが率直な感想です。しかも文章が読みやすく、時間をかけず何度も繰り返し読める。スラスラ。
Web開発について、ネット上で見ていると転職・就職だったり案件を取って副業、という視点での情報は多のですが、個人開発のノウハウとかってそれらに比べてかなり少ないように感じます。そこを補ってくれるような本だなって思いました。

この本ではプログラムの書き方やアプリの作り方などの開発方法ではなく、サービスを開発した後のデプロイ方法やその後の運用がメインです。作ったWebサービスをデプロイできるHeroku・AWS・GCPの各サービスの比較と具体的なデプロイ方法(Laravel・Rails・Nuxtjsで作ったアプリを公開するやり方)、リリース後に活用するマネタイズやアクセス解析サービスの特徴や、その具体的な手順、そして実際の運用での意識すべきことや注意点が書かれています。個人開発で僕みたいに情報が乏しい環境にいる人には特に、喉から手が出るほど欲しい情報でした。
著者さん自身が個人開発に取り組んでいるのでその経験をもとにしたエピソードも。またページ数は少ないものの譲渡や売却の可能性も考えた環境構築をする、という考え方が書かれた項目もあり、なんかほんと目から鱗です。


こんな人にオススメしたい

書籍のサブタイトルの通り「個人開発したい人」「Webサービスを公開したい人」「開発した後何をしたらいいのかわからない人」が手に取ってみると学びが多いのかなと思います。
具体的な開発については触れていないので(Git,Githubについては第1章で触れられていますが)プログラミング学習を始めてすぐの学習中の方という方にはちょっと向かないかもしれません。
「個人でWeb開発をやってみたけど、さてこれからどう発展させたら良いのだろう?」とか「これから作ろうとしているサービスがあり、公開や運用について事前にイメージしておきたい」という方向けかなと思います。

いろいろと所感

(1)デプロイについてそれぞれのサービスの特徴を知ることができる

デプロイサービスであるHeroku・AWS・GCPのそれぞれの特徴や実際の手順について具体的に書かれているのですが、そもそも各サービスがよくわからないという場合は、まずはそれぞれの特徴を流し読みしてみると比較ができて面白いです(第1章の2節)

僕はこの辺りの理解がさっぱりでした。はじめにRailsでのWeb開発を学んだ際にHerokuでのデプロイを行ったのですが、なんとなく先生が教えてくれた手順通りに実行していけばアプリが公開できるんだ\(^o^)/ しかも無料なんだ\(^o^)/ というぐらいの認識でした。
今はその何もわからず言われるがままデプロイしていた状態から一歩くらいは進んで、公開するのに色々な手段があってそれぞれで性能や必要な知識、運用のしやすさなどが違うんだなあ…というような、判断材料が少しできたなって思います。
まずは僕の現状だと作ったサービスを公開してもさほどアクセスがないだろうし、Herokuの無料プランでやるのが無難。必要になった時に他のサービスを検討してみても良いのかなー、などと考えられるようにはなりました。

とはいえやはり気になるところとしては、個人開発における各デプロイサービスのスペックと金銭的負担です。現状HerokuやGCPは無料枠があり、AWSは従量課金ということですが、具体的にこのくらいの規模の開発でこのくらいのアクセス数があるならどのサービスが妥当なのか、金額はいくらくらいかかるか…というようなことは気になりますよね。そこまで具体的なところは書籍には書かれていないので、このあたりは実際に運用を経験しながら学んでいく必要があるのかな、と思います。
(ちなみに書籍からは外れるのですが、この辺りのサーバー環境選びについて個人的に参考になったQiita記事があるので(参考リンク)として載せてみます)

(2)リリース後、運用のために導入すると良いツール達

第3章ではリリース後の手法について書かれていますが、中でもアクセス解析のための「Google Analytics」やマネタイズのための「Google AdSense」など、サービス運用のために導入すると良い定番ツールが紹介されています。
こちらはもう既にご存知の方には定番なものばかりなのかもしれませんが、やはり僕みたいに情報の少ない環境にいると死ぬほどありがたい…笑
まだ開発に着手する前でも一度、さらっと読んで予習しておくと良さそうです。サービスは「開発して終わりじゃないんだ」と気づきます。

よく聞く「アクセス解析」。運用したことないと実際どういうものなのか具体的にわからないのですが、要はデータからユーザーの声を聞いてどうサービスを改善するかの判断材料にとする、ということです。そう行ったアクセス解析の必要性や、どのデータをどのように見れば良いか…というのは、実際に運用してみながらこの書籍を開くと理解度が高まりそうです。

ツールだけではなく、6節の「SNSで広まりやすい仕組みにする」というのはサービス開発前の設計から考えておくとスムーズだし、リリース後のSNSや発表やブログで紹介するなどの視点は本当に大事だなあと思います。


(3)個人開発ならではの視点と体験談が散りばめられている

生っぽい体験談、特に失敗経験が書籍の中に惜しげも無く書かれているのは、結構すごいなって思います。だいたいそういうのって隠したいことだと思うのです。「こういうところに気をつけたら良いんだ」という学びはもちろん、「どんなサービスでも一度の成功で得られたものではなく、その後ろにいくつもの経験と失敗があってできるものなんだなあ…」という、当たり前だけどつい忘れがちなことに気づかせてくれます。

第2章の7節で「デプロイ時の失敗例」として、情報漏洩だったり低スペックのサーバーでの運用について気をつけなければいけないことが著者さんの失敗談として書かれています。また、第4章の3節では「サービスのリリース後に考えること」として、サービスが盛り上がらなかった例などからその敗因を分析し、ユーザーが求めているものを作る必要性が理解できる内容になっています。
それぞれ知ったからっていざ自分がすぐ出来るかっていうと難しいんですが、失敗しがちなポイント(しかも一般論ではなく具体的な)を事前に知ることができるのはすごくありがたいなあって思います。サービスが失敗に向かっていく思考の流れと、それを客観的に反省するやり方もとても参考になります。運用、改善しながら何度も読み込みたい。

著者さんについて

せっかくなので著者さんの紹介。

↓著者のだらさんのTwitter

↓こちらのQiitaっぽい技術ブログを運営されています。

ちなみに現在は「Webサービスを1週間で作るイベント」という面白そうなものを期間限定で行なっています。3/15まで。
お題に沿ったWebサービスを皆さん思い思いに作って公開するというイベントです。参加表明不要で、ちょっと制作の練習としてでもガチで作り込んでも良さそうなので、気になる方はぜひ参加してみては!
(公開されたのは昨日なのにも関わらずもういくつかの投稿があり、皆さんすごいっすね…)

おわりに

僕も普段からCrieitで学んだ技術のアウトプットに取り組んでいるのですが、シンプルで使いやすいサービスだなあと思って使わせてもらってます。気負わず書けるのが良いですね。
そんなんで個人的にファンである運営者のだらさんが執筆した本ということで、これは紹介したいと思いつらつらと書いてみました。

「Webサービス公開マニュアル」というタイトル通り、手元に置いておいて気になった時にまた開きたい感じです。冒頭でも言いましたがほんと文章が読みやすい。
サービス制作前の構想段階で一度気になるところに目を通し、また制作中も息抜きにパラパラとめくる。そして公開後はこれに書いてある通りに一通りトライしてみると、何か見えてくるものがある気がします。構想中のものがあるので、これを片手に頑張ります。

冗長かもしれなかったのですが、具体的にオススメしたいなーという部分は章番号なども書いてみたので、実際に手に取って読んでみて欲しい一冊です。

以上、主観たっぷりの読書日記でした。

MEMO

参考リンク
個人開発者向けサーバ環境の選び方まとめ(heroku,aws,firebaseなどなど) - Qiita


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