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辻家の人々

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レジェンド級のプロ野球選手、その息子から見た家族の肖像。辻発彦の子として育った筆者・辻ヤスシが描く自伝的小説!
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【連載小説「辻家の人々」】001   辻発彦の長男誕生/辻ヤスシ

1985年1月21日、午前5時54分。 プロ野球選手とその妻(ごく普通の専業主婦)の間に第一…

【連載小説「辻家の人々」】002   サラブレッド/辻ヤスシ

プロ野球選手の息子だからといって、必ずしも身体が強かったり、運動神経が良いわけではない。…

【連載小説「辻家の人々」】003   号泣のお遊戯会/辻ヤスシ

両手を前に突き出して拳を握る。 そこから親指と人差し指を立て、左右の人差し指を向かい合わ…

【連載小説「辻家の人々」】004   テレビ初出演は4歳/辻ヤスシ

プロ野球のシーズンオフと言えば珍プレー好プレーにバトルスタジアム、リアル野球盤など、プロ…

【連載小説「辻家の人々」】005   運動会・前編/辻ヤスシ

1991年、9月の日曜日。 この日に降った雨は、小学2年生だった自分を人間として大きく成長させ…

【連載小説「辻家の人々」】006   運動会・後編/辻ヤスシ

父親が運動会に来てくれた夜、興奮して中々寝付くことができなかった。 その理由は父親が初め…

【連載小説「辻家の人々」】007   ノムさん/辻ヤスシ

辻家の新年は決まって東京都港区にある増上寺で迎える。 年が明ける数時間前に現地に到着し、無料配布の風船を貰い、願い事を書いた紙を結び付ける。 それを午前0時に数万人の参拝客と一緒に夜空へと飛ばすのだ。 これは父親がプロ野球選手になった年からの恒例行事である。 小学5年生。 この年も例に漏れず増上寺へと参拝に訪れていた。 風船を飛ばす前に両親はトイレに行くとその場を離れた。 1人で待っていると自分の目の前をおじいちゃんが通り過ぎて行った。そのおじいちゃんには見覚えがあった。

【連載小説「辻家の人々」】008   一文無しの家出/辻ヤスシ

水泳に公文、さらには学習塾、と小学4年生になった頃には週6日が習い事で埋まっていた。 休日…

【連載小説「辻家の人々」】009   グローブ/辻ヤスシ

幼稚園の頃からスイミングスクールに通い続けていると、小学4年生になるタイミングで大会にも…

【連載小説「辻家の人々」】010   野球部から読書部へ/辻ヤスシ

中学校入学と同時に野球人生をスタートさせた自分。 これまでの人生、野球はプロ野球観戦がメ…

【連載小説「辻家の人々」】011   息子の嘘/辻ヤスシ

練習すらまともにさせてもらえない環境。先輩からの可愛がり。自身の事しか考えていない顧問。…

【連載小説「辻家の人々」】012   甲子園と松坂/辻ヤスシ

中学2年生・夏。 野球部を辞めたのち、読書部という名の帰宅部に所属したため夏休みは文字通…

【連載小説「辻家の人々」】013   中学野球の最後/辻ヤスシ

中学2年生の夏に高校野球に憧れ、野球部に再入部した。 ただ、自分が1年以上遊んでいる間、毎…

【連載小説「辻家の人々」】014   高校選び/辻ヤスシ

中学3年生の夏休み、自分は受験勉強に明け暮れていた。 勉強なんて当然好きではない。ただ、その勉強は苦ではなかった。 理由は甲子園の道が開けた気がしていたからだった。 5月に中学野球が終わり、そこからは受験モードに突入。 しかし、勉強に身が入らなかった。 それは行きたい高校が中々見当たらなかったからだった。 自分の夢は甲子園に出場して活躍をすること。 ただ、中学野球でろくに試合に出られていない平凡選手をおいそれと入部させてくれる甲子園常連校などあるはずがない。 ならばと